ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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中国リスクについて その9

2014年04月30日 | ニュース・コメント
前回の記事では中国バブルの崩壊リスクについて、きっかけが不動産バブル崩壊に始まるだろうと申し上げました。中国の不動産バブルについては、これまで何度か指摘されてきましたが、実際には地域的な不動産価格の下落程度で終わっています。では今後も同じ様に大したことなく終わるか否を見てみましょう。私はもちろん今回は怪しいと見ています。

 不動産バブルの崩壊の歴史を見ると典型的なパターンがみつかります。それらは以下の3つの条件が揃った時に起こります。

1.銀行が不動産を担保に貸出を増加させ、不動産業全体の負債比率が高まる

2.銀行以外の貸し手が不動産投機を煽るメカニズムを提供する

3.経済成長率の低下と不動産価格の下落が同時進行する



これを他国の例と中国の例で比較してみましょう。

 まず1の負債比率です。日本のバブル時代、一般企業の自己資本比率は総資産の2割程度でした。その逆数の負債比率は自己資本に対して4倍もあったことになります。一般的に信用度の高い企業はの負債は自己資本の1-2倍程度で、4倍はかなり異常な状態でした。しかしその時は不動産や株式などの含み益があるので大丈夫だということになっていました。その中でも不動産投資にのめり込んだノンバンクだと10倍は当たり前、商社などでも10-20倍は当たり前で、中には50倍近い企業までありました。銀行は信用規制を逃れるためにノンバンクを積極的に利用したのです。株式や不動産の担保の価値が下がり始めると、自己資本はあっという間に飛んでしまい、いわゆる債務超過に陥ります。

 アメリカでは投資家が古くから、銀行に対しても企業に対しても負債比率を厳しく見ていたため、自己資本比率を下げて投資に励むことはできなかったのですが、それを回避するために開発されたのが証券化という手法です。投資物件を自分のバランスシートから外して、投資家の手にゆだねるのが証券化手法です。しかしこれとて行き過ぎたらどうなるかは、証券化の極みともいえるサブプライムローンの例を見ればあきらかです。

 中国ではどうかを見ます。不動産会社の自己資本比率のしっかりとした統計が取りにくいので、信用ある調査情報を援用します。昨年10月に発表されたJPMチェースの調査報告は企業全般に関して以下のように述べています。

「2012年の中国の企業債務残高は5年間で約3割増加し、約65兆元(約910兆円)に達している。対GDP比は124%で、過去15年間の最高水準である。一方、先進国の企業債務の平均的な対GDP比は50~70%であり、中国企業の負債規模は約その2倍となる。中国非金融系企業の利益率は世界平均の半分であるため、それを考慮に入れると、中国企業の負債率は実に世界平均の4倍となる。」

 これはGDPとの対比で自己資本との対比ではありませんが、一般的先進国と比較して4倍というレベル感は得られると思います。ちなみに、上場している鉄鋼大手4社の負債比率は自己資本の丁度4倍程度です。この負債レベルは先ほどの日本のバブル期の一般企業並みに高く、危険水準に達していると言えます。不動産会社は非公開の地方政府系企業も多く、自己資本統計がないので正確には計りかねますが、不動産会社の倒産が増えている事実が切迫度合いを示していると言えます。

 次に2.の銀行以外の貸し手の利用についてです。日本では銀行が自分ではもう貸出を増やせないところまで貸し出した後、活躍したのはノンバンクでした。ノンバンクというトンネル会社、もしくはう回経路を作り、貸出を増加させました。一方アメリカは証券化という別の道を作り、やはり過剰な負債の表面を取り繕ったのです。そしてそれに該当するのが中国ではシャドウバンク理財商品信託商品で、条件の2が揃ったと言えます。

 最後の条件は3.の成長率の低下と不動産価格の下落です。成長率はいまのところ7%台で、中国としてはかなり低いのですが、一般論としてはまだ高めの成長率を保っています。しかしこのところの政府高官の発言は、さらなる成長率の低下を警告するものが増えています。となると成長率のさらなる低下が始まると、いよいよ危険水域に達します。

