トランプ政権を批判しまくっている私ですが、価格の下がっているアメリカ国債の現状をどう見ているか?
現在アメリカ国債は金利が上昇、つまり価格は下落しています。債券は株と違い、価格がどこまでも下落するということはありません。何故なら企業の株は将来倒産して価値がゼロになるかもしれませんが、アメリカ国債は必ず100%で償還されるため、一定の価格以下には下がらないからです。ですので金融市場では最後の逃げ込み先、「資本の逃避先」としての地位を確立しているのです。
では何故債券価格が下げているのか?
私の見立ては、「債券相場もトランプ政策の愚かさを批判しているからだ」となります。FRBのパウェル議長を「解任してやる!」と息巻くトランプに、債券相場も鉄槌を下していると見るのが妥当でしょう。
現状のアメリカ国債長期物の代表である10年物金利は4.41%です。一方通常金利高の時にはドル高になるはずが、なんと4月22日現在は140円そこそこの円高と、まさに投資チャンスが拡がっています。
そうした時に投資チャンスを計るのに金利と為替のどちらを重要視すべきかという判断に私は常に、「金利優先」と申し上げてきました。
前回私が「米国債の買い時は続く」という投稿をしたのは3月25日でした。その時の10年債金利は4.31%で、ドル円レートは150円ちょうどでした。
それが現在は金利が4.4%、ドル円レートは140円程度になり、よりよいチャンスが到来しています。
3月時点で10年後の将来のブレークイーブン=損益分岐点のドル円レートは98円でした。この計算の前提はゼロクーポン債で複利運用をした場合の計算です。
ではそのブレークイーブン為替レートは現時点ではどうなっているか、計算してみます。
10年物金利は4.4%、ドル円は140円として計算しますと、
1万ドルの米国債10年物を買うとします。為替が140円なのでちょうど140万円です。金利を現状の4.40%として複利運用すると、10年後には約15,435ドル、つまり1.54倍に増えます。
ブレークイーブンの計算は、払った円額を償還されるドル額で割り算すると計算できます。
140万円 ÷ 15,435ドル = 90.7円・・・ブレークイーブン・レート
3月時点よりさらに安心できる状況になっています。
では同じく30年債ではどうか?
1万ドルの米国債30年物を買うと10年物と同じく150万円必要です。金利を現状の4.93%として複利運用すると、30年後には約43,105ドルになります。ほぼ4倍です。
ブレークイーブンの計算は10年債同様に、
150万円 ÷ 43,105ドル = 34.8円
ドル円レートが30円台などになろうはずはありません。
日本人としては残念ですが、30年先の日本とアメリカの経済規模や国の借金の多寡を考えると、その差は覆い隠せないほど大きいに違いない。
このところコメント欄には米国債を保有している方から、「評価損が出ているが、今後どうなるのか?」という心配の声をいただいています。
私からは、「途中の評価損など気にする必要は一切なし。最後に価格は100で償還されるのですから」と返答を差し上げました。これはたとえばゼロクーポン債でも同じことです。
ゼロクーポン債は買った時より元本額は時間を経るに従ってどんどん上昇するので、マイナスにはなりにくいのですが、それでも心配されている方はいらっしゃるかもしれません。その方々にもはっきりと申し上げますが、「ゼロクーポン債も償還時には必ず100で返ってきます。心配はご無用です」と申し上げます。
以上、「米国債の買いチャンスは拡大した」でした。