ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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農林中金巨額損失のおろかさ解説

2024年06月20日 | ニュース・コメント

 農林中金が恐ろしいほどの巨額損失を出すようです。KHAMさんのコメントに対する返答では、「損失の内容がわからないので、本文での詳しい解説は避けます」としましたが、他の方からも質問をいただいたため、損失内容の分かる範囲で本文にて解説することにしました。

 農中が出す損失は、愚か者にも程がある巨額損失です。ニュースをご存じない方のために、その内容を6月19日のNHKニュースからサマリー引用します。

引用

タイトル;農林中金 来年3月期の最終赤字 1兆5000億円規模に拡大の可能性

農林中央金庫は、外国債券の運用の失敗で巨額の損失の計上を迫られる見通しで、来年3月期の最終赤字が1兆5000億円規模に拡大する可能性があると明らかにしました。リーマンショックの影響で2009年3月期に計上した最終赤字5,700億円を大幅に上回る見通しです。

運用する金融商品の入れ替えを検討した結果、金利が高止まりしている外国債券の含み損を実際の損失として確定させることを決め、今年度中に合わせて10兆円規模の外国債券を売却する方針です。

これに伴い、来年3月期の最終赤字は当初見込んでいた5000億円から1兆5000億円規模に拡大する可能性があるとしています。

引用終わり

 全国の農協のオカネを預かり運用している主体が、あまりにお粗末な債券運用を繰り返しています。これに関して林官房長官は記者会見で「農林中央金庫は、令和5年度の決算で十分な自己資本があり、財務の健全性は確保されている」とわざわざ述べるほど、実は深刻な問題なのです。

 

  私は超安全な米国債投資を著書やブログでみなさんにお勧めしています。いままで米国債投資で損失を出した方からクレームをいただいたことは皆無で、むしろ感謝の言葉は数知れず程いただいています。

  なのにどうして農中は同じ米国債をメインとした債券投資で巨額損失を出してしまったのか。理由をなるべく簡単に解説します。

 先日生保の外債投資による巨額損失で解説したのと同じで、理由は為替ヘッジをするのと、償還まで持ち切り投資を前提としていないからです。

 米国債投資で私が主張しているとおりドル建てのまま持ち切り投資をしていれば損失のしようがありません。なにしろこのドル高なんですから。ところが日本の機関投資家は生保・農中・銀行・債券投信を含め、愚かにもドルが安くなるリスクをヘッジするため、コストのかかる為替ヘッジをしているのです。

 ヘッジする投資方法を簡単に解説します。例えば数年前に10年物ドル金利が3%で、日本の金利が0.5%だった時に、その差2.5%を得ようとしてコストを払って実質円建ての投資にしてしまうのです。

 ヘッジコストが例えばわずか1%で1.5%は必ずもうかるとすると、どの機関投資家も目一杯米国債投資をするはずです。なぜなら日本の金利でそんなおいしい金利をリスクなくもらえることはないからです。しかし、単純にそうならないのはヘッジのニーズが大きくなるとヘッジのコストが上昇し、ヘッジコストは理論値の儲けゼロになってしまうからです。

 ドルの為替差益をなくして投資を続けた結果、米国金利上昇による債券価格低下分だけとなり大損してしまうのです。

 しかしこの価格評価損もまた愚かな話です。そもそも米国債を発行時に近い時100で買ったとします。その時の金利は10年物が3%だとしましょう。償還時まで持ち切れが、元本は100で返還されますので、損得ほぼなし。金利の3%は10年分30%がそのまま利益になります。もし複利運用のゼロクーポン債であれば、償還額は135になるので、利益は35%です。

 農中がみなさんの投資同様、為替のヘッジなどせずドル建てのまま置いておいたらどうなるか。10年前のドル円は105円程度ですから、約5割にもなる為替差益も手に入ります。

 100の投資が金利だけで135になり、さらに為替差益も掛け合わせると、

 135 X 1.5 = 201

 

 つまりただただ買ってそのまま置いておいただけで2倍になったということです。これは実際に米国債を10年前に買った方なら、だれもが実現できているはずです。

 債券投資という単純極まりないものを、ひたすら複雑怪奇にして大損をする大バカ者、それが農林中金であり同じ穴のムジナ生保の債券運用なのです。

 

 実はこれと同じことは債券の投資信託にも言えます。米国債投信はいくらでもあります。しかし米国債投信で価格が2倍にもなったという話を私は聞きません。投信は毎日時価評価をしなければなりません。なぜなら時価を表示しないと投資家を呼び込めないからです。そして金利上昇時には持ち分の評価損が出て、運用成績が悪化します。すると解約が多く出てますます投信価格を下げてしまうという悪循環に陥ります。なので米国債投信は「絶対に買ってはいけない」と口をすっぱくして私は言い続けるのです。

 

 農中や生保などの機関投資家は単純に米国債投資だけをするのでなく、それこそ青学の原晋監督のようにキワモノ劣後債などにも手を出し、さらにCLOのような仕組債にも手を出しているため、より大きな損失を出しています。

 CLOとは、Collateralized Loan Obligationの略称でローン担保証券などと訳されます。例えばアメリカの金融機関がアメリカの事業会社などに対して貸し出しているローンを証券化したもので、ローンの元利金を担保にして発行される債券のことですが、これもまた米国債ほどの流動性はないし、価格は金利により毎日変動を繰り返します。

 

 いま一度機関投資家の諸君に言います。

「米国債投資をする前に、林敬一の本を読め!」

 

注;上記の解説では、「金利上昇に伴う債券価格の低下」の計算には深く触れていません。生保や農中は10年を超え例えば20年、30年というような超長期債に投資します。すると過去に買った時の金利より現時点での金利はたぶん相当高いはずで、債券の時価は20%~30%程度安くなっている可能性すらあります。それが巨額損失の理由です。持ち切れば損失はほぼないのですが、彼らは決算のため時価評価をしなければなりません。そのため年度末に1.5兆円も損失をだすことになるのです。

 以上、「農林中金巨額損失のおろかさ解説」でした。

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トヨタよ、おまえもか

2024年06月12日 | ニュース・コメント

 私は22年9月に「日本には世界に冠たる製造業がある」ってか?というタイトルで、おちょくった内容の投稿をしました。それは同9月に日本の自動車産業をめぐる不正問題が発覚したのを受けてのことでした。

 その時にお示ししたのは、我々がその名をよく知る大企業の不正リストでした。お忘れの方も多いと思いますので、その一部を引用します。

主に単独企業の事件

 この中で東芝は上場廃止にまで追い込まれています。

 そして今回はまたしても世界に冠たるハズの自動車業界の不正です。しかもつい年初にトヨタの子会社であるダイハツ工業が不正をして操業停止に追い込まれた直後のことです。このため24年1-3月期の日本のGDPはマイナス1.8%という結果に終わりました。もちろん能登半島の震災などの影響もありますので、ダイハツだけがマイナスの原因ではありませんが原因の一つだと分析されています。

 

 ダイハツ工業認証試験不正問題とは、23年4月にダイハツ工業が内部通報によって国内向け及び海外向けの車両で衝突試験や排出ガスや燃費の不正が発覚した問題のことです。

 今回はそのダイハツの親会社であるトヨタを含む自動車大手による同様な不正問題の発覚です。トヨタはダイハツの不正を親会社としてどう見ていたのでしょうか?「対岸の火事」としてしか見ていなかったとしか思えません。

 トヨタの経営者であれば少なくとも同じ問題が自社内にないかを23年から調査してしかるべきです。しかもトヨタだけでなく今回はホンダ、マツダ、ヤマハ、スズキまで、5社もが一度に挙げられました。

 

 かつてトヨタはいち早くコーポレートガバナンス体制を変革し、取締役10人中4人も社外取締役を置きました。彼らは高い報酬をもらいながら、いったい何を取り締まっていたのでしょうか。私が株主なら当然「役員報酬を返還せよ」との株主代表訴訟を起こします。アメリカであればその上、「株価下落分の損失補償をせよ」となるでしょう。

 

