先日の予告どおり、オリンピックと株価が今回のテーマです。
アベチャンが政権を取ってから、いろいろな局面で良好な循環が始まっているようです。オリンピックの東京招致成功もその一つでしょう。オリンピック開催をアベノミクス第4の矢にするというのも当然のこととうなずけます。
良好な循環は決して「運」がもたらしたというわけではなく、彼の政策や行動が時宜を得ていることが大きな理由だと思います。今回のNY訪問でも国連のほか、NY証券取引所やハドソン研究所でアベノミクスに関する演説を行いました。もっともアメリカのメディアでほとんど報道がなかったというオマケもついていますが。
では数字ヲタクの私が過去を例に「オリンピックと株価」を単純に比較分析してみます。比較する対象は64年の東京オリンピック、最近では北京、先進国の例として12年のロンドン、そして新興国代表であるブラジルのケースを取り上げ、価格変動を比較します。比較はオリンピックの開催決定時点、開催時点、1年後の時点、そして顕著なピークとボトムとします。
初めは前回64年の東京です。これは経済評論家の西野武彦氏が日付まで詳しく調べていますので、氏の文章から引用します。
決定時点 ピーク 開催時点 開催後ボトム
東京64年 59年5月 61年7月 64年10月 65年7月
786円 1,829円 1,206 1,020
前回の場合は高度成長期でもあり、新幹線や首都高速建設などの大型公共投資をともなったため、バブル景気の状態となりました。株価は59年の開催決定後2年の61年7月に決定時の2倍程度でピークを付け、開催時にはピークからすでに2割下落、その後65年7月にピーク時より半分近く安くなり、いわゆる「いってこい」の状態となりました。このボトムが「昭和40年不況」です。記憶に残っている方もいらっしゃるかもしれません。山一証券が破綻し日銀から特融を受け、それをきっかけに政府は戦後初めて国債を発行しテコ入れに乗り出しました。
次は北京、ロンドン、そしてブラジルのリオですが、開催決定日などが特定できないので、9月とし株価のレベルを表示します。
まず中国はどうだったか。
決定時点 ボトム ピーク 開催時 ボトム2 現時点
北京08年 01年9月 05年11月 07年10月 08年8月 08年10月 13年9月 2,065 1,100 5,954 2,400 1,728 2,160
中国の株式相場(上海コンポジット)は日本より激しい瞬間湯沸かし器型バブルでした。決定時点でおよそ2,000だった指数がオリンピックの開催3年前には逆に半分の1,000になってしまい、それが開催前年07年10月に超ピークの約6,000と6倍になり、そのわずか1年後、つまりオリンピックが終わって2カ月後の08年10月にはピークの3分の1以下に下落して決定時点以下の1,728となりました。そして現在は2,160と依然として低迷中です。
次は先進国でしかも老大国というイメージの英国、ロンドン(FT100指数)ではどうだったでしょう。
決定時点 ピーク ボトム 開催時 現時点
ロンドン12年 05年9月 07年10月 09年3月 12年8月 13年9月
5,500 6,700 3,900 5,700 6,500
開催決定からピークまでは22%上昇、リーマンショックで09年3月にピークから42%下落、開催時には決定時と同レベルに戻し、現時点は開催よりさらに14%上昇です。決定時点から振り返ると、東京よりマイルドな上昇、しかしリーマンショックで大きく下落、そこから立ち直り開催時には決定時を回復し、1年後である現状は若干の上昇です。
最後は新興国イメージの強いブラジルです。
決定時点 ピーク ボトム 現時点
リオ16年 09年9月 10年11月 11年3月 13年9月
60,500 72,000 52,000 53,700
ブラジルはオリンピックのほか、次のサッカー・ワールド・カップも開催します。その割には09年の決定時から10年のピークまでわずか20%の上昇、そこから11年のボトムまで28%の下落。そして現時点でも開催決定時より11%下落したレベルのまま低迷と意外な展開です。その前に日本のバブルのような超ピークでもあって低迷しているのかともうしますと、そうでもないのです。オリンピックと関係なく08年5月に史上最高値をつけそれが72,593と10年のピークとほぼ同じレベルなのです。同じ新興国でも中国の熱狂相場とはたいした違いがあります。
さて、こうして見てくると、オリンピックが株価に与える効果というのは、どうも単純にいいことばかりではなさそうです。ブラジルの開催はまだ先とはいえ、何故か共通するのは「開催決定後にピークを付け、開催時にはむしろ低迷期に入る」。株価の実体経済先取り機能の面目躍如という感があります。
もちろん株価は国の発展ステージに相当程度左右されますから、日本の60年代、中国の00年代、英国とブラジルの10年代を横に並べるのは無理があるのですが、それでも共通項を探すと若干見えてくるものがありそうです。
では次の東京のケースはどうなるのか?
それはみなさんの予想にお任せし、私は予想はよそうと思っています(笑)。
アベチャンが政権を取ってから、いろいろな局面で良好な循環が始まっているようです。オリンピックの東京招致成功もその一つでしょう。オリンピック開催をアベノミクス第4の矢にするというのも当然のこととうなずけます。
良好な循環は決して「運」がもたらしたというわけではなく、彼の政策や行動が時宜を得ていることが大きな理由だと思います。今回のNY訪問でも国連のほか、NY証券取引所やハドソン研究所でアベノミクスに関する演説を行いました。もっともアメリカのメディアでほとんど報道がなかったというオマケもついていますが。
では数字ヲタクの私が過去を例に「オリンピックと株価」を単純に比較分析してみます。比較する対象は64年の東京オリンピック、最近では北京、先進国の例として12年のロンドン、そして新興国代表であるブラジルのケースを取り上げ、価格変動を比較します。比較はオリンピックの開催決定時点、開催時点、1年後の時点、そして顕著なピークとボトムとします。
初めは前回64年の東京です。これは経済評論家の西野武彦氏が日付まで詳しく調べていますので、氏の文章から引用します。
決定時点 ピーク 開催時点 開催後ボトム
東京64年 59年5月 61年7月 64年10月 65年7月
786円 1,829円 1,206 1,020
前回の場合は高度成長期でもあり、新幹線や首都高速建設などの大型公共投資をともなったため、バブル景気の状態となりました。株価は59年の開催決定後2年の61年7月に決定時の2倍程度でピークを付け、開催時にはピークからすでに2割下落、その後65年7月にピーク時より半分近く安くなり、いわゆる「いってこい」の状態となりました。このボトムが「昭和40年不況」です。記憶に残っている方もいらっしゃるかもしれません。山一証券が破綻し日銀から特融を受け、それをきっかけに政府は戦後初めて国債を発行しテコ入れに乗り出しました。
次は北京、ロンドン、そしてブラジルのリオですが、開催決定日などが特定できないので、9月とし株価のレベルを表示します。
まず中国はどうだったか。
決定時点 ボトム ピーク 開催時 ボトム2 現時点
北京08年 01年9月 05年11月 07年10月 08年8月 08年10月 13年9月 2,065 1,100 5,954 2,400 1,728 2,160
中国の株式相場(上海コンポジット)は日本より激しい瞬間湯沸かし器型バブルでした。決定時点でおよそ2,000だった指数がオリンピックの開催3年前には逆に半分の1,000になってしまい、それが開催前年07年10月に超ピークの約6,000と6倍になり、そのわずか1年後、つまりオリンピックが終わって2カ月後の08年10月にはピークの3分の1以下に下落して決定時点以下の1,728となりました。そして現在は2,160と依然として低迷中です。
次は先進国でしかも老大国というイメージの英国、ロンドン(FT100指数)ではどうだったでしょう。
決定時点 ピーク ボトム 開催時 現時点
ロンドン12年 05年9月 07年10月 09年3月 12年8月 13年9月
5,500 6,700 3,900 5,700 6,500
開催決定からピークまでは22%上昇、リーマンショックで09年3月にピークから42%下落、開催時には決定時と同レベルに戻し、現時点は開催よりさらに14%上昇です。決定時点から振り返ると、東京よりマイルドな上昇、しかしリーマンショックで大きく下落、そこから立ち直り開催時には決定時を回復し、1年後である現状は若干の上昇です。
最後は新興国イメージの強いブラジルです。
決定時点 ピーク ボトム 現時点
リオ16年 09年9月 10年11月 11年3月 13年9月
60,500 72,000 52,000 53,700
ブラジルはオリンピックのほか、次のサッカー・ワールド・カップも開催します。その割には09年の決定時から10年のピークまでわずか20%の上昇、そこから11年のボトムまで28%の下落。そして現時点でも開催決定時より11%下落したレベルのまま低迷と意外な展開です。その前に日本のバブルのような超ピークでもあって低迷しているのかともうしますと、そうでもないのです。オリンピックと関係なく08年5月に史上最高値をつけそれが72,593と10年のピークとほぼ同じレベルなのです。同じ新興国でも中国の熱狂相場とはたいした違いがあります。
さて、こうして見てくると、オリンピックが株価に与える効果というのは、どうも単純にいいことばかりではなさそうです。ブラジルの開催はまだ先とはいえ、何故か共通するのは「開催決定後にピークを付け、開催時にはむしろ低迷期に入る」。株価の実体経済先取り機能の面目躍如という感があります。
もちろん株価は国の発展ステージに相当程度左右されますから、日本の60年代、中国の00年代、英国とブラジルの10年代を横に並べるのは無理があるのですが、それでも共通項を探すと若干見えてくるものがありそうです。
では次の東京のケースはどうなるのか?
それはみなさんの予想にお任せし、私は予想はよそうと思っています(笑)。