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独裁者というはやり病

2018年03月27日 | 地政学上のリスク

  今世界ではやり始めた危険な病気に「独裁者」という流行病があります。昨年私はすでにはやり始めていた独裁者を以下のように定義しました。

・言論統制を行う

・任期を延長する

・反対者を力で制圧する

・国家主義を標榜する

そして該当者には次のような政治家を上げました。最近のニュースを交えアップデートしておきます。

習近平;3月の全人代で永久独裁の権利を憲法上で確保し、『中華民族の偉大な復興』『中国の夢を実現すると宣言。

プーチン;大統領から首相を経てまた大統領なり、3選禁止という憲法の精神を捻じ曲げ、永久独裁の方法を確立した。世界はロシアを敵視ていると国民に信じ込ませ、対決色を強めることで支持を取り付ける。今回の選挙では選管を自在にたぐり映像に残るほどの明らかな選挙違反を繰り返した。反対者を毒殺するのはKGB長官時代から継続する彼独自の独裁的手法。当選後は「栄光ある大ロシアを再び実現する」と主張。

安倍;党総裁の3選禁止を延伸。目に見えない形で言論を弾圧し、国境なき記者団による言論の自由度ランキングで在任中に日本を11位から72位におとしめた。内閣法制局を使って憲法解釈を捻じ曲げ、三権分立を踏みにじるなど、国家主義的路線にまい進する。

金正恩;すべての条件を有する独裁者の見本。国民の弾圧は言うに及ばず、自分の保身のためなら少しでも怪しい者は親類縁者でも処刑することをいとわない。恐怖政治を国全体を統治する根本原理にしている。

エルドアン;トルコを欧州型民主主義への道からイスラム型独裁国家へと、見事に変貌させ、反対者を数万人も拘束し、かつ政権に批判的メディアをすべて閉鎖し、言論を弾圧。

トランプ;オレ様型人間の常として、気に入らない部下をつぎつぎ首にして独裁色を強め、報道はフェイクニュースと決めつけ、自分に都合の悪い客観情報は顧みない典型的独裁者の色彩を強めている。さらに海外への圧力を強めることが選挙民の支持率向上につながると信じ、対外的強硬策を実行しようとする。標語は「Make America Great Again」から「Keep America Great」に。

エジプト、インド、フィリピン、ポーランドにも同様に危険な芽が出てきています。

  こうした独裁者が共通して主張する困った問題は、自国の版図が最大だった時代を再現すると言う公約です。独裁者たちはそうした過去の栄光の時代を追い求めるため、危険極まりないのです。各国がそんなことを言い出したら、とんでもないことになります。幸いアメリカには大アメリカ帝国時代はありませが、極端な例を挙げると、例えばイタリアはローマ帝国時代の版図だとか、ロシアはソヴィエト時代の版図、トルコはオスマントルコ帝国時代の版図、イギリスは大英帝国の版図などと言い出したら、収拾がつかなくなること必定です。

  日本の場合、まだ「大東亜共栄圏をもう一度」までいっていないのが救いですが、最近の月刊誌の宣伝で記事のタイトルを見ていると、極めて危うい言動が幅を利かせるようになってきています。Voice、Hanada、Wedge、Willなど、いつの間にか右寄で国家主義を標榜する、アルファベットネームの月刊誌が多くなっています。みなさんは気付かれていますか?要注意ですよ。一方で左翼系の雑誌はほぼ死に絶えたようです。何故日本でこんなことになっているのか、私は深く観察したことがないのでわかりません。でも今後どうしたらこうした危険な右傾化と独裁主義志向を防げるか、真剣に考える時が来ていると思われます。念のため繰り返しますが、私自身は右寄りでも左寄りでもなく、リベラルな中道だと思っています。

  では何故独裁者という病が流行するのでしょうか。大きな原因は、世界的に国家間のグループ化があり、それが国家主権の一部を制限するため一般国民に受けないからだと思われます。EUやASEAN、自由貿易協定であるTPPなどにもそうした傾向があって、反対する人が多いからでしょう。さらにNATOなどの軍事協定も含まれるかもしれません。一国が地球上に存在する限り、孤立無援でよいはずがなく、相互依存こそ繁栄と安全への道ですが、そのために拠出金もあれば義務的な割り当てもあります。たとえばEUは難民受け入れという強制割り当てへの反発から分裂の危機に立たされています。