 私は2021年に「ファンド資本主義が日本を救う」というシリーズを投稿していました。最近になってやっとモノ言う株主の提案を積極的に受け入れることで本格的に経営を改革しようという動きがでてきていますが、いまだ十分にワークしているとは言えないようです。現在、自動車産業は日本の輸出産業の唯一と言っていいほどの存在ですが、それがこの体たらくでは、いったい日本はどうなるのか本当に心配です。

 

 日本の貿易構造は実に単純ですので、ここでちょっと振り返ってみましょう。90年代までは自動車輸出が毎年7~8兆円前後、家電を中心とする電気機器も同じ額程度輸出をしていました。両者で15兆円前後の輸出額で、石油などエネルギー輸入額の7~8兆円を凌駕して貿易収支はその分が黒字となっていました。

 しかしその後2000年代には電気機器は競争力を失い輸出額はほぼゼロとなり、現在の輸出は自動車の一本足打法になっています。そのため2010年台になってエネルギー価格が2倍にも上昇し石油などの輸入額が20兆円近くにも及び、自動車輸出が15兆円程度あるにもかかわらず、貿易赤字が定着してしまっているのが現在の姿です。その他の輸出額は取るに足らない額です。

 その一本足打法の自動車が不祥事にまみれてしまっている。そもそも世界は日本製品の品質の良さと安全性を評価し、多少高くとも日本ブランドを買ってきました。その信頼が裏切られたのが今回の不祥事です。

 しかも現在の政府の産業支援は自動車産業、中でもEV化に向けられているのですが、EV(電気自動車)は300社にも及ぶ中国メーカーが作り過ぎていて、野ざらしの新車在庫が何百万台も朽ち果てているのが実態なのです。

 日本全体の自動車製造台数は23年年間でおよそ900万台。中国は3,000万台ですが、能力的には4,000万台と推定されています。新興メーカーのほとんどはEV車を作っていますので、高コスト体質の日本がEVにより輸出振興を図るのは現実的ではありません。

 さてどうする日本の製造業?

 私には残念ながら答えが見つかりません。

 

 

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マイコス米へのコメント

2024年06月05日 | ニュース・コメント

 先日のマイコス米の投稿記事に、バイオマス発電の専門家、F氏からコメントをいただきました。コメントは私がメンバーになっているサイバーサロンに投稿されたもので、お許しを得てブログに転載させていただきます。

 

 F氏は熊本県のご出身で京都大学理学部化学科を卒業されて旭化成に入社されてから一貫して研究者の道を歩まれています。現在は隠岐の島に在住され、バイオマス発電の実現に向け研究をされています。地球の温暖化を防ぎ、地球環に優しいエネルギーをもって地球を救おうという壮大な目的を持たれ、80歳を過ぎた今も現役の研究者としての姿に私はいつも感動を覚えています。

 今回は私の投稿をさらに補強するようなコメントを寄せていただきました。研究者らしい要点をつかんだコメントですので、みなさんへも内容をそのまま紹介させていただきます。

 

引用

 私は農業のことは専門ではありませんが、このマイコス米の件は「脱炭素」事業にとっては画期的な技術です。

  • 日本の特徴的な稲作文化は、これまで水に影響されてきました。「梅雨」がないと稲作はできません。また東北、北陸などは冬の降雪量によって稲作の出来高に影響されてきました。九州でも「梅雨」を待たないと田植えができませんでした。水から解放されますと、コメ、麦、そばなど収穫の種類を増やしますと、日本では3毛作も可能です。
  • コメ、麦、そばなどは10a当たりの収穫量は5㌧と言われていますから、これをCO₂吸収量に換算しますと10a当たり1㌧になり、水稲栽培に拘りを捨てれば日本の耕作面積は3倍に広がり、その3毛作で3倍にしますとこれまでの穀物のCO₂吸収量が9倍に上がります。 
  • 日本政府のノンカーボンエネルギー政策は今でも太陽光発電が主流ですが、この稼働率はわずかに15%しかありません。これまで田畑ばかりでなく野山まで潰して太陽光発電を増やしてきましたが、これらをすべて取り払ってマイコス米や麦、そば栽培に切り替えるべきですね。太陽光発CO₂吸収はしませんから。
  • これからバイオマス発電またはバイマス・ガスから水素製造が流行りますから、その際に副生する灰はカリウムを大量に含んでいます。これを肥料にしますとマイコス米の収穫量はさらに増えてCO₂吸収量もその分増大します。
  • その上で水田での農作業は自動化が進んではおりますが、すごく効率が悪いと言いわれています。耕起作業もいらないならばさらに作業の効率も上がり4毛作も可能かもしれません。
  • これから北半球の人口は減少しますが、global southの人口は増えていきますので、水と食料は奪い合いになり新たな戦争が起こりかねません。マイコス米は「脱炭素」活動にも、水と食糧問題にも救世主になると思います。

