今回からはアメリカのREITのお話に移ります。
アメリカのREITの特徴をまとめますと以下のようになります。
1.1970年前後から40年以上の歴史がある
FTSE NAREIT指数の配当込年平均リターンをドルベースと円ベースで比較すると以下のようになります。
10年 20年 30年
ドルベース 11.7% 10.3% 9.9%
円ベース 9.0% 8.9% 6.5%
10年・20年・30年とみてもとても安定したリターンをもたらしています。
2.バブったのは2回、日本と同じで開始当初70年前半、及びリーマンショック前07年
3.多くのセクターに分かれて専門REITが運営されている
例.オフィス、商業モール、住宅、ホテル・リゾート、病院、倉庫、物流施設などで、日本のようにオフィス(5割程度)に偏ってはいない
4.市場規模は日本の10倍で、市場に厚みと流動性がある
時価総額(1月末); 日本 4.6兆円、米国 43.4兆円
REITは株式会社の株が投資対象ですから、価格の上下はあって当然だしそこに投資の面白味もあります。アメリカのREITももちろん価格の上下変動はあります。しかしREITができた当初の70年代はじめと40年後のリーマンショック時を除けば、バブル⇒崩壊の繰り返しではありませんでした。
もちろんリーマンショックは不動産、特にサブプライムを主とした住宅バブルが崩壊したので、REIT市場も大きなダメージを受けています。しかしその後の復元力は日本の土地バブル崩壊とは様相を異にし、20年も価格が低下し続けることはなく、07年のピークから4分の3近く下げた09年の大底から上昇に転じ、すでにピークの8割方まで戻っています。
ざっくり見るとプラスのリターンを7-10年続け、その後マイナスのリターンが1-2年あるという繰り返しで、長期では実に堅実に成長を続けてきた市場で、今後もそうした堅実さは望めると思います。
そして、アメリカには「土地の神話」はありませんでした。日本は特にバブルの時代にそうだったように、『土地は限られたもので不動産を持った者が勝つ』という神話がありました。そのため不動産投資とは土地のキャピタルゲイン狙いで、賃貸料からのインカムゲインを狙うものではなかったのです。
それに対して何度か申し上げているとおり、アメリカでは不動産投資イコール インカムゲインです。賃料がリターンの源泉で、REITは会社全体の儲けの9割を投資家にリターンとして還元します。
比較のため日本の不動産バブルの崩壊を参考に考えてみます。
東京の不動産バブルの頂点と崩壊を見ます。90年9月に私のいたソロモンブラザーズはその当時日本最高賃料と言われた大手町の新築ビルに入りました。賃料は坪当たり9万円弱だったと記憶しています。この記録は今後も破られないのでは・・・。
そのビルの賃料はバブル崩壊後の最低でも4万円くらいで、半分をちょっと下回った程度です。それに対して同じ地区の土地の価格はバブル時と崩壊後の安値では数分の1くらいまでに達しています。
REITは賃料収入主体の運営のため、不動産バブル崩壊にもかなりの抵抗力を持っているのです。
REITも所有不動産の時価評価をしますし、ポートフォリオの入れ替えをします。ですので不動産価格の下落はインパクトを及ぼします。しかしアメリカでは一般的に土地価格は不動産価格全体の1割~3割しかないため、バブル崩壊のインパクトは日本で考えるほど大きいものではありません。
つづく
アメリカのREITの特徴をまとめますと以下のようになります。
1.1970年前後から40年以上の歴史がある
FTSE NAREIT指数の配当込年平均リターンをドルベースと円ベースで比較すると以下のようになります。
10年 20年 30年
ドルベース 11.7% 10.3% 9.9%
円ベース 9.0% 8.9% 6.5%
10年・20年・30年とみてもとても安定したリターンをもたらしています。
2.バブったのは2回、日本と同じで開始当初70年前半、及びリーマンショック前07年
3.多くのセクターに分かれて専門REITが運営されている
例.オフィス、商業モール、住宅、ホテル・リゾート、病院、倉庫、物流施設などで、日本のようにオフィス(5割程度)に偏ってはいない
4.市場規模は日本の10倍で、市場に厚みと流動性がある
時価総額(1月末); 日本 4.6兆円、米国 43.4兆円
REITは株式会社の株が投資対象ですから、価格の上下はあって当然だしそこに投資の面白味もあります。アメリカのREITももちろん価格の上下変動はあります。しかしREITができた当初の70年代はじめと40年後のリーマンショック時を除けば、バブル⇒崩壊の繰り返しではありませんでした。
もちろんリーマンショックは不動産、特にサブプライムを主とした住宅バブルが崩壊したので、REIT市場も大きなダメージを受けています。しかしその後の復元力は日本の土地バブル崩壊とは様相を異にし、20年も価格が低下し続けることはなく、07年のピークから4分の3近く下げた09年の大底から上昇に転じ、すでにピークの8割方まで戻っています。
ざっくり見るとプラスのリターンを7-10年続け、その後マイナスのリターンが1-2年あるという繰り返しで、長期では実に堅実に成長を続けてきた市場で、今後もそうした堅実さは望めると思います。
そして、アメリカには「土地の神話」はありませんでした。日本は特にバブルの時代にそうだったように、『土地は限られたもので不動産を持った者が勝つ』という神話がありました。そのため不動産投資とは土地のキャピタルゲイン狙いで、賃貸料からのインカムゲインを狙うものではなかったのです。
それに対して何度か申し上げているとおり、アメリカでは不動産投資イコール インカムゲインです。賃料がリターンの源泉で、REITは会社全体の儲けの9割を投資家にリターンとして還元します。
比較のため日本の不動産バブルの崩壊を参考に考えてみます。
東京の不動産バブルの頂点と崩壊を見ます。90年9月に私のいたソロモンブラザーズはその当時日本最高賃料と言われた大手町の新築ビルに入りました。賃料は坪当たり9万円弱だったと記憶しています。この記録は今後も破られないのでは・・・。
そのビルの賃料はバブル崩壊後の最低でも4万円くらいで、半分をちょっと下回った程度です。それに対して同じ地区の土地の価格はバブル時と崩壊後の安値では数分の1くらいまでに達しています。
REITは賃料収入主体の運営のため、不動産バブル崩壊にもかなりの抵抗力を持っているのです。
REITも所有不動産の時価評価をしますし、ポートフォリオの入れ替えをします。ですので不動産価格の下落はインパクトを及ぼします。しかしアメリカでは一般的に土地価格は不動産価格全体の1割~3割しかないため、バブル崩壊のインパクトは日本で考えるほど大きいものではありません。
つづく