ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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日米株式市場回顧録

2020年11月25日 | 株式市場

  ニューヨークのダウ平均株価が3万ドルを超えましたね。米国株に投資をされている方も多いと思います。ご同慶の至りです。

  アメリカ人の多くは長期の積立投資で税控除が受けられる401K制度で株式投資をしています。金融資産に占める株式や投信の割合は、日本の13%に対してアメリカは45%。反対に現預金は日本の54%に対してアメリカはわずか14%です。

  従ってアメリカ人にとって株高は消費や住宅投資にプラスに働くため、それが将来の企業収益を改善し、さらに株高を支える材料になります。しかし株価が反転すると、逆に負の連鎖になりますので要注意です。

 

  株価が割高か否かの判断材料となるPER(株価収益率)はアメリカですでに30倍に近いレベルに到達しています。従来企業収益に対する株価の倍率は15倍程度が妥当、20倍を超えると行き過ぎと言われていました。その水準をすでに大きく超えるところまで株は買われています。日本でも倍率は25倍に達しています。

  それを作り出しているのが各国中央銀行による超緩和策ですが、このところのコロナ禍もあって引き締めの気配は一向にありません。

  では緩和策が続く限り株高はどこまでも高進するのでしょうか。私はそうは見ていません。学生時代から50年以上相場を見ている人間ですから、単純に考え、高くなり過ぎた相場はそれなりに下落すると思っています。

  日本の株価もアメリカに引きずられるように高くなりました。最近は、「20数年ぶりの高値」という言葉を毎日のように聞くようになりました。日経平均株価で89年末のピーク38,915円と比較すると、現在の26,500円は7割のレベルにまで回復しました。ちなみにバブル崩壊後のどん底は2009年の7,600円くらいでした。そこからは3.5倍になっています。

  日米の株価を比較すると、この30年間で株式相場は歴然と差がつきました。NYダウは90年年初の2,770ドルが現在3万ドルへ約11倍も値上がりしています。

 

  そしてもう一つの株式市場の見方で見ると、実はもっと違った景色を見ることができます。それは市場規模全体を表す「時価総額」の指標です。一社の株式数に株価を掛けると会社の時価総額が計算できますが、すべての銘柄の時価総額の合計が市場全体の時価総額です。

  今年10月末の日本全体の株式時価総額は624兆円です。バブルの頂点での時価総額は611兆円でしたから、実はバブルの頂点を若干ですがすでに超えているのです。

  先ほど示したように日経平均株価はまだピークの7割ですのでずいぶん景色は違います。この理由は、上場株式の銘柄は89年末のピーク時から大きく入れ替わっていますし、銘柄数が非常に多くなっていることによります。このため時価総額は大きくなったのです。ちなみに東証1部の1990年の銘柄数は1,190。現在は2,173と約2倍になっています。

 

  一方アメリカにはNY市場だけでなく、ナスダック市場という大きな市場があり、存在感を強めています。数字で比較しますと、NY市場の時価総額21兆ドルに対して、ナスダックは16兆ドルもあり、76%に相当します。日本のナスダックに相当するジャスダックやマザーズ市場は東証に比較するとわずか5%しかありませんので、端数のような存在です。

  円貨で換算するとNY市場の時価総額は2,200兆円、ナスダックは1,680兆円と巨大で、日本全体は624兆円に過ぎません。寂しい限りです。

  特にナスダックに上場されている企業でGAFAMという巨大銘柄群の時価総額を並べてみますと、

 Google;124兆円

 Amazon; 162兆円

 Facebook; 82兆円

    Apple; 204兆円

 Micro Soft;168兆円

  たった5銘柄で合計740兆円と、日本全体624兆円を超えてしまいました。ちなみに日本で最大のトヨタの時価総額は21兆円です。

  つまりアメリカの株式市場は株価の上昇もさることながら、ハイテク新興株の著しい成長に支えられていることがわかります。経済の好循環を作り出す、アメリカの経済力の源泉がここにあります。

 

  では果たしてこの日米の株価の上昇はどこまで続くのか、楽しみに見ていきましょう。私の見方は、最初に「PERという指標で見て買われ過ぎ」と申し上げました。「超長期の視点から、妥当なPERにいずれは収れんする時がくるだろう」と思っています。

 

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STOP THE “GO TO” CAMPAIGN, NOW!