  それを打ち破るということを標ぼうするのが、国家主義に凝り固まった独裁者たちです。例えばトランプはTPPやパリ協定を目の敵にすることで支持を取り付け、北朝鮮をめぐる6か国協定を無視し、イランの核合意も破棄同然です。プーチンも同様にNATOを目の敵にし、旧CISを中心にロシア帝国を築こうとしています。

  独裁者たちは敵を作ることで国民の支持を得ようとするため、今後国家間の対立が先鋭化するように思えます。でも私はあまり悲観的に見ていません。というのは、彼らは一方で暴言を吐きながら、本気で戦争をするはずもなく、ブラフをかまして世界を混乱に陥れながらも微妙なパランスを取ろうとしているからです。たとえ金正恩でも、さすがに戦争で得るものはないことだけは理解しています。しかし周辺国はいい迷惑です。

すいぶんと乱暴な世界観と展望を書きましたが、今の世界を見るには、こうした自分なりの整理をしておく必要があると思い、書いてみました。はたしてみなさんから賛同が得られるか、自信はありませんが。

以上、「独裁というはやり病」についてでした。

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トランプでアメリカは大丈夫か、2  そして誰もいなくなった第7幕

2018年03月18日 | トランプでアメリカは大丈夫か?

  トランプ劇場、「そして誰もいなくなった」はいよいよ終幕に近づいています。第6幕は国家経済委員会議長ゲーリー・コーンの辞任でしたが、すぐ続いて最重要閣僚の一人国務長官ティラーソンがトランプに撃たれました。国務長官がどれほど重要な閣僚かを表すのは、大統領の継承順位です。大統領に何かあると引き継ぐ順位は、副大統領、上院議長、下院議長、そして次が国務長官なのです。その大事な国務長官を相変わらずツイッターで解任する、なんとも失礼極まりない先進国の大統領とは思えないやり方です。そしてどうやらマクマスター国家安全保障担当補佐官や最側近であるケリー大統領首席補佐官の辞任もささやかれています。

  アガサクリスティーの原作では、10人しかいない孤島で、10人が殺害されて終わります。9人の殺害を実行した犯人が最後は10人目として自分を殺害にみせかけた自殺をすることになっています。トランプは刻一刻とそのシナリオの終幕に近づいているように見えます。大統領のこうしたバカげた殺人劇に付き合うアメリカのマスコミや一般のアメリカ人たちは何を思っているのでしょうか。私の友人のアメリカ人達はあまりのバカバカしさに、ただただあきれるだけだと言っています。

  先週のもう一つの大きな、そしてより重要な出来事はペンシルベニア州の下院補欠選挙です。鉄鋼産業のメッカであるピッツバーグを抱えるペンシルベニア州はトランプ大統領誕生のカギを握ったとされる州です。歴史的に民主党が強かったにもかかわらず、大統領選挙ではトランプが20ポイント差で勝利しました。それを失ってはならないと、先々週からトランプが必死で応援に立ち、叫び始めたのが鉄鋼輸入への関税強化策で、その発表タイミングも、この補欠選挙にぶつけたものと言われています。この州での勝敗は今年の秋の中間選挙の前哨戦とも位置づけられ重要な選挙でした。それがどうも民主党候補の勝利になりそうなのです。現状の得票数は民主党候補対共和党候補は5分5分で、最終結果は26日以降と言われていますが、大事なことは鉄鋼産業保護政策の発表にもかかわらず、共和党が大統領選での20ポイントもの大差を民主党に詰められてしまったという点です。トランプとしては中間選挙に向けてのシナリオが大きく狂ったのです。

  私はそうした敗北の事実だけでなく、今後の影響を心配しています。11月の中間選挙に向けてトランプが焦れば焦るほど、保護主義的政策に限らずとんでもない政策を採用するに違いないからです。中国や日本などをターゲットにした経済的制裁はしょせん経済に限定された問題ですが、軍事的作戦となるとほってはおけません。

  ブッシュジュニア大統領は支持率低下に対する起死回生を中東での軍事侵攻に託し、支持率は大きく回復しました。今後ペンシルバニアで支持者が離反したような事態が各地で予想されれば、トランプは死に物狂いになります。中間選挙で上院は民主党の改選議員が多いため、民主党が議席を伸ばすのは難しいと言われていますが、下院選挙は全員が改選されるため、共和党は少数派に転落する可能性があります。マイノリティに転落すれば、トランプはその後の2年の任期はレームダックと言われるでしょう。中間選挙がトランプの今後を決めるため、死に物狂いで選挙向けの政策を連発するに違いありません。選挙民に向けた政策とは、すなわち対外的強硬策となります。それがもっとも手っ取り早い人気取り政策だからです。

  独裁者トランプは絶対的自信をもって同じ独裁者金正恩と5月までに会談を行うことになっていますが、極めつけのオレ様同士で即和平につながる合意ができるとは思えません。お互いにこれが今回の獲物だと言えるものがないと支持率の低下はまぬがれません。アメリカの国務省は北朝鮮の専門官が先日辞任し、アジア全般をみる責任者も依然として不在。とにかく政治任用されるはずの150あまりのポストのうち、60人程度しか任用できていません。つまり6割が空席で、はっきり言って国務省は機能していないのです。その上新国務長官は金正恩の斬首作戦を強行すべきと言ってはばからないポンペイオですから会談は物別れになる可能性は大きく、その後の結果もかなり心配されるのです。物別れは斬首作戦のいい口実になりかねません。

  トランプ政権は政治的に苦しくなればなるほど経済的強硬策を出してくる。それに対して貿易相手国も報復措置を取ってくることになります。先週、EUはアメリカのIT企業に向けたデジタル課税と呼ばれる税の導入を検討しているというニュースが流れました。必ずしも報復措置とは言われてはいませんが、このタイミングでの発表は、アメリカへの牽制に間違いありません。政治が経済へ影響する経路で、報復合戦が心配されます。

  日米とも政権側が揺れに揺れているため、経済的な課題より自己保身に動いてばかりで有効な手を打てないでいます。次回は経済に焦点を当てて、トランプのアメリカをみていくことにします。

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「貿易戦争に勝つのは簡単」、だってさ

2018年03月09日 | トランプでアメリカは大丈夫か?

  トランプちゃん、南北の和平攻勢にとまどいながら、5月に金正恩と会談することが決まったようです。「核放棄を完全に約束しない限り会うことはないと」あれだけ言っていたのに、いつものちゃぶ台返しです。

  前回も申し上げたように、我々も頭の体操をしながら思考を柔軟にしていないとついて行けなくなるので、要注意です。

  一方で「すべての貿易相手に鉄とアルミへ一律の高関税を課す」というアドバルーン、すでにだいぶしぼんできました。

  トランプが高々とアドバルーンを上げるのはいつものやり方で、高々と上げては風を見ながら徐々に降ろします。今回も株式の暴落という暴風を受けて、「カナダとメキシコは例外だ」とし、さらに株式が落ちると「しっぽを振る同盟国は勘弁してやる」ともう一段アドバルーンを下げ、日本のようにしっぽを振る国を募っています。

  その間に国家経済会議委員長のゲーリー・コーンが貿易戦争をしかけるトランプに対し「やってらんねー」と辞任。彼は他でもないゴールドマンの社長兼COOからの転身です。よせよせとみんなから言われたのに就任し、結局1年ちょっとで去りました。トランプ政権の中枢を占めるゴールドマン出身者が、どんどん去っていきます。彼はトランプの極端な政策に対する防波堤だったので、トランプの暴走はよりひどくなりかねません。これでトランプ劇場「そして誰もいなくなった」は重要閣僚6人目の辞任で第6幕が下りました。市場を知り、市場と対話を行える経済の司令塔を失って、いよいよ混迷を深めることになるでしょう。

  トランプの宣戦布告に対して、EU、欧州各国、カナダ、中国の首脳などが異例の猛反撃を行っています。かわいいトランプちゃん、株式の暴落に驚きながらも、各国の反撃に対して先週以下のようなコメントをしました。

  ロイター記事です。

 トランプ大統領は2日、ツイッターで「(米国が)通商面で実質的に全ての国に対し何十億ドルも失っているとき、貿易戦争はいいことで、勝つのも簡単だ」と述べた。

  貿易戦争に勝つってどういうこと?

  2年ほど前、TPP交渉の最中にも申し上げましたが、『日本政府がTPPの交渉で勝つということは、消費者は損をする』ということです。勝つと言うのは業界が利益を得られるようになることなので、その分消費者は損をします。実に単純なことです。政府が「牛肉の交渉で勝った」と言えば、我々消費者は高い牛肉を買わされます。そのことはアメリカも同じで、「鉄とアルミで勝つ」ということは、それを使って作る自動車価格は上がり、消費者がそれを負担させられるのです。

  でも雇用が増えるのでは?

ありえません。あとで鉄鋼産業を例に説明しましょう。

  トランプの場合、貿易収支を黒字にするってことが勝つことだとナイーブに考えています。関税を引き上げ海外の安い物資を入れなくすると、貿易相手国が報復措置を取りますから、それによるインパクトで結局貿易収支の改善は計れなくなります。すでに主要貿易相手国はことごとく首脳自ら「トランプに報復する」と宣言しています。いや、日本のアベチャンだけは相変わらずしっぽを振ってトランプについて行くだけなので(笑)、例外です。

  おバカなトランプちゃんにブルームバーグ社は記事で2つの数字の贈り物をしました。

その1.米経済学会(AEA)によると、国内鉄鋼メーカーでは1962年―2005年の間に雇用の4分の3が失われたが、その理由は労働者1人当たりの生産が5倍に増加したことによるものだった。

  そもそもトランプの宣戦布告は貿易によって失われた雇用をアメリカに取り戻すというのが目的です。しかし実際には、雇用は生産性の向上によって失われたのであって、海外に奪われたのではない、というのが真相です。

  しかし私が指摘したいもっと大事なことは、

「アメリカは鉄やアルミなどのローテク労働者を生産性向上で減少させ、ハイテク産業にシフトさせたことによって雇用を増やし高度成長産業を伸ばした」

  もちろん実際の鉄鋼産業労働者がアップルに転職したのではありませんが、数字の上ではそうした大きな労働力のシフトがアメリカの成長力の源です。それを50年前に巻き戻し、産業構造をローテクにシフトさせると言うのがおバカなトランプちゃんがやろうとしていることです。

  もし現在までに失われた5分の4の労働者が現在の高い生産性で粗鋼生産を始めたら、アメリカの粗鋼生産量は5倍となり、世界の鉄鋼価格は間違いなく暴落します。その上賃金は中国並みの年収90万円になりますよ、労働者のみなさん。アメリカ人の平均所得の630万円の7分の1で働きたいなら、どうぞ働いてください。

  そもそもアメリカの製造業雇用者数とサービス業雇用者数の比率は現在1対5です。それが産業構造の高度化であり、労働力の高度化です。製造業、それも特にローテクな重工業は過去の遺物です。

  それでもやりますか、トランプちゃん。

その2.英バークレイズの試算では、今回の関税措置により、ある程度長期にわたってコアインフレは0.1%ポイント加速し、経済成長は0.1―0.2%ポイント鈍化する見込み。トランプ大統領の財政刺激策による効果を相殺する可能性があるという。

    貿易戦争は歴史が示すように、世界経済の発展を大いに阻害しますし、世界大戦の引き金にもなりました。現在の世界経済は実に順調で、世界各国はその恩恵に浴していますが、貿易戦争はその好調な世界経済に冷や水を浴びせ低迷を招くため、計り知れないマイナスのインパクトを与えます。

  勝つのは簡単、でもそれで自滅するのも実に簡単なのです。

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北朝鮮の変貌・・・頭の体操をしよう

2018年03月07日 | ニュース・コメント

  アメリカは大丈夫か?の前に、今回は北朝鮮問題です。これもアメリカの行く末を見るのに大きな要素には違いありません。

   北朝鮮問題が大きく進展しましたね。私はいいことだと思っています。しかしこの事態の急変について行けない人が多いようですので、今回の副題は「頭の体操をしよう」です(笑)。

  平昌オリンピックに北朝鮮が参加すると決まり準備が始まったころ、私は8人ほどの方が集まる小さな講演会で、「アメリカの今後を占う」というテーマで話を依頼されました。私はおよその見通しを述べ、質疑応答の時間に移ると次のような質問を受けました。

  「北朝鮮のリスクが日本とアメリカに与える影響は?」というものです。私の回答は、「オリンピック参加が決まり、少なくとも韓国と北朝鮮の直接対話が始まった。トランプや安倍首相は気に入らないだろうが、そのまま対話を進めるべきだ。」と回答。それまでは対話など全く考えもつかないほど険悪だったのですから。そして影響については「みなさんと頭の体操をして考えましょう」という提案をしました。

  頭の体操の中身は、「南北対話が開始され、それが両国の本格的和平につながる場合を想定し、準備をすべし」というもので、日米だけが逆に蚊帳の外に取り残されるのがリスクだと述べたのです。

  すると2・3人の方から、「それは甘すぎる。北をもっと締め上げないと。核の放棄もないし、北は日本をもっと脅してくる」、と反論されました。

  しかし私が「何故日本を脅す必要があるのでしょう?脅して何が欲しいのでしょう?核で日本を脅しますか?それで北は何を得ますか?」と質問すると、あまり的確な回答は返って来ませんでした。どうもみなさんの頭の中は、「北はなにをしでかすかわからない、ならず者だ」という単純な考えでいっぱいなのでしょう。

  それに対して最近のプーチンの言葉を引用しました。「北はいくら脅して締め上げても核の放棄などしない。雑草を食べても核開発を続けるだろう」というものです。プーチンは対話をせよと言うのです。私はプーチンは嫌いですが、この言葉は説得力があると思いました。

  そして私が続けたのは、締め上げが本格的に効いてきたら暴発のリスクが高まる。だが暴発しても破滅するだけで彼らが得るものはない。そこで今度は1月に書いたイアン・ブレマー氏の言葉を引用しました。

・金正恩が自殺志望者か精神を病んでいないかぎり、誰もICBMや核兵器のことを真剣に受け止める人はいません。脅威などではない

・何故なら北朝鮮がアメリカを攻撃するはずもなく、アメリカは先制攻撃を行わないから

  「米朝戦争など絶対に起こらない」というのがブレマー氏のご託宣でした。そして「核開発を逆に煽っているのはトランプだし、その尻馬に乗っているのは安倍政権だ」というのが私の意見です。

  さらにみなさんにも何度か申し上げた私の持論である、「金正恩が理不尽とも思える行動に出ている理由はただ一つ。殺されるのが怖いから、必死で抵抗をしている」を思い出してください。金正恩の行動を説明できるのはこの理由だけだと思っています。リビアのカダフィのようにハチの巣にされる死の恐怖こそが彼の行動原理で、それを防ぐためなら親類縁者を皆殺しにするくらいわけもなくやるでしょう。

  こうした説明に対し参加者の方々はあまり納得されていませんでした。しかしこの数日の南北会談の進展と合意はそれを裏付けているように思われます。つまり、北の示した「現在の体制が維持されるなら、核を放棄してもよい」という言質です。それさえ保証されれば核を放棄し、韓米軍事演習を容認するなど、ウソだろうというほどの譲歩を示しています。

  これに乗るのは危険ですか?

  この合意に対して政治学者や政治評論家などは、「また前言を翻すにちがいない」とか、「騙されるな、時間稼ぎだ」、ということを言っています。

  もしそうだとしても、それはそれで「元に巻き戻せばいいだけだ」、と私は思っています。オリンピック前には一触即発の危険状態だったのですから。

  たまには頭の体操をして、もっと柔軟に物事を考えることも必要でしょう。

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ニセコの変貌

2018年03月03日 | 旅行

   北海道は大荒れの天候で、とても大変でしたね。それでも死者の数は同じような天候だった5年前の9名を大きく下回ったようです。みなさんが十分に準備し、気を付けたからでしょう。でもこんな猛吹雪の3月2日、エゾシカ撃ちに出かけたNHKの記者が車で動けなくなり救援を求め、救出に行ったロードサービス会社の社員が逆に遭難して亡くなりました。実に気の毒な出来事です。

  その前日の1日は、私が北海道のニセコから帰る日に当たっていました。私たちはニセコをバスで午後4時くらいに出て千歳空港から8時の飛行機に乗るはずでした。バスのルートは峠を越え支笏湖を通るルートでしたが、安全のため道路が封鎖され、小樽経由の電車に振り替えられました。その道中、途中の小樽や札幌でも吹雪などは全くなく、帰宅時間は予定より2時間遅れでしたが無事に帰宅することができました。