 そして本命の不動産価格の動向ですが、これについては次回につづきます。

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中国リスクについて その8

2014年04月24日 | 2014年の資産運用
 『最悪シナリオ; 政治的崩壊とバブル崩壊の同時発生』

 さて、中国に戻ります。前回の記事で私は以下のように述べています。

 「バブルの 崩壊と国内の政治的な混乱が国内を騒じょう状態にし、長期に渡り国が疲弊する可能性が大いにあると思います。理由は、共産党の一党独裁体制に変わる体制が 見出しにくいからです。」

 経済バブルの崩壊と体制崩壊は単独より同時発生することが多いのです。そして巨大国家のバブル崩壊は、世界経済にも大きな影響を及ぼします。今回はそれをもう少し詳しく分解してみてみます。

 同時崩壊を中国に当てはめるなら、次のようなシナリオになると思われます。

・過剰な不動産投資によるバブルの崩壊が経済成長をスローダウンさせる

・成長がスローダウンすると国民の大多数を占める貧困層の不平等に対する不満を政府は吸収することができなくなり、党への不満を爆発させる

・民族問題がそれに拍車をかけることで、同時多発問題への消火が間に合わなくなる


 社会主義を標ぼうしながら貧富の差が拡大してゆく矛盾に対する不満をこれまでは急成長に伴う所得の増加が吸収してきました。しかしバルブ崩壊により所得増加率が低下し、海外から人件費のより安い新たな競争相手が迫るため、経済運営は困難を極めます。人的資源に頼る成長から技術力による生産性の向上での成長へと舵を切ることは容易ではありません。さらにPM2.5に代表される環境問題への対処もコスト増を招き、偽ブランドやパテント問題への解決も競争力を削ぐ要因になります。

 過剰な不動産投資によるバブルの崩壊が経済成長をスローダウンさせ、それが政治体制の崩壊にもつながった場合、世界はどういった影響を覚悟する必要があるか、私は以下のように考えます。

経済的側面

・中国国内で事業をおこなっている企業、中国へ輸出をしている企業は収益の激減に見舞われる
・資源多消費型の製造業が多いため、資源価格が暴落する
・その結果一時的には世界の株式市場は大暴落する。日本も例外ではない
・ふたたび米国債だけが買われ、中国による売却など簡単に吸収される
・しかし世界の工場機能がストップするわけではないため、中国製品の供給は続く
・為替レートは元安に大きく振れ、中国の輸出を助ける
・海外から中国への投資はリスクの顕在化から激減する

政治的側面
・新たな政治体制の方向性が定まるまでの時間は、ロシア・東欧などの経験則を当てはめれば10年程度かかるが、中国の場合はそれより短時間が見込まれる
・チベットなどいくつかの地域は独立あるいは自治権を得る
・地政学的には大きな脅威だった中国が影響力を失い、脅威が一つ減る
・北朝鮮が後ろ盾を失い、崩壊する
・韓国が北朝鮮を救済さざるを得ず、経済的に膨大な負担を強いられる


 もしこうしたシナリオが現実のものとなれば中国は一時的には焼け野が原になっても、経済・政治改革が強制的に成し遂げられることにより、投資対象として比較的早期に見直される可能性が大です。何故比較的早期なのかと申しますと、中国の場合はロシアと違い華僑の回帰が見込まれるからです。政治的自由を求めたり、バブル崩壊を予測して逃避していた人や資金は莫大で、それらがかなりの程度戻ることが予想されるので、ロシアなどより回復は早いと思われるのです。

 このシナリオの最大リスクは、共産党政府がやぶれかぶれになって国内をまとめるために対外的な冒険を企てることです。私はこうなった段階での冒険は軍部が許さないと思います。対外的に事を構えても、負けることを一番知っているのは実は軍部だからです。


 さてここまで一国のバブル崩壊について、岡目八目的に見てきました。我々は自国がバブル崩壊に見舞われたため、学習効果から世界の各地で生じているバブルを冷静に見つめることができます。そして崩壊・再生過程のイメージをある程度描くことができます。

 「投資とはどこまでいってもバブルと崩壊の繰り返しだ」ということを肝に銘じていれば、中国の崩壊も投資の大チャンスであって、怖がる必要など全くありません。

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イアン・ブレーマー氏の見解

2014年04月21日 | ニュース・コメント
 ある方から以下のようなコメントを直接いただきました。

 「ウクライナ問題はかなりこじれて一層深刻化しているのに、本当にたいしたことなく終わるの?金融市場は大丈夫なの?」というものです。

 私は中国リスクのお話しの前に、3月の初旬以来ウクライナ問題をかなり楽観的かつ簡単に片づけていました。「中国問題に比べれば金融市場への影響はたいしたことはない」と言いきっていました。実はその後欧米・ロシア・ウクライナの話し合いで合意があっても、逆にウクライナ問題がこじれても、市場はたいした材料として反応していません。また株式のアナリストなども株価変動の要因としてコメントに上げることがほとんどなくなってきています。みなさんも意外な感じを持たれているかもしれません。

 今日はウクライナ問題に関して私の考え方を多少裏付ける意味で、権威ある方の見解を紹介します。それはアメリカのユーラシア・グループ代表のイアン・ブレーマー氏の見解です。ブレーマー氏は世界の様々なリスク分析と将来見通しを専門にしていて、分析の的確さは東西随一で、常に私が言動を最も注目しているアナリストの一人です。

 今回は本日、4月21日(月)付けの日経新聞朝刊のコラムに掲載されている氏の「オピニオン」をみなさんに紹介します。タイトルは「新たな冷戦は起こらない」です。

本日の記事のポイントを列記しますと、

・今回のウクライナ問題は米ロ関係の転換点となり、9・11以来最も重要な出来事だ

・ソ連時代と違い、ロシアは強大な友好国を持たないし、新たな友好国を獲得する力もない

・ロシアの昨年の経済成長率は1.3%しかなく資源輸出への依存度が高いが、資源価格は高騰しないので成長力の回復はない

・ロシアは中国を自陣に引き込むことはできない。なぜなら中国の主要輸出先は欧米で、それらを敵に回すことはできないため

・しかも中国はチベットと新疆ウイグル自治区で自治要求問題を抱えており、ウクライナの分裂を許せば、自国に跳ね返る恐れがある


 こうしたことから「新冷戦時代などにはなりえない」というのが氏の見解です。私の見解よりこの問題の影響を大きく考えていることは確かですが、基本的方向は私が述べていた「ロシアは経済力が落ちているし、エネルギーを人質にとって欧米と対立すれば自爆テロになる」のでそんなことはしないという楽観論に通じる部分があると思われます。

 こうした見解がその通りになるのか否かはもちろんわかりませんが、私は依然としてウクライナが相当程度こじれても世界の金融市場へのインパクトはさほど大きいものになることはないと考えています。理由は3月に述べているとおり、ロシアの経済的影響力が世界に対して、とりわけ日本に対して大きくないからです。


以上

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中国リスクについて その7

2014年04月18日 | ニュース・コメント
 前回はソ連崩壊のきっかけとなった東欧諸国の崩壊に、ジョージ・ソロスの支援があったというお話を差し上げました。もちろんそれだけが原因ではないでしょうが、一定の影響力は持っていたと思われます。

 中国には東欧諸国のような周辺国はありません。チベットのように自国に編入してしまった地域はありますが、それらの地域が反抗しても国内問題だと主張されれば国際社会は支援しづらく、中国政府にはかないません。漢民族以外の民族が漢民族に対して反乱するというシナリオも、現実的ではないと思います。むしろ体制の敵は体制内の自国民でしょう。東欧諸国と違い、中国人民は世界の情報を問題なく取れる時代になっています。そのため自国の抑圧的な体制への人民の不満は非常に強いものがあります。私の勝手な中国崩壊シナリオは、チベットなどの民族的反乱からではなく、自国民の不満の爆発がきっかけだろうと考えています。

 それは経済的恩恵に浴していない地方から始まる可能性が大です。農地を取り上げられた農民、地方政府の主導する不動産開発などに投資して損失をこうむった小金持ちの反政府運動は侮れません。それに呼応するのは都会で失業中の若者でしょう。大学を卒業しても仕事にありつけない若者が半数近くいて、不満のはけ口を政府に向け共同歩調を取る。それにプラスして、阿古先生の記事にあったような知識人も「新公民運動」などを通じてそれらをサポートすることになるでしょう。

 まず反体制側の農民や若者は共産党の地方政治局員をはじめ地方の党有力者をことごとく血祭りに上げ、不正蓄財をあばくでしょう。同様に一般警察官も警察官僚を血祭りに上げ不正蓄財をあばき、最後は一般の軍人が軍の有力者を・・・、という連鎖が起こる可能性があると思われます。こうした動きはこれまで世界中の独裁者達がたどった道と同じですが、中国の場合は独裁者ではなく、独裁集団が対象となるため、独裁者一人を血祭りにするだけでは済まないところが収拾を長引かせると思います。

 中国政府が習近平になって本格化した汚職の検挙などは、そうした反体制的な動きを察知して自らを律する方向なのですが、それを強力に推し進めると党の中堅実力者達も身の危険を感じ始めます。すでに逃げの手を打っている「裸官」同様、自分が汚職で挙げられる前に逃げるが勝ちとなるでしょう。

 では先に指摘した中国の経済的バブル崩壊と抑圧的体制への不満の爆発が一度に起こった時にはどうなるかについてです。結論的に申し上げますと、バブルの崩壊と国内の政治的な混乱が国内を騒じょう状態にし、長期に渡り国が疲弊する可能性が大いにあると思います。理由は、共産党の一党独裁体制に変わる体制が見出しにくいからです。60年以上続いた体制のため、誰もが民主政治に慣れ親しんでいないのです。

 ソ連からロシアへの変遷を振り返ると、74年続いた共産党独裁が91年のソ連邦解体で終わり、エリツィンが大統領だった混乱期を経て98年に財政が破綻。99年のプーチン大統領就任後数年を経てやっと資源大国として落ち着くまで、政治・経済的な混乱は10年以上続きました。そしてロシアの場合、エネルギーを中心とした「資源」という切り札が出てきて初めて国を治めることができました。要は財政がバラマキをすることが可能になったのです。

 では中国に混乱を収束させる切り札があるか?巨大な人口という資源が唯一の切り札でしょう。しかし人件費の安さだけの勝負では、新新興国にかなわなくなってきますので、切り札と言えるかは疑問が残るのです。


 とまあ、ここまでエラそうなことを書いていますが、私は国際政治の専門家ではありませんので、しょせん過去の歴史に照らし合わせるとこんな具合か、という程度のお話として聞いておいてください。

 では、そうしたことが実際に起こった場合を想定し、日本をはじめ世界経済へどう影響するか、ここが一番大切なところですので、次回はそのあたりを金融市場の専門家の視点から考察してみることにします。

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中国リスクについて その6

2014年04月15日 | ニュース・コメント
 3月16日の記事で私はウクライナ危機をどうみるかについて見解を述べています。内容は、「プーチンは西欧を人質にとるエネルギー供給ストップは自爆テロなのでできっこない」と楽観論を申し上げました。

週末にロイター電は次のようなニュースを流しています。
1.ラブロフ外相はウクライナのさらなる編入は望まないと述べた
2.プーチン大統領は、欧州の天然ガス供給は契約どおり行い、ウクライナへの天然ガス供給を止める意向はないと述べた


  いずれもこれまでの市場の疑心暗鬼を払しょくする発言ですから、週明けの株式相場にはプラスの材料です。しかしウクライナ国内の状況はロシアの首脳の思惑を超えて悪化しています。それでも私はロシアと欧米の最悪の突っ張り合いの事態までには至らないと予想しています。


 さて中国バブルの続きです。前回は中国バブルを4つ視点で検証してみました。おさらいしますと、

1. 日本のバブルとの比較・・・その1
一人当たりGDPでは中国はまだ日本の5分の1しかないため、長い目で見た衝撃の吸収力は中国のほうがある。

2.世界の実態経済への影響度
 世界の工場と言われる工場の具体的立地はほとんどが沿海地域で、バブっている地方都市とは離れているので影響は大きくない

3.世界の金融市場への影響度、日本との比較・・・その2
 海外から中国市場への投資はすべてが制限されているので、世界が損をかぶることは少ない。中国の大金持は政治的崩壊リスクと経済バブル崩壊のリスクヘッジをすでに十分進めている。

4.中国バブル崩壊の心理的効果・・・リーマンショックとの比較
リーマン前夜は日本を含め、世界の大部分がアメリカの好景気の恩恵を受けバブル状態にあり、世界中で株・不動産が沸き立っていたため、ショックの伝搬力が強かったが、中国の場合はそうした世界的バブルの気配はないため、激震の震度は弱い。

  以上のように、中国バブルの崩壊が金融市場と実体経済に与える影響は瞬間的には大きくとも、リーマンショックほど全世界に甚大な影響を与えるほどではないと予想しています。ただし、政治体制の崩壊が同時に来ると、混乱は大きくなり長引きます。

 中国は統治体制に無理があるため、体制崩壊のリスクがあります。その要因を簡単に並べますと、
① 基本的人権の自由がないこと
② 民主主義でないこと
③ 共産党幹部の汚職がひどいこと

それと
④ 多民族を力でまとめてきたこと

 はじめの3つの改革はどの国でも豊かになってくれば必ず通過しなければならないステップです。すでに③の共産党幹部の汚職問題は習近平国家主席が取り組み始めていますが、①、②は手をつけることができません。④の多民族国家の問題はそれらとは少し毛色が違います。

 これらの問題がどう展開するか、これまでやってきたように歴史の教訓を援用して予想しますと、その崩壊は旧ソ連の崩壊過程とダブらせることができます。社会主義のタガがはずれ、自由を求めていた人々やロシア周辺の抑圧されていた民族が立ちあがり、ソ連が崩壊しました。

 中国はその歴史を目の当たりにしているので、同じ轍を踏まないよう細心の注意を払いながら国家を運営しようとしています。そのため現在は統制を強めていますが、強めれば強めるほど人民の心は強く自由を求めます。

 ソ連が崩壊した90年前後はインターネットの時代ではなく、一般の人は海外の情報がほとんど取れませんでした。今の北朝鮮と同じです。ソ連の影響下にあった東側の国々でもその状況に変わりはなかったのですが、ポーランドをはじめ東側の国々から体制の崩壊が始まりました。それを後押ししたのは実はジョージ・ソロスです。彼は自らが自由のないハンガリーを脱出して資産を築き、世界の抑圧された人々の解放を目指してオープン・ソサエティという概念を広めようとしています。そのために毎年2億ドル程度を使い衛星テレビなどの情報機器を母国ハンガリーをはじめとする東側の国の人々に提供し、旧体制の崩壊に貢献しました。彼の慈善活動の総額はすでに8千億円と推定されています。

 ソ連の崩壊はソ連の影響下にあった東欧諸国の体制崩壊からスタートし、本国の崩壊につながっています。ソロスはそうした経緯を意識してか、現在も強い政治的意図を持って中国に制圧されているチベットを支援しています。それが功を奏するか、難しいところです。

つづく


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