 林さんは経済の専門家として尊敬しておりましたが、こういう情報にも鋭敏に反応していただき、「隠岐の島」という情報から隔絶された山村住んでおります私に貴重な情報を与えていただきますことに深く、また厚く感謝申し上げます。隠岐の島は小さい島ですが広大な荒地も残っておりますので、早速若い農業従事者に林さんからいただきました貴重な情報をメールに添付して転送いたします。

引用終わり

 

 以上、隠岐の島からの便りを紹介させていただきました。

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水田不要、マイコス米が革命をもたらす

2024年05月29日 | ニュース・コメント

 ダイヤモンド誌の5月11日号は、日本の農業のあり方を根底から覆すような農業革命の特集号でした。その中で私が注目したのは、菌根菌資材である「マイコス」という、何が何だかわからないキーワードでした。まずその特集号からの引用をご覧ください。

引用

 農業革命の代表格が、米国発の菌根菌資材マイコスである。マイコスをまぶしてまいた種もみは、田に水を張らなくても雨水で育つ。毛細根が発達し吸水力が高まるためだ。

 田に水を入れない乾田直播という栽培方法なら、育苗、田植え、水位の管理の手間が省ける。マイコス米の生産や農業資材の開発・販売を行うNEWGREENによれば、農業従事者1人当たりの栽培可能面積は慣行栽培の20ヘクタールから47ヘクタールへと急増する。何百枚という田を耕作しなければならない豪農たちが飛び付くのもうなずける。

引用終わり

これだけではわかりづらいので、NORINAという農業コンサル、肥料・種苗などの販売も行っている会社のHPから追加説明を引用します。

HP;https://www.norina.co.jp/products/mykos-ddsr/bb

マイコスはカビの一種です。大昔、あらゆる生物が海から陸へ上がった時から存在します。植物の根っこに感染し「菌根」を形成させ、互いに共生しながら増殖していきます。自然林の土壌には菌根が多く存在しています。菌根とは菌と植物の根が一体となった状態をいいます。これを形成する菌類を「菌根菌」と呼んでいます。稲の根にマイコスを感染させると、土壌中に張りめぐらせた菌糸からリン酸を吸収し、クモの巣のような樹枝状体をつくりだし、宿主である稲と共生するためにそれらを供給します。逆に稲が光合成で生成する糖などのエネルギーをおすそわけしてもらい共生します。
 マイコスに感染させ、水が極端に不足する乾田で実験してみますと、「樹枝状体(arbuscule)」が形成され、生育に必要な水分と栄養分をまかなえることが判明しました。また、草丈が低くなり登熟も早いことから、毎秋に懸念される台風での倒伏や稲穂の沈水も防止できます。

乾田直播によって、従来の田起こし、水張り、代掻き、苗代づくり、田植えが不要になります。除草が成功のカギになり、どれだけ適期に除草するかにより、明暗を分けます。元来、水田では水の濁りが雑草の生育を阻む要因となり、除草機能を有していましたが、乾田直播は除草剤以外にその機能はありません。

 雑草をコントロールしながら、水稲の発根を促し、水分と栄養分を吸い上げ成長させる資材が必要になります。

引用終わり

 さらにアカデミックな観点から議論を展開している「スマート・テロワール」というサイトから、追加の説明を引用します。

「マイコス」とはなんぞや

「マイコス」はバイオシードテクノロジーズ社(https://bioseed.co.jp/)が輸入販売する菌根菌資材のブランド名で、多種の菌根菌をミックスしている。