  スキー場では好天に恵まれ、滑りすぎるほど滑ることができました。相変わらず海外のスキーヤーがとても多く、ランチを食べるときはどこも8割がたは外国人で日本人は少数派のため、とても日本のスキー場とは思えません。外国人のうちざっと3分の2はオーストラリア人で、あとはヨーロッパ・カナダ・中国というかんじでした。

  ニセコは大きく4つのエリアがありますが、特に花園エリアへ行くと、すべてはオーストラリア人仕様になっています。花園地区全体は中国資本が入って運営されているのですが、リゾートセンターの受付からしてオーストラリア人の女性がいて、スキースクール、その他のエンターテインメントはすべて英語。400人も入れるレストランのメニューも、1,700円する巨大ハンバーガー、3千円のステーキ、6リッター入る1mの高さの筒型ピッチャーが7千円。量も値段もオージー仕様です。日本で味わえる本格海外スキー場(笑)と言えます。

  スキー場を離れてニセコの街に出ると、もっと驚きます。ホテル、レストラン、ショップのほとんどが英語表記で日本語があまりなく、不動産の開発からオーナー、ホテル経営者もオーストラリア人ばかりです。そしてレストランに行くと驚くのは、価格がオーストラリア値段で高くなっています。

  さらに驚異的なのは、この2-3年で建てられたコンドミニアム群です。ゲレンデに面していたり、街なかに建てられていたりするのですが、外国人のデザイナーによる素晴らしい外観とインテリアで、驚くほどの価格です。英語の不動産情報を探すと、

・リフト5分、330平米、ツイン4部屋+シングル4部屋、リビング、キッチン 価格3億5千万

・リフト5分 223平米、ツイン4部屋、リビング、キッチン 価格2億8千万

  軽井沢でもなかなかないような価格帯の物件が数多く売り出されています。

  たまたま居酒屋のカウンターで隣に座った息子と二人連れのオーストラリア人から話を聞くと、彼らは我々のホテルから近い高級なブティックホテルに宿泊。そのホテルをネットで調べると2人で1泊8万円から20万円。彼らは今回は2週間の予定で来ていて、毎年夏もニセコで過ごすことが多いそうです。ジェットスターだとシドニーから往復12万円ほどなので、ヨーロッパやアメリカより割安で来られるし、時差もなし。それにしてもみんな驚くほどリッチですね。

  何故オージーはこれほどニセコが好きなのでしょう。理由は私がわざわざ本州から行くのと同じで、雪質です。それと私はやりませんが、ニセコでは堂々とゲレンデ外のバックカントリー・スキーができることが理由です。今回もゴンドラで乗り合わせた多くの海外スキーヤーと話をしました。たとえばカナダのカルガリーから来ていた二人連れにニセコに来る理由を聞くと、やはり雪質とバックカントリー。カナダやアメリカのロッキーより雪質がよいと言うのです。ヨーロッパ人も同じで、フランス人も地元のアルプスよりニセコが上だと言っていました。

  そひてもう一つの理由が食べ物です。どこから来る人達も「日本はオイシイ」のです。これは東京人の我々も同じで、北海道の海の幸、山の幸はオイシイ!

  最近の日本食ブームはかなり本格的になっているように思われます。ニセコでも誰もがはしを問題なく使いこなし、すしなどの生もの、焼き鳥、うなぎ、うどんそばを食べ、日本酒を飲んでいます。そして驚くのはラーメン好きなことです。ニセコの街には何軒かのラーメン屋がありますが、夕食時にいつも列ができているのがラーメン屋で、並んでいる客のほぼ全員が外人客なのです。

  我々日本人スキーヤーは、オージーだけでなく中国人などの海外スキーヤーに大感謝しています。日本のスキー人口は減る一方だし、スキー場もどんどん閉鎖される中で、彼らこそが救世主。私が好きな白馬八方尾根、野沢温泉などのスキー場も、「歓迎外国人スキーヤー 御一行様」なのです。

 

  ところでやっと落ち着いたかと思っていた株式市場ですが、トランプの発言でまた大荒れですね。

次回から「アメリカと米国債は大丈夫か」について書いていきたいと思っています。

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