2020年11月19日 | コロナショック

感染拡大が恐ろしいレベルに達していますね。

「小池都知事はいったい何をためらっているのか」と書いた私の警告は残念ながら知事には届かず(笑)、政府にも届かず、とんでもないことになりつつあります。これではまるでトランプのアメリカと同じで、せっかくの自粛の努力も元の木阿弥になりつつあります。

  もちろん都知事だけでなく、政府も同罪です。彼らの主張は、

・感染者の大半は若い人たち

・重症患者は多くない

・病院の受け入れ態勢は十分だ

  こんなたわ言は着々と否定されつつあります。若い感染者たちは当然高齢者に感染させるし、それが重症者を増加させ、病床はあっと言う間にひっ迫します。最近の病院関係者のコメントは全員が,「このままではあっという間に病床は不足する。余裕があるなどはウソ」と断言しています。

    「コロナ感染抑制と経済の両立を図るのは無理」

  これがシロウトである私の結論です。

  ではクロウトの先生はどうおっしゃっているか。今週NHKBS番組で紹介された東京大学医科学研究所でコロナウイルスと第一線で格闘している河岡義裕教授の言葉です。しっかりと覚えておきましょう。

「一番怖いのは、この程度の自粛でいいんだという思いで冬に突入すること」、という言葉です。

  新型コロナの治療薬で唯一承認されたレムデシビルは、河岡教授の基礎研究の成果によって製造に成功しました。河岡教授はウイルス研究界のスパースターと言われているそうで、ノーベル賞候補ともいわれています。

引用終わり

 

   実はこの文章は7月24日に私が投稿した文章です。GO TOキャンペーンというアクセルと、感染抑制のブレーキを同時に踏んでも、無理だという趣旨の主張でした。このあと8月に新規感染者数は、4月のピークである700人を2倍も上回る1600人近くに達し、その後9月には500人レベルに落ちました。しかし東京都のキャンペーン参加により一気に増加し、現状は2000人に達してしまいました。こんなバカなことを一体いつまで繰り返すのでしょうか。私の見るところ、ワクチン投与により本格的に抑制される来年の後半まで、きっと政府はこのストップ・アンド・ゴーを続けることでしょう。

  コロナ抑制と経済回復の両立が無理だという状況は、もちろん世界の状況が証明しています。先進国ともあろうアメリカや欧州がこぞって感染者の激増により、経済に大ブレーキをかけ始めています。それでも感染者の増加は一向におさまりません。

    それに対し感染源であった中国は、2月に6000人でピークを打ち、3月にはわずか数十名から数人程度に抑え込み、そのレベルが11月現在まで継続しています。初期にしっかりと厳しい措置で抑え込んだおかげで、世界の大国で随一の経済回復を謳歌しています。中国の発表数字は信用ならないという方も多いとは思いますが、専門家の多くも中国の抑え込みは成功していると評価しています。

   本日11月19日、東京都が500人の感染者数にやっと重い腰を上げて警戒レベルを最高レベルに変更しました。きっと政府も追随することでしょう。それはもちろん遅すぎです。「GO TOキャンペーンを停止せよ」というと、まるで非国民のように非難の目で見られます。マスコミも決してそこまでは踏み込まないようにしています。

  しかし私はあえて非難を覚悟で主張することにします。

STOP THE “GO TO” CAMPAIGN, NOW!

    そして政府や自治体による様々な手厚い保護策を施すべきです。でないとこの冬の感染爆発は防げないと思います。

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トランプ、3つの大罪

2020年11月15日 | アメリカ大統領選挙2020

  すべてのメディアが大統領選の選挙人数の確定値を出しましたね。306対232で選挙人数ではバイデンの圧勝でした。トランプがいくら吠えても悶えても、勝負あり。彼の大嫌いな「負け犬」の称号をあげましょう。すでに訴訟を請け負っていた弁護団のうち大事なペンシルベニアやアリゾナでトランプ陣営から去っています。家族も離反、共和党内も離反者が続出と、「そして誰もいなくなった」劇場が幕引きを迎えました。

  本題の前に、アメリカ国民は現在までのところバイデンの当選を認めているか否かの世論調査結果がでているので、それをお知らせします。トランプ支持者を含め8割の人が認めています。

引用

  [ニューヨーク 10日 ロイター] - ロイター/イプソスの世論調査によると、米大統領選を巡り米国民の8割近くがバイデン氏が当選したと認識していることが分かった。調査対象となった共和党員の約6割、民主党員のほぼ全員がバイデン氏の勝利を認めている。

引用終わり

 

  このところのトランプは人前に姿を見せることもできないほどふさぎきっています。家族が負けを認めろと言ってもそれを聞かず引きこもり、遂にバイデンに「恥を知れ」とまで言われても反応すらしない。報道も「大統領職を放棄している」と非難していますが、反論すらしていません。さすがの彼も相当精神的にまいっているのでしょう。お気の毒に。

 

  では本題のトランプ3つの大罪に入ります。

  大罪の第一は権利のはき違い。そしてもう一つは、人の心の闇を解き放ってしまったこと、そしてミーファーストです。何でもしてよいという権利などない。

  コロナ危機の中トランプは、マスクをしないことは基本的人権を認められている国民の権利だ、という間違った意識を国民に植え付けました。銃社会のアメリカでは銃を保有することも等しく国民の権利だとされ、法的にも認められています。

  しかし銃を保有する権利は、人を殺してもよいという権利とは別物です。トランプ支持者はマスクをしないことは国民の権利であり、支持者の象徴であると勝手に思い込み、実践し、感染の拡大に加担してしまいました。その原因はもちろん大統領ともあろうトランプが科学的根拠もないのにコロナをバカにし、マスクをバカにし続けたからです。彼の第一の大罪とは、権利をはきちがえた結果、国民を危険にさらし、1千万人も感染させ、20万人も殺したことです。自分が感染した後も、反省も恥じることもなくマスクなしのラリーを続け、感染からの回復を自慢するという愚を演じ続けました。

  トランプ支持者たちのほとんどはマスクをしないことがあたかもトランプへの服従の証であると考え、クラスターを発生させていました。あのローズガーデンでの最高裁判事の受諾演説ではホワイトハウス内にトランプとファミリーを含む22人ものクラスターが発生。遊説ラリーでトランプは顔をむき出しにして感情のこもった演説をし、それをマスクなしの支持者たちが大声ではやすため、多くの感染者を出しています。

  スタンフォード大の学者の推定では、トランプの選挙ラリーにより感染者3万人、死者700も出したとしています。自由のはきちがいによる死者としては空前で、これが犯罪でなくてなんなのかと私は言いたいのです。

  AP通信によると、「米ミシガン州デトロイト・ラピアにある老人ホーム「Villages of Lapeer Nursing & Rehabilitation」でマスクを禁じていたため、47人の入居者と16人の従業員が新型コロナウイルスに感染し、そのうち19人が死亡した。4月に68歳の母を失ったデニス・ウィリアムズさんとその家族は、ホームの経営陣を相手取り訴訟を起こしている。USA TODAYによると、このホームでは従業員にマスクの着用を禁止していたという」。なんというたわけた老人ホームでしょう。きっと経営者はトランプ支持者なのでしょう。

  アメリカは訴訟の国、それもクラスアクションという手法があります。例えば100人の弁護士集団がコロナによる死亡者の遺族を全米で募り、無料で訴訟に参加させます。家族の死亡はトランプ個人とトランプ政権の責任であると訴訟を起こし、一人1億円を請求。20万人のうち半分が参加したとして10万人。一人5千万円を勝ち取れたとすると、合計5兆円になります。通常弁護士の成功報酬はだいたい3割なので、弁護士団は1.5兆円を手に入れ、一人当たり150億円の収入を得ます。残り3.5兆円を10万人の遺族に支払うと1遺族当たり3,500万円もらえます。訴訟に参加の意を表するだけですべて弁護士任せで済むため、費用もかからず参加は実に簡単です。このようなクラスアクションのシステムは例えば自動車の欠陥で怪我や死亡者が多数出た場合、メーカーに対して賠償を求めるのによく使用される訴訟手段です。

 

  トランプの大罪その2は、人間誰しもが持つ心の闇の部分を解き放ってしまったことです。それらの闇のほとんどは外に出すべきでないものです。例えば他人への憎しみ、差別的感情、犯罪の衝動などです。

  トランプは16年の選挙運動中から人種差別を表に出した言動を続けました。その結果として私が一番よく覚えているのは、中学生たちの人種差別行動です。教室の中で黒人やヒスパニックの生徒をあからさまに差別し、トイレにはなんと「こちらはColored、こちらはWhite」といういたずら書きをしていました。60年代以降は死語になったはずの差別用語を持ち出して、学校という神聖な場で差別的言動を行う様子はビデオに撮影され、テレビで報道されました。ビデオに撮ったのはどうも差別する側の生徒で、自慢動画だったようです。トランプはそれを一切非難せず、白人至上主義者たちの行動にまで目をつぶりました。それはもちろん大統領になったあとも、そして今回の選挙中も全く変わりませんでした。

  大統領ともあろうトランプがそれらの醜い行動を選挙の支援材料にしたとしか思えません。人種差別ばかりでなく、女性蔑視などを含む人間の持つ闇の部分を表に引っ張り出したという暴挙、それがトランプの大罪その2です。

  我々日本人の中でも隣国人に対して差別感情を抱く人はいると思います。それをむき出しにしてしまう人がいて、ヘイトスピーチが犯罪になったにもかかわらず、時々逮捕者が出ます。しかしまともな人間は闇の部分はしまい込みます。日本の為政者は行動に出ればそれを当然非難し、マスコミも非難します。トランプという指導者はヘイトスピーチを4年間も自国民に向けて繰り返しました。しかも選挙運動中は一段とエスカレートしてバイデン氏を「スリーピー・ジョー」と蔑み、支持者もそれを喜ぶ。名誉棄損もはなはだしい。

   選挙運動と限らず、彼の言動の半分はウソとウケ狙いでした。自分以外の人間でちょっとでも従わない人間を排除し、排除できない人には徹底的に非難を浴びせる。選挙後のトランプはほとんど気が狂ったように、大事なポストの閣僚や側近の首を切りまくっています。この期におよんでなおさら彼の愚かさの本性を表す好例です。

  大罪3つ目は自分がすべてのミーファースト。それを国レベルにまでグロテスクに適用したのがアメリカファーストです。精神分析医のほとんどが彼をサイコパスであると診断していて、大統領としては全くの不適格者です。そのトランプが4年間も一国の元首、もっと言えば世界の君主として君臨してしまった。

  このため世界の協力体制はことごとく破壊されました。様々な国が様々な考え方を持ち、まとまることは非常に困難な中、努力を続けて構築した国際間の合意をことごとく破壊した。例をあげれば、

・TPP離脱 貿易の環太平洋パートナーシップ

・パリ協定離脱 世界の環境破壊をくいとめるための合意

・G7  自由主義世界のリーダーの集まり。彼は途中で席を蹴って去った

・イラン非核化の6か国合意離脱

・米ロ 中距離核戦力全廃条約破棄

・WHO世界保健機構離脱

  バイデンはこれらを巻き戻してくれるでしょう。早くトランプなき世界になり、アメリカが元の鞘に戻り、余計な心配をしなくて済む平穏な世界が再構築される日が来るのを望みます。

  「バイデンになってもアメリカ国内の統治は簡単なものではなく、世界にはオレ様独裁者たちが跋扈しているためまとまりを戻すのは容易ではない」、という論調がほとんどです。でも私に言わせれば、「破壊者トランプがいなくなるだけで、どれだけ世界はホッとできるか」。

  それだけで十分です。

 

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愚かなるアメリカ人たちへ、送る言葉

2020年11月07日 | アメリカ大統領選挙2020

  最初に申し上げておきますが、私は日本が大好きな日本人です。アメリカという国に住んだことがありますが、好きなところもあれば嫌いなところもあります。それでもなお「好きか嫌いかどちらか」と聞かれても、どちらでもないと答えます。

  私がタイトルでアメリカ人を愚か者呼ばわりする理由は、もちろん愚かなトランプを大統領に選んだからです。そしてその愚かさ加減を4年も見ていながら、なおもまだ半数近い人々がトランプを支持しているからです。中には彼の愚かさを知りつつも経済政策や対外政策に絞って支持した人がいるでしょう。たとえそうだとしても人間の尊厳を否定し、人種差別をし、ウソをつき、愚かなアメリカ人を煽り続ける姿を見ても目をつぶるのは許しがたいので、トランプ支持者を全部まとめて非難するのです。

 

  昨日11月6日トランプ不利のまま最後の6州の接戦でカウントが進む中、トランプが記者会見を開きました。全米3大ネットワークのABC、CBS、NBCはなお大統領であるトランプの記者会見を途中で打ち切りました。別に申し合わせたわけではないでしょう。

  打ち切った理由は「嘘と根拠のないことを言い続けているから」。CNNとFOXは最後まで中継を続けましたが、CNNは途中で「根拠なく不正が行われていると主張」という注意書きテロップを流していました。トランプが大統領に当選した後、最初の記者会見でトランプから「オマエはフェイクニュースだ」と名指しされたCNNは、むしろそのまま放映を続けることでトランプの愚かさを世界にアピールしたのでしょう。

 

それに比べるとほぼ同時刻にバイデンが会見で述べた言葉は出色の出来でした。

 

「どうか落ち着いてください。票はすべてカウントされます。私はアメリカの大統領になります(一部の人たちのためではなく)」

 この言葉は、将来のアメリカの大きな安心材料です。

 

  今後も錯乱したトランプはウソとデマカセを言い続けるでしょうが、TVやその他のメディアも彼の言動をすべては報道せずシャットダウンするでしょう。ツイッター社も彼のデマカセにウォーニングを出し続けるにちがいありません。こうしたメディアの対応は、アメリカには良心が残っていることを世界に知らせています。

  そして彼が起こそうとしている裁判も多くは門前払いをくらい、再カウントが行われてもひっくり返ることはなく、トランプはホワイトハウスからつまみだされるでしょう。

  それが証拠に、将来を見据えた共和党内はトランプ排除に動き始め、彼の一派とみなされないように彼のそばから静かに去るものが増えるに違いない。

 

 今後アメリカに「良心」が戻ることに期待します。

    

 

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NO MORE YEARS !

2020年11月06日 | アメリカ大統領選挙2020

この記事はわかりずらいところがあったので、少し訂正をして再度アップさせていただきました。

 

トランプの支持者が叫ぶのは FOUR MORE YEARS! ですが、私はこう叫びます。

NO MORE YEARS!   NO MORE YEARS!   NO MORE YEARS!

  あーすっきりした。

 

   私は前回の記事で、トランプが再び逆転する可能性ありと言っている識者は、「あつものに懲りてなますを吹いている」と申し上げました。投票が終わり開票が進むにつれてトランプがリードし、オヤッと思う場面がありました。4日の夜11時に寝るころに当確数ではバイデンがリードしていましたが、ペンシルバニアやノースカロライナなど選挙人の数の多い州でトランプがリードしていたので、これはトランプが勝つかもしれないと思いつつも、寝てしまいました。私のいつもの就寝時間は10時なのです。

  しかし一晩明けるとバイデンがウイスコンシンやアリゾナで勝利し状況が一変。郵便投票がバイデンを後押しするという予想が当たっていたのでしょう。そして驚いたのはオッズです。朝一番の段階でバイデン80に対してトランプが20に沈没していました。

  ガッツ・ポーズ!

 

  選挙前にバイデン優勢が伝えられている中で、依然として前回選挙の悪夢の再来を予想する人が多くいました。しかしその予想をした人たちは、今回の選挙の本当の争点は「トランプ対バイデン」などではなく、「トランプ対反トランプ」であることを見誤ったのでしょう。反トランプ派は、はっきり言ってバイデンじゃなくてもいい、トランプでなければ誰でもいいと思っている人が多いのだと思います。候補者がバイデンなのでバイデンに投票したのです。

  前回の争点は、ヒラリーとトランプのどちらがひどいかというものでした。

 

  今回の選挙前に多くの報道機関がアメリカで有権者にインタビューしていました。その中で私が気付いたことがあります。それは、「前回はトランプに投票したが、今回はバイデンだ。あれほどモラルがなく、ひどい差別主義者だとは思わなかった」という声です。それをみなさんも聞いていらっしゃるでしょう。しかし私が気付いたのは違います。「前回はヒラリーに投票したが、今回はトランプだ」という声が皆無だったことです。こうしたインタビューなど誤差にもならないほどの微々たる数ですが、一方的であったことは注目に値します。