同社製品の販売代理店のHP(https://info-gri.wixsite.com/csplanet/mykos)に掲載されたマイコスの効能書には以下のような説明が載せられている。

①陸上植物の科の80%超と共生(アブラナ科・アカザ科は対象外)

② 菌糸を根から長く伸ばしてリン酸を土壌から吸収

③ リン以外にも、窒素、カリュウム、マグネシウムや、一部の微量要素(亜鉛、銅、鉄など)の吸収も増加 

④ 作物に抵抗性誘導が生じ、病原菌を根から排除して病害を軽減

⑤干ばつや高塩類濃度土壌での水ストレスに対する宿主作物の抵抗性を高める

⑥菌根菌はグロマリン(glomailn)と呼ばれる糖蛋白質を細胞外に分泌。これが菌糸を土壌に粘着させる。そしてグロマリンは土壌に蓄積し、土壌団粒の安定性を強化する

マイコスをまぶしてまいた種籾は毛細根が発達し吸水力が強まるので、田に水をはらなくとも雨水で育つということのようだ。

この効能書きを信ずれば、吸水効果だけでなく、栄養素の効果的な吸収そして病害虫耐性の拡張、さらには土壌の改善も期待できるようだ。

つまりは減農薬、減化学肥料も期待できるということだ。

「マイコス」米がもたらす福音

終始乾田でのコメ栽培は栽培に関わる生産性の向上に寄与する。

田に水を入れない乾田直播なら、育苗、田植え、水位の管理が省けるからだ。

農業従事者一人当たりの栽培可能面積は慣行栽培の20haから47haへと急増するという実証結果も出ている。(ダイヤモンドオンライン2024/5/7号

https://diamond.jp/articles/-/343101)

もちろん反収増加も期待できる。

さらには乾田でのコメ栽培は温暖化ガス削減にも寄与する。昨今水田で発生するメタンガスが地球温暖化の要因として俎上に載せられてきている。水田から乾田への流れは温暖化対策としても注目されることになるだろう。

また乾田栽培の流れの中で、不耕起栽培への挑戦も始まっている。

https://www.youtube.com/watch?v=XXEtWH5_Ua8&t=246s

不耕起栽培を継続することで土壌が豊かになり、減農薬、減化学肥料が進化し反収増加と資材コストの削減が期待できそうだ。

「マイコス」米によってコメの生産コストが大きく削減されれば、日本米の輸出競争力が拡充する。その時減反政策はもはや捨て去られ、全ての休耕田で再びコメが栽培され、日本は強大なコメの輸出国に変貌してゆくだろう。

輪作体系の導入そしてスマート・テロワールへ

終始乾田化した田ではコメ以外の穀物が栽培可能になる。コメだけでなく小麦やとうもろこしや大豆を栽培することで土壌は肥沃化し、さらなる土地生産性の改善が可能になる。輪作体系の導入は一気に進展し始めるだろう。

となれば、小麦や大豆やとうもろこしの自給率は改善される。

これまでほとんど輸入に頼ってきたとうもろこしが栽培されれば畜産の事業基盤が強固になり、畜産業の拡大も視野に入ってくる。

そればかりか田園は多様な穀物が生育する姿へと変貌して、農村の景観が一気に色とりどりな色彩を帯びて輝きだすに違いない。

まさに松尾雅彦氏が夢見た美しい村が至る所に出現する。つまりスマート・テロワール構想の揺るぎない基盤が構築されることになるわけだ。

「マイコス」米の普及から当分目が離せない。

引用終わり

 

  もしこれらの革命的変化が本物であれば、日本の農業の生産性は飛躍的に増加して農業の収入があがり、災害にも強くなる。今や人口減少の最大の被害者でしかなかった農業が、新規参入の大舞台になることすら考えられます。

 ということで、門外漢の私には知見が全くない分野のことですが、とても衝撃的な内容だったので、みなさんにお知らせすることにしました。この分野に詳しい方のご支援をお願いします。

 以上、「マイコス米が革命をもたらす」でした。

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有名人を語る投資詐欺

2024年05月25日 | ニュース・コメント

 フェースブックやX=旧ツイッターに登録して楽しんでいる方々が、有名人の名を語る投資詐欺に引っかかっていますね。有名人の側も巨大SNSの運営会社を訴えるところにまで至っています。私もフェースブックには参加していますが、詐欺師に名前は使ってもらえません(笑)。

 名前を使われてしまっている堀江貴文氏、前澤勇作氏、池上彰氏、森永卓郎氏などに心から同情申し上げます。

 

 なかでも特に許せないのは、私の古くからの友人である森永卓郎さんを語る詐欺です。彼は私と同時期、1981~2年に日本経済研究センターに出向していた仲間で、私はJALから、彼は日本専売公社、のちの日本たばこから出向し、一緒に日本経済の研究と経済予測に励んでいました。

 彼は日経センターでも人気者で、毎日がバラエティー番組に出演しているようなにぎやかさでした。大好きなマンガは、「ドクタースランプ・アラレちゃん」。そのころから趣味はミニカー集め。

 何故日本たばこに入社したのかを聞かれると、「だって大好きなタバコがいくらでも吸えるんだもーん」と言ってはばからなかったことをよく覚えています。私はそれを真似してJALに入ったのは、「いくらでも飛行機に乗れるんだもーん」と言って笑い合ったのを思い出します。

 

 彼はその後三井情報開発に転職してエコノミストを職業とし、果ては大学教授。私はソロモンブラザーズに転職しバンカーになりましたが、お付き合いは長く続いています。ところが去年の12月に、ガンがステージ4まで進行していることを公表しました。タバコ好きが祟ったのかもしれませんね。それまで何十年も続いていたお互いの年賀状のやりとりも、今年はなくなったのが、とても残念です。しかし最近は病状が安定しているようで、回復することを祈っています。

 

 そうした中、最近フェースブック上で、次のような投稿を見かけました。

「森永卓郎です。ガンがステージ4にまで達し、余命いくばくもありません。みなさんへのせめてもの恩返しに、『これに投資すれば10倍儲かる』という投資を人生の最後にお知らせします」とあるではありませんか。

 

 私からみれば、彼を語る投資詐欺であることはミエミエなのですが、きっと引っかかる人はいるのだろうと懸念を抱きました。余命幾ばくもない人を語る詐欺だけは本当に許しがたいのですが、同時に私自身それに対していかんともしがたく、歯がゆさを感じています。

 そこでせめてもと思い、私のブログで彼を語る投資詐欺にひっかからないよう、記事を投稿することにしました。もちろん私のブログをお読みの方々は、そんな投資詐欺とは無縁であることは百も承知ですが、できればこの投稿を拡散していただきたいのです。といってもXと違い、フェースブックで拡散するのは、容易ではありませんね。

 私も今回の著書、「投資は米国債が一番」の中で一つの章を割いて投資詐欺などへの対処を書いています。第5章、「お金のリスクにご用心」です。

 章の中の小見出しと概要は、

・オカネがからむと、騙す側も巧妙なので注意が必要

 私の知り合いや著名人がひっかかり、数千万~数億単位のカネをだまし取られた実際の事件を紹介しています。カリブのタックスヘイブンまでみんなをツアーに連れて行き、現地で自分の口座を開設するということまでしている詐欺の手口は、お金持ちの心をくすぐるに十分な仕掛けです。

・プリペイドカードやポイントカードでも疑うクセをつけましょう

商品を買う、あるいはポイントが貯まって交換しようとしたら、相手が倒産していたというような簡単なことです。

・オカネは人に預けてはいけないのです

商店街で店舗を借りていた友人が、店をたたもうと家賃10か月分、3千万円の敷金の返済を求めたら、大家が「カネはない。ない袖は振れない」と言われ泣き寝入りせざるをえなかったという事件。

ちなみにアメリカでは敷金は中立機関に信託され、大家もテナントもそれに手を付けられません。

・ネット情報の落とし穴はコレ

この中では詐欺そのものではなく、「安全な投資」や「ストレスフリーの投資」などのキーワードを打ち込んでも、出てくるサイトはギャンブルまがいのFX、株、不動産投資ばかりということを示しました。

 

 元に戻りますと、どうしたらこの有名人を語るSNS詐欺を防げるのか。

政府もさすがに状況を見かねて対策に乗り出すようですが、きっと一般的な取り締まり程度で、オレオレ(特殊)詐欺の対策同様、本当に役に立つ防御などできないのではないでしょうか。

 私は特殊詐欺への対策の決め手はこれだと思っています。私が家内の母親に実際に実行している簡単な対処で、「固定電話を解約し、年寄り向け超安価なスマホではない携帯電話を持たせる」という対処で、コストセーブもできます。もちろん知らない人からの電話は一切受信しない設定にしています。すでに10年近くを経ていますが、これで困ったことは一度もありません。金融機関や公的連絡はほぼすべてが紙ベースだし、役所・病院などでの電話番号の登録も携帯番号にしているためです。

 

 では有名人を語る詐欺への対処はどうするか。私のアイデアは、世界的プラットフォーマーに責任を取らせるという常識的対処です。

「有名人本人が運営者に『あれは私ではなく、詐欺だ』と申し出た場合、すぐにその投稿を削除しなくてはならない」、という法律を作る。有名人にはスタッフがいると思いますので、対処できるでしょう。

 そして削除を実施しないまま放置し実際に騙される方が出た場合、全額の損害賠償をさせ、さらに同額を罰金として日本国に納めさせる。

 

 これくらい単純な立法であれば、すぐにでも実行できるハズ。言論の自由を語って反論することなど詐欺師はしないと思われるので、有効だと思います。詐欺師を特定するのは技術的にも難しいため、サイトを運営する巨大企業数社を相手にするのが一番簡単です。

 すでにEUは以下のような対処案で合意し、実施しています。2022年4月23日ロイターニュースから引用。

巨大IT企業、多額の罰金に直面も-EUがデジタルサービス法案合意

  • 違反に対しては全世界年間売上高の最大6%の罰金が科される

欧州連合(EU)はデジタルサービス法案(DSA)で合意に達した。これにより、世界の巨大IT(情報技術)企業は多額の罰金に直面しかねない。

  大手テクノロジー企業は自社プラットフォームでの違法コンテンツへの対応が不十分との立場をとるEUは、対応策として今回の合意に至った。2024年の早い時期に施行され、違反に対しては全世界年間売上高の最大6%の罰金が科される。

  21年の売上高を基にすると、アマゾン・ドット・コムは理論的には最大260億ユーロ(約3兆6000億円)、グーグルは最大140億ユーロなどと、違反の代償は極めて大きくなりそうだ。

主な内容は:

  • ターゲティング広告のための人種や宗教といった要注意データの使用禁止
  • 未成年者をターゲットにした広告の禁止
  • オンライン上でユーザーを不利な行動に誘導する手法、いわゆる「ダークパターン」の禁止 

  EUの行政執行機関、欧州委員会のベステアー上級副委員長(欧州デジタル化総括、競争政策)はこの日の声明で、「DSAは、安全で責任あるオンライン環境を形成することにつながる」と指摘した。

  一方、グーグルはDSAの目標を歓迎するとし、「それが万人にとって機能するよう、残りの技術的詳細をきちんと整えるために当局と協力していくこと」を楽しみにしているとコメントした。

引用終わり

 

 上記の中でダークパターンの規制が詐欺の規制に該当します。EUではすでに22年に成立した規制を、何故日本政府は放置しているのか。

 それだけでなく、政府は「老後資金2千万円不足」から始まり、「新NISA」で投資を煽りに煽っておいて、肝心な投資詐欺は見逃すなど、もってのほか!

政府こそ金融リテラシーを持っていないことがバレバレです。

 国民の金融・投資のリテラシーを向上させるのはとても時間がかかりますが、プラットフォーマーの規制はすぐにでもできます。

以上

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