100日を一言で言いますと、
「トランプの大統領令などツイートにすぎない!」
さすがの金正恩も、ホンマモンの予測不能大統領トランプにまいったせいか、ミサイルを発射して失敗した以外何もできずに人民軍の創立記念日をやりすごしました。北朝鮮がそれ以上のことをしなかったというのが、新大統領100日のあいだで、唯一の成果と言ってよいのではないでしょうか。
フランスの大統領選挙ではトランプやプーチンなど独断専横大統領の応援むなしくルペンは2位、そして2回目の投票でも勝てる見込みはなくなりました。トランプにしてもプーチンやルペンにしても、自国ファースト、ミーファーストの連中がお互いを称賛し、応援するのは何故でしょう。
ミーファースト同士は相手が自分の思い通りにならないことを許さないので、必ず激突します。英雄並び立たずのたとえどおりです。だったらオレ様だけがトップに立ち、他の大統領はミーファーストでないほうが御しやすいはずです。なのにミーファースト同氏が互いに応援するのは、この連中が矛盾していることすら自覚できないほど頭の中が整理されていないことを示しています。まあ、他に傷をなめ合う相手がいないからだとも言えるでしょう。選挙中に相思相愛の合図を送り合っていたトランプとプーチンが、いまやお互いを攻撃しあう、それがなによりの証拠です。
トランプがよく考えもせずに口から出るにまかせてルペンを支持しているのはまだ理解できますが、深謀遠慮かつ狡猾なプーチンまでがルペン支持を口にすることが理解できません。負けることが分かっていて、せめてもの応援をするのでしょうか。それとも、もしかして勝てると思って、可能性に賭けるのでしょうか。
さて、トランプの100日ですが、多くのマスコミが彼の公約に対する採点をしているのでそれはマスコミにお任せします。トランプは自画自賛で、「この100日間にこれまでの大統領で最高の成績を収めた」と言う一方で、「100日間なんて、誰が決めた。ナンセンスな基準だ」と何もできなかったことの言い訳をしています。でも一方で100日までになにがなんでも成果を出そうと、必死に大統領令を連発しました。私の採点では対北朝鮮以外に成果はゼロ。なのでこの100日を総括すると、
「トランプの大統領令などツイートにすぎない」となります。
大統領令など恐れるにたりないバカげたつぶやきであることを、やっとみんなが理解した100日間でした。これからも彼の大統領令などツイートだと思って聞いていれば、かわいいトランプちゃんのたわごとで聞き流せます(笑)。
これだけウソと無知丸出しの大統領ですが、選挙で彼に投票した人々の支持はほとんど失っていません。ギャラップなどの調査では、選挙でトランプに投票した人のうち、支持しなくなった人はわずか4%だけです。
依然として支持者へのマインドコントロールが効いています。労働者や中間所得層、そして失業者を救う政策を実行してくれそうだというのが、投票理由だと言われました。しかし実際には彼らは今回の減税案でも実は全くバカにされています。恩恵にあずかるのは所得税率上位の富裕層で、下に行けばいくほど恩恵はなくなります。支持者が今年のタックス・リターン(税務申告書)を書き始める年末時期になれば、トランプの減税案に幻滅するに違いありません。
北朝鮮の人民が死の恐怖から金正恩を支持し、国民の大多数がマインドコントロールされている様子に、私はさほど違和感を持ちません。日本の戦時中もそうでしたから。しかし、言論の自由が確保されているアメリカで42%の人たちが依然としてマインドコントロールから抜け出せないでいる状況を、私は理解できません。
もちろんトランプを最後まで支持する人は相当な割合でいるでしょう。しかしたった100日で支持理由がことごとくくつがえされ、実行力のないことも露呈し、毎日毎日ウソをつきまくっているのに、それにあきれる人が投票者のたったの4%しかいない。
どなたか説明をお願いします(笑)。
SNSの存在に回答を求める考え方があります。アメリカ人のうち、既存メディアが真実を伝えているとみている人が4割しかいない中、多くの人々が闇っぽいサイトやSNSこそ真実を得られるメディアだというのです。
トランプの支持者にインタビューすると、「メディアのトランプの100日の採点表はウソだ」。「トランプは前言をひるがえしてばかりいるという報道もウソだ」。「トランプはウソをつきまくっているという報道もウソだ」と言います。もうあきれ果てる以外ないのです。
これらもまた私には理解できない現実です。
一方、いま世界のSNS業界で起こっている大問題は、フェイクニュース問題です。特に欧米では連日フェイク対策に関する報道がなされています。どうしたらフェイクニュースをなくすことができるか、フェイスブックやツイッターなどが必死に策を探っています。それこそ人工頭脳AIの腕の見せ所ですが、いまだにこれといった決定打はありません。中国のように国と共産党に対する批判をネットから削除するために、100万人もの人海戦術で削除する方策は、自由主義国家では非現実的です。
ではトランプの今後はどうなるのか。支持者は「まだ100日だ」ということで、大目に見ている人も多いと思います。しかし半年、一年と経っても何もできず、人々がタックスリターンを書き始め、2年目の中間選挙が近づき共和党議員が浮足経ったときが彼の正念場となるのでしょう。