では私が確信を持ってトランプの負けを予想した理由のうち重要なポイントを以下に上げます。

 

1.先ほども指摘した選挙の焦点が「どちらがよりひどい候補者かの選択ではなく、ひどいトランプを落とせ」だったので、有権者は揺れることがなかった

 

2.18年の中間選挙を忘れるな

  18年の中間選挙では下院で大逆転が起こっていました。下院は2年に一度全員が改選されます。以下のとおり民主党が議席を42も増加させ、多数党を奪回していました。

          共和党   民主党

18年中間選挙   235→200  193→235(+42)

   これだけの大逆転の理由は、たった2年ですが多くの有権者がトランプを嫌った結果です。そうしたトランプ嫌いはその後の2年でひっくり返るどころか、コロナウイルスへの対処の失敗で確定的になったのです。

 

3.世論調査会社の反省

  前回の選挙で調査会社は総投票数の比率を当ててはいましたが、州別の選挙人獲得数では大外れでした。その原因を調査会社が集まって大反省会をして、今回は調査方法を改善していました。世論調査会社は日本と違いそれなりの規模のインダストリーですから、そのままほっておくと死活問題になります。その反省の模様を今年8月の時事通信ニュースから見てみましょう。

引用

隠れトランプ支持者の存在をめぐっては論争がある。4年前、激戦州の直前世論調査の平均は、実際の選挙結果と最大7ポイント違っていた。米世論調査協会は半年後の17年5月、「なぜ間違ったのか」を検証する報告書を公表。態度未定の有権者の多くが最終盤でトランプ氏に流れたことなどを理由に挙げたが、「隠れ支持者」の存在は「証拠がない」として認めなかった。

同世論調査協会は全米の世論調査関係者によって構成される権威ある団体であり、同調査結果が報告された2017年総会には1000人以上の関係者が出席している。

実際には、大統領選挙時の各州レベルでの世論調査の精度に問題があり、「直前まで投票意向を明確にしなかった層の動向」、「低学歴者のサンプル不足」、「黒人の投票率の低下」などが問題点として指摘されており、世論調査に嘘の回答を行う隠れトランプ説は根拠薄弱として棄却されている。

引用終わり

  この分析がすべて正しとは思えませんが、一定の評価はできると思います。それでも接戦になったということは、調査の精度には依然として問題が残っているためでしょう。

 

4. バーニー・サンダースの存在

  前回選挙で民主党はバーニーの善戦により、一時はヒラリーが慌てるほど攪乱されました。そしてバーニーを支持した若者の多くは実際の選挙では大嫌いなヒラリーに投票しない者が多かったと指摘されました。今回はトランプ嫌いが先立っていて、バイデン嫌いの存在を示すものはありませんでした。ですから投票に背を向けることなく投票率も大きく上昇しています。

  私はこうした4点がバイデン勝利につながった要因だと思っています。

 

  それでもこれにて終了とはならないという論調が多く聞かれます。特に「敗北者が敗北を認めない限り終わらない」という人が多いのですが、もちろんそんなことはありません。敗北演説は単なる慣習です。法的には12月14日の選挙人による投票によって正式決定します。

  じゃ、ブッシュジュニアとアル・ゴアのケースは?

  あのケースはフロリダという大票田において、わずか500票という僅差になったため、再カウントするしないでもめました。今回も、もし最後の州で決着する場合の差が500票などという僅差であればそうした可能性は皆無ではないでしょうが、そこまで引っ張る前、つまり最後の州の結果を待たずに決着する可能性が強いのです。

  もしトランプが12月14日の選挙人選挙でも負けたのに、ホワイトハウスに居座ったらどうなるか。FBIがトランプの首根っこを捕まえて、例の捨てゼリフ、

YOU’RE FIRED!と叫んでたたき出すだけです。

  この捨てゼリフを、醜くのたうち回るトランプ本人に吐きかける日が遂に来ました。

 

私の勝手な分析にお付き合いいただき、ありがとうございました。

  

  注;YOU’RE FIRED! お前は首だ、はトランプが出演していたテレビ番組で彼が最後に言う捨てゼリフです。

 

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