ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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チャットGPTって、どうよ?(その1)

2023年04月26日 | ニュース・コメント

  みなさんの中でチャットGTPを使ってみた方はいらっしゃいますか?使われていらっしゃる方は、どのような感想をお持ちでしょうか。生成AIと呼ばれる賢いAIの中でも、いま毎日話題になっているのはチャットGPTです。

  今回はちょっと長いですが、引用部分が多いので、飛ばし読み可能ですので、どうぞお付き合いください。

 

そもそも生成AIとは?

日経のサイトから一般的説明を引用します。

生成AI(英:Generative AI)は、画像、文章、音声、プログラムコード、構造化データなどさまざまなコンテンツを生成することのできる人工知能のこと。大量のデータを学習した学習モデルが、人間が作成するような絵や文章を生成することができる。偽画像を生成する GAN(敵対的生成ネットワーク)や、文章を生成する文章生成モデルなどがある。例えば米国のAI研究機関であるOpenAIは文章生成言語モデル「GPT-3」を提供、数行の文章からその後に続く自然な文章を生成することができる。

引用終わり

そしてチャットGPTは最近創業者が来日し、首相が直に会うという破格の待遇を受け、一気に話題が沸騰していますね。しかし実力のほどはどうか。ちょっと使ってみた私の感想は、以下のとおりです。

  • 今のチャットGPTの実力は大したことない。人間と比較してかなり劣るため、恐るるにたらず
  • しかし将来的には大いに役に立つツールになりうるので、適度に付き合っておいたほうがよい
  • 利用を制限する方針と自由に使わせる方針がぶつかりあうと思われるが、しょせん制限派は先細るに違いない。特に教育現場での扱い方は賛否両論が激しくぶつかりあっているが、案ずるより産むがやすしで使いながら手なずけるべし

結論的なことをはっきりと言っていて、大丈夫か?と思われるかもしれませんね。一応私もモノは試しで使ってみました。無料で使えるサイトで登録を行うだけで、簡単に使い始められます。

以下ではまず検索機能から出発し、どれほどのものかを探った結果をご披露します。材料は自分自身、つまり「林敬一」です。チャットGPTの検索結果をグーグルとの比較でご披露するところからスタートします。

 

<チャットGTPからの引用>

質問1;林 敬一 とはどんな人物か?

回答1;申し訳ありませんが、「林敬一」という名前だけでは、誰のことを指しているのか特定することができません。もし具体的な情報や背景があれば、それに基づいてより詳しい回答を提供することができます。お手数ですが、より具体的な情報を提供いただけると幸いです。

質問2;ストレスフリーの資産運用ブログを運営する 林 敬一 とはどんな人物か?

回答2;申し訳ありませんが、私はインターネット上で見つけた情報をもとに、林敬一さんがどのような人物かを特定することはできません。しかし、ストレスフリーの資産運用に関するブログを運営しているということから、投資やファイナンスの知識があるか、またはその分野での経験がある可能性があります。詳しい情報が必要であれば、直接その方のブログやプロフィールを確認することをおすすめします。

 

そこでさらに詳しく補足をインプットすると、やっと出てはきましたが、・・・

質問1;慶応大学経済学部出身 JAL勤務 ソロモンブラザース在籍 林 敬一 とはどんな人物か?

回答;林敬一さんは、慶応大学経済学部を卒業後、日本航空株式会社(JAL)に勤務した後、ソロモン・ブラザーズ・アジア・リミテッドに在籍したとされています。ソロモン・ブラザーズは、アメリカ合衆国に本拠を置く投資銀行で、世界的に有名な金融機関の一つです。

林敬一さんがソロモン・ブラザーズでどのようなポジションにいたのかは不明ですが、金融業界での経験を持つ方であることは間違いありません。現在は、ストレスフリーの資産運用に関するブログを運営していることが報じられています。

林のコメント;単なるオーム返し。私はブログの最初のページにある自己紹介欄では、ソロモンで「債券資本市場部長」をしていたと書いてありますが、それは読んでいないようです。ただ質問をなぞって回答しているだけの稚拙な回答です。

質問2.ストレスフリーの資産運用ブログの内容で役に立つ情報は?

回答;ストレスフリーの資産運用を目指すためには、以下のような情報が役立つと考えられます。

  1. 資産の分散投資についての知識:資産を分散投資することで、リスクを抑えながら長期的な資産運用が可能になります。分散投資の基本的な考え方や方法について学びましょう。
  2. リスクとリターンのバランス:リスクとリターンにはトレードオフの関係があります。高いリターンを狙うにはリスクも高くなるため、自分の投資目的やリスク許容度を考慮しながら、バランスのとれた投資を心がけましょう。
  3. 投資信託やETFについての情報:投資信託やETFは、分散投資を手軽に行うことができるため、初心者からベテランまで幅広く利用されています。基本的な仕組みやメリット・デメリットについて理解しましょう。
  4. 税金に関する知識:資産運用においては、税金の知識も必要不可欠です。特に、確定申告や相続税についての知識は、ストレスフリーな資産運用には欠かせません。
  5. リバランスの重要性:資産運用を行っていくうちに、ポートフォリオのバランスが崩れてしまうことがあります。そのため、定期的なリバランスを行うことで、リスクを抑えた効果的な資産運用ができます。

以上のような情報を基に、自分に合った資産運用方法を選び、ストレスフリーな資産運用を行っていくことが大切です。

林コメント;ブログでの私の主張はいつも「一般的株式投資など絶対にすべきではなく、米国債だけに集中すべきだ」と言っています。それに比べ回答は一般的投資論でしかなく、ブログの内容は一切読み込んでいないことがわかります。みなさんからのアクセス数は累計で450万件もあるのにね(笑)

質問3;林 敬一さんの著書は?

回答;林敬一さんの著書には以下のようなものがあります。

  1. 『アンダーダイバーズ-海の底から世界経済を見た男たち』(2000年、ダイヤモンド社)
  2. 『ヘッジファンドはなぜ儲かるのか』(2008年、日本経済新聞出版社)
  3. 『「日本株」なら10倍儲かる あのウォーレン・バフェットも買った』(2012年、ダイヤモンド社)
  4. 『ひと目でわかる投資信託の仕組みと選び方』(2017年、ダイヤモンド社)
  5. 『億超えの資産形成ノウハウ わたしが実践する資産運用の基本』(2020年、青春出版社)

上記は一部の著書例です。林敬一さんは金融、投資に関する著書が多く、一般向けから専門家向けまで幅広い読者層から支持されています。

 

林コメント;ウッソー、すべて間違いで、私の著書は全く検索されていませんし、上記の中に同姓同名の方の著書もありませんでした。

 

ここまでで少なくとも「検索機能は全然ダメ」と結論付けていいでしょう。検索すらできていなければ、チャットGPTの回答内容が上記のようなトンチンカンなものに過ぎないのは当たり前です。

 

では、グーグルで「林敬一」を検索してみましょう。正反対の結果が表示されました。まず検索結果は141万件と表示され、私の他に同姓同名の方の情報ももちろん出てきますが、圧倒的に私のことが多く、情報は正確そのものです。検索結果の最初のページの冒頭だけ引用します。

グーグル検索結果1ページ目だけをそのままコピペします。

 

林 敬一 (はやしけいいち) - 日本経営合理化協会

https://www.jmca.jp › prod › teacher

豊富な実務経験から説く金融の世界の様々なリスクと本質を理解した方法は、全国の資産家や経営者を中心に定評を博す。 慶應大学経済学部卒業後、日本航空に入社、日本経済 ...

 

資産運用コンサルタント 林敬一氏のコラム

翠波画廊

https://www.suiha.co.jp › column-list › art-column-a

1973年慶応大学経済学部卒、日本航空に入社。1990年米系投資銀行、ソロモン・ブラザーズに転職、債券資本市場部長。1999年英系投資会社の日本子会社に転職し企業買収 ...

ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

https://blog.goo.ne.jp › keihayashi1218

 

2023/04/03 — ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家). 「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊電子版も販売中 ...

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日本の財政事情や債券についての知識も深まる異色のマネー本! 「えっ、米国債だって!?」 2011年7~8月のデフォルト騒ぎ、格下げ騒ぎの記憶も新しいなかなぜ米国債なの ...

 評価: 4.1 · ‎76 件のレビュー · ‎¥1,740

ダイヤモンド・オンライン

https://diamond.jp › authors

1973年慶応大学経済学部卒業、同年日本航空に入社。本社の計画部門などを経てアメリカ駐在中の1990年にソロモン・ブラザーズに転職。投資銀行本部において、債券資本市場部長・・・

引用終わり

 

とまあ、検索機能ではグーグルとは全く比較にならず、チャットGTPの現状は全然ダメだし、うそテンコ盛りです。みなさんもどうぞご試しにご自分の名前やその他の検索を試してみてください。

ということは、もしグーグルが本気になってチャットGPTに代わるものを作り上げれば、チャットGPTは駆逐される運命としか思えません。

 

「生成は検索ではない」との声も聞こえてきそうではありますが、生成AIの基礎はネット上にある情報の収集分類がスタートだと思いますので、それができなければ生成するものも、とても使い物にはなりません。

にもかかわらず、私は生成AIには大きな可能性を感じています。次回は何故そう感じているのかを書いてみたいと思います。

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1円を削りだせ! 青学の原監督

2023年04月25日 | 社債投資の心得

  クレディスイスのAT1債に関しては、まだ話題が続いていますね。日本国内でも財務省の発表によれば約1,400億円が富裕層を中心に販売されていたとのこと。特に三菱UFJモルガンスタンレー証券はそのうち3分の2の950億円も販売したことを発表しています。

  そんな中衝撃を持って報道されたのは、青山学院駅伝部監督の原晋さんのニュースでした。ネット上のニュースを引用します。

 

引用

『青山学院の原監督は「老後に年1回の旅行を楽しみたい」と少しずつ貯めた貯金で日本の証券会社から債券を購入していたが、「ハイリスクのものという説明はなかった」と主張。「日本のサラリーマンの平均年収のウン倍が紙切れになった」「クレディ・スイスは倒産していないのにどうしてお金が戻ってこないのか」と嘆く。

あえて自身の失敗を語ったのは「安易な気持ちで投資に乗り出したら私みたいな被害にあって人生を台無しにする。同じ失敗をしてほしくないからです」と訴える。』

引用終わり

  

  箱根駅伝で原監督は「1秒を削りだせ」と常々おっしゃっている割には、お金には鷹揚な方のようですので、私から「喝」を入れます。駅伝なら一度くらい転んでも、途中棄権はしませんよね。今回もまだまだ挽回の可能性はいくらでもあります。

  どのニュースを見ても、原さんが証券会社からリスクについて十分な説明を受けていなかったと報道されていて、本人もこう語っています。

 

「ハイリスクのものという説明はなかった」

 

  そもそも日本で販売に従事している証券会社が債券の販売にあたり目論見書を投資家に配布しているのを聞いたことがありません。社債などを買ったみなさんのケースではいかがでしょう。投資家に目論見書を配布し、内容を説明するのは証券会社の義務です。しかし専門家として言っておきますが、外国銀行が発行する劣後債の英文目論見書などシロウトが見ても理解できません。いや、相当な専門家でもない限り、日本語への翻訳も困難を極めるでしょう。専門用語のオンパレード、かつそもそも銀行が国内当局や世界的銀行の監督機関である国際決済銀行BISの資本に関する要求内容を理解していなかったら、とても翻訳などできません。

  それを配布もせずその上高リスクであると口頭でも説明がなかったのであれば、次の一手は、原さん自身が三菱UFJモルガンスタンレー証券を訴えるのです。

 

  この事件で発行体であるクレディ・スイスを訴えても負けます。何故なら倒産時の返済順位は株式よりこの債券のほうが下位だと目論見書に書いてあるからです。しかし販売に当たる証券会社は、そのことを説明する責任と義務があります。セールスの担当者は普段から目論見書など見ず、説明もせずにセールスをしていますので、原さんはそれを盾に100%の賠償金を三菱UFJモルガンスタンレー証券に求めるのです。

 

  アメリカでもより巨額な損失を被っている個人や巨大ファンドなどが、すでに訴訟を準備しています。ロイターなどで英文ニュースを探ると、投資家らは債券の目論見書の中身を熟知した上で投資しているため、説明不足を指摘するのではなく、破綻処理の方法論から発行体銀行や政府の処理方法を攻めようとしています。金額も大きいため非常に大掛かりな訴訟を準備しているようです。

 

  しかし私は日本ではもっと初歩的な攻め口があると思います。それは先ほど書いた通り、説明をしなかった証券会社を攻めるのです。

  と思って日本語でネットを検索すると、すでに該当する投資家を募ろうとしている法律事務所を見つけました。この場で具体名は避けますが、私のアドバイスは

 

「原さん、あきらめるのはまだ早い、1円を削りだせ!」

 

  その事務所に出向き、訴訟に参加することで返済の可能性は大いにあると思われます。その法律事務所のフィーの条件はわかりませんが、この手の訴訟の多くは成功報酬で行われることが多いのです。つまり入り口での支払いは求められず、成功報酬のみを目指しているだろうと思われます。要は投資家を多く集め、回収金額を多くして、大きな儲けを出すことが彼らのインセンティブなのです。

  成功報酬の率は、おおむね30%程度になりますが、原さんが例えば3千万円の損を出しているとして、手間暇かからず7掛けの2,100万円が還ってくれば、十分じゃないですか。法律事務所は集めた投資家の投資額が300億円であれば、100億円も手にできるのです。

以上、「原さん、1円を削りだせ!」でした。

 

  そして再度皆さんに申しあげます。「金利の見た目に釣られて劣後債などには絶対に手を出さないようにしましょう」

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おっちょこちょいのななしさんの疑問「米国債一辺倒で大丈夫か」への回答

2023年04月20日 | アメリカ国債の安全性

今回のななしさんからの素朴なそして正直な疑問は、私のような専門知識を持つ人間が一番思いつかない疑問です。それをぶつけていただくのはたいへんありがたいので、大歓迎です。

>林様ブログが始まって私の記憶では10数年以上。

そうですね。ブログは2011年あの大震災の直後からの開始です。理由はすでに書きましたが、大手出版社の愚かな編集長が、「アメリカなんてリスクがいっぱで危険だ。その部分を削除しろ」と言ったのに対して反発し、「出版はしない」と啖呵を切って、その代わりにブログを始めました。

ではまず米国債についての疑問から。

>ななしは「卵を一つの籠に盛るな」のことわざは林様お薦めの米国債トレジャリーゼロ運用に関しては例外と考えてました。

もちろん例外です。理由を説明します。

「卵を一つの籠に盛るな」という相場の格言は、そのとおりだと思います。ただしこれはそもそも「危ない株式投資への格言」です。一つの銘柄に集中すると、それがこけると全資産を失うので、分散しろということですね。

では米国債はどうか?

私は常々「米国債は世界で一番安全な金融資産だ」、そして「世界のプロの誰もが認めるリスクフリー資産だ」とも言い続けてきました。それに対する反論は最初の著書の出版以来、一度も誰からも聞いたことがありません。反論のしようがないからです。いや待て、あの編集長を除く!

アメリカ発の世界的大暴落、08年の金融危機の時でさえも、世界で唯一買われた金融資産は米国債でした。

よく考えてみましょう。

世界で一番安全な資産の他に分散投資するということは、理論的にはそれより危険な資産に投資するということになります。分散自体が「リスクを取る」ことになってしまい、一つの籠の理論と矛盾します。

つまり米国債だけは「一つの籠に盛るな」の例外なのです。

むしろ逆に、「株などの金融資産に投資するなら、一緒に米国債にも分散投資して、安全を確保しろ」ということです。

 

ななしさん、次の疑問。

>その頃はデジタル通貨なんて聞いたことも無かったけど、近頃ではIMFが国際CBDCを発表した話や、基軸通貨である米国債離れが地味に進んでる話がネットから耳に入り・・
数年前は「暗号資産?ビットコイン?ふーん」ってな感じでしたが今回ばかりは・・

これまでのように米ドルは基軸通貨であり続けられる?っておっちょこちょいな不安も出てきました。

中央銀行によるデジタル通貨CBDCについてですが、私はビットコインが出てきたころそれらをまとめて「単なるバクチのサイコロの一つだ」とバカにして、「もし中央銀行がデジタル通貨を発行したら、とてもかなわないだろう」とも言っていました。

 

それが今後本格的に導入されると、どうなるか?

各国通貨建てのデジタル通貨により利便性は高まり、紙の貨幣や金属コインは、少しずつ流通量が減るかもしれません。そしてもちろん仮想通貨の盟主であるビットコインは価値を減らすに違いない。1デジタルドル=1ドルであれば、価値がドルでは上下しなくなるからです。

しかしその導入で円やドルの通貨価値自体は影響を受けませんよね。

円に信頼を置いている人は円貨を保有すればよいし、ドルに信頼を置いている人もしかり。それが現金であろうが預金であろうがデジタルであろうが関係ないと思います。

そしてデジタル通貨により「基軸通貨」であるドルが影響されるとも思いません。全く別の議論です。デジタルドルができれば利便性は高まるし、トレース可能なためマネーローンダリングもできなくなります。

ではドル以外の通貨で基軸通貨になりえる通貨があるでしょうか。中国は一時それを目指しましたが、最近はそんなだいそれたことを広言しなくなりました。ユーロも発足当初は基軸通貨の可能性を指摘するむきもありましたが、やはりしぼんでいます。

逆に中南米などで自国通貨を信用しない人々は、自国政府が台湾と国交を断絶し、中国へなびいてしまっても、国民が資産逃避する先は中国の元ではなく100%米ドルです。元など保有したところで突然中国政府が「元は中国以外では使わせない」と言えばそれまで。専制国家の通貨など、問題外です。

 

もう一つ議論を追加します。それは「もし米国債が本当にデフォルトする、あるいはしそうだ、という状況になると、世界の金融市場はどうなるでしょう」、という議論です。

まずは米国債自体の暴落もあるでしょうが、次の瞬間世界中の株やその他債券の超大暴落が起ります。日本でも銀行や生保は米国債の大口投資家ですから、その銀行・生保の株式は大暴落します。それに日本政府・財務省は米国債の世界最大の投資家ですから、日本国債も一蓮托生です。そして円も暴落を始めます。円の暴落はイコールドルの暴騰です。一緒に暴落などできません(笑)。

その超大暴落の最中に何が起るか。まずはゴールドが買われ、そして逆説的ですが、結局は米国債への逃避でしょう。

しかし米国債のデフォルトの原因は、政争以外にはたしてあるでしょうか。私はその他のメカニズムは思い当たりません。

政争が原因の場合何度か書きましたが、ボクシングで言う「スリップダウン」で、それはノーカウントです。米国債の暴落が始まれば、政争はすぐ吹き飛んで、合意に達するに違いない。何故ならアメリカ議会の政治家はみな資産家であり、金融市場が崩壊すると自分自身が困るからです。すぐに何事もなかったようになるに違いないのです。

ということで、ななしさんの疑問に回答したつもりですが、いかがでしょうか。

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ショパンコンクールの優勝ピアノ、FAZIOLIが来た

2023年04月16日 | クラシック音楽

  一昨日は友人の主催する自動車ショー、Automobile Council 2023を見に、幕張メッセに出かけました。今年のテーマは、いつものクルマだけでなく、「Auto meets Music」と名付けられ、3日間にわたり会場内でコンサートが開かれます。

  初日は、一昨年のショパンコンクールで優勝者のブルース・リュウが使用したFAZIOLIのピアノをわざわざ日本まで運び、演奏を聞かせてくれるという趣向でした。それに惹かれて友人からチケットをいただき、いそいそと幕張まで出かけました。

  会場は例年どおりクラシックカーから新車、試作車までマニアックな車が百台近く並べられ、目を楽しませてくれました。一通り見終わり歩き疲れて会場中央にしつらえられたFAZIOLIピアノの前のベンチで休み、演奏を待ちまました。

  すると友人がFAZIOLIの日本代表をされているイタリア人の方を紹介してくれ、演奏までの間にピアノの話をたっぷりと聞かせてもらいました。私はピアノは弾けないけどクラシック、それも特にピアノが大好きですと自己紹介し、話が始まりました。

  私から彼にまず質問したのは、優勝ピアノのサイズです。一般的なコンサートグランドは280㎝ほどです。しかしこのピアノ、FAZIOLIのフラッグシップである308㎝のコンサートグランドでした。販売されているピアノでは世界最大のサイズです。

  普通コンサートホールはグランドピアノをステージに上げるために、多くはステージの真ん中にせり出し装置があって、大きすぎるものは上げられません。「ワルシャワのコンクール会場では出し入れは大丈夫だったのですか」とうかがうと、問題なかったとのこと。次の質問は「前々回までのショパンコンクールでFAZIOLIピアノの調律をしていた日本人の調律師、越智さんは今回も担当したのですか?」、答えはノーでした。今回はFAZIOLIのイタリア本社から派遣しました」とのこと。ちょっと残念ですが、ともかく「優勝、おめでとうございます」と言うと、満面の笑みで「ありがとうございます」と返事をされていました。

  今回FAZIOLIを選んだピアニストは8人と前々回の2人に比べ大きく増えたのですが、私はその理由を勝手に、「最近ユーチューブで世界的に著名なピアニストがFAZIOLIを演奏している動画が数多く流れていて、影響したのでしょうか?」と聞くと、それもあるかもしれませんが、「コンクール前のピアノ選定で試弾して気に入ったのでしょう」とのこと。それはそうですよね、実際に弾く機会はあまりないのですから。

  とにかく非常に高価なピアノのため、日本のコンサートホールでFAZIOLIをそろえているのは立川にあるチャボヒバ・ホールくらいしか私は知りません。今回2位になった反田恭平はコンクールより前にチャボヒバのFAZIOLIでショパンを弾いていたのだから、選んでもよいはずでしたが、好みではなかったのかもしれませんが、リスクを取らなかったのかもしれません。

   しかしとにかく1980年くらいに創業した新興メーカーのピアノが優勝した衝撃は大きく、きっと今後参加者はスタインウェイ、ヤマハ、カワイばかりでなく、FAZIOLIを選ぶことが多くなると思われます。

 

  そもそもピアノ市場は縮小しつつあって競争が激しいのですが、FAZIOLIの奮闘ぶりには目を見張るものがあります。今回の優勝により、世界の老舗メーカーを打ち破り、今後FAZIOLIが勢力を増すことになる可能性は大きいと思われます。

 会場にはクラシックカーも含め多くのスーパーカーが並んでいて販売もされていたのですが、FAZIOLI308はどの車よりも高価なピアノです。

 

  ではその音はいかに?

  お聞かせできないのが残念ですが、「素晴らしい」の一言に尽きます。広いメッセ会場にもかかわらず、音は華やかさをもって響き渡り、しかも柔らかさも兼ね備えていて、約1時間半、夢心地を味わうことのできる音色でした。とにもかくにもショパンコンクールで優勝をさらうとは、だれも予想していませんでしたので、常勝スタインウェイも心中穏やかではないと思われます。

  今後、コンサートでFAZIOLIを聞くのが楽しみですが、その前にたくさん売れることを期待しなくてはなりませんね。

 

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ジャック・アタリ氏がロシア・ウクライナ戦争後の世界を見通す 

2023年04月11日 | ロシアのウクライナ侵攻

  私が普段コンスタントに見ている報道番組に、平日夜10時からのNHKBS「国際報道23」があります。といっても私は毎日10時には寝てしまうので(笑)、翌朝の再放送かビデオでみています。4月7日に放映された油井キャスターによるアタリ氏へのインタビューが世界の行方を見通す上でとても大事な示唆を含んでいましたので、そのまま紹介したいと思います。

  内容はロシアとウクライナ問題にとどまらず、今後の世界秩序に関する示唆に富んだ内容ですので、長いですが是非最後までお読みください。NHKの番組サイトからの引用です。

 

引用

泥沼化するウクライナ情勢。この事態に7年前から警鐘をならしてきたのが、「ヨーロッパの知性」として知られるフランスの経済学者 ジャック・アタリ氏です。「知の巨人」ジャック・アタリ氏とは、

 

フランスの経済学者で思想家のジャック・アタリ氏。フランスのミッテラン元大統領の特別補佐官を務めたのちに、旧共産圏の国々が市場経済へ移行するのを支援する国際機関・欧州復興開発銀行の初代総裁にもなりました。EU・ヨーロッパ連合設立の「影の立役者」とも言われるアタリ氏は、フランスの歴代大統領の政策に影響を与えてきた人物です。

ミッテラン大統領の特別補佐官を務め、その後の政権でも重要な役割を担ってきまし。

 

ウクライナ侵攻 どうして予測できた?

 

油井:なぜ、あなたはロシアによるウクライナ侵攻を予測できたのでしょうか?

アタリ氏:多くの人々が10年ほど前から戦争が起きる可能性を示唆していました、私もその一人です。私は(戦争が勃発する)1年前にも戦争を予測していました。ロシアとウクライナが、1国の支配をめぐり争っていたのですから、このような事態が起こることは明らかでした。

ロシア人もウクライナ人も間違いを犯しました。ロシアについては民主的な支持を得ずにクリミアを征服したことが間違いでしたし、ウクライナについては、前大統領がウクライナ東部でのロシア語の使用を制限したことが間違いでした。これにより、誰も現状を受け入れないという状況が生まれました。ロシアはそもそも、ウクライナを正式な国として認めておらず、以前から取り戻したいと思っていたのです。

 

油井:この戦争の責任は誰にあると思いますか?

 

アタリ氏:過去のウクライナ政府は、ロシア語を話すウクライナ人に対して厳しい態度をとってきましたし、それは間違いといえるでしょう。しかしそれは戦争を起こす十分な理由にはなりません。この戦争の全責任はロシアにあります。

軍事侵攻を終わらせるには

 

油井:この戦争はどうすれば終わらせることができると考えていますか?

 

アタリ氏:中国がロシアを支援しなければ西側の勝利はありえます。一方、中国がロシアに武器などの支援を続け西側がウクライナに関心を示さなくなれば、ロシアが勝利することも起こりえます。また、勝者は誰もいない、というシナリオもあります。どちらか片方の勝利で戦争が果たして終わるでしょうか? どちらか一方の勝利は難しいと考えます。平和的解決のための唯一の方法は、譲歩です。その場合はウクライナが自らの国の領土の一部を手放さなければなりません。それは受け入れがたいでしょう。

ゼレンスキー大統領は、クリミアの返還を実現しなければ裏切り者と見なされると考えていますし、プーチン大統領にとっても、勝利以外は受け入れられません。どちらも難題です。平和的解決は、中国がプーチン大統領に強い圧力をかけ、西側がウクライナに停戦を受け入れるよう説得することができた場合に限られます。

中国が「仲介者」になる可能性は?

 

油井:中国は対話と停戦を呼びかける文書を発表しました。中国が戦争を終わらせるための仲介者になる可能性については、どう考えますか?

 

アタリ氏:中国はアメリカとの交渉はできますが、仲介者にはなりえないと思います。ウクライナとロシアの間の仲介者になることはできなくても、米国やヨーロッパとの交渉をすることはありえると思います。

提出された案をよく読めばわかりますが、あれは和平案ではなく立場の表明でした。誰も中国を仲介者として受け入れることはないでしょう。習主席はモスクワには行きましたが、キーウには行きませんでした。仲介を目指すのであれば、少なくとも戦争をしている両国へ行かなければなりません。

ロシアが核兵器を使用する可能性は…

 

油井:あなたは著作の中でロシアが核兵器を使用する可能性に言及しています。

 

アタリ氏:すべては1人の人間、すなわちプーチン大統領の考え次第です。そんなことをしたら、ロシアが地球上から消えるということをプーチン大統領が悟れば、核兵器を使うことはないでしょう。

油井:核兵器の使用は、ありえると思いますか?

アタリ氏:10%以上の確率です。私たちは核戦争の方向へ向かっています。もしも止めなければ、誰かが正気でない考えを持つかもしれません。

油井:それは、50%以下でしょうか?

アタリ氏:もし50%だとしたら、すでに非常事態に陥っています。

 

ベラルーシには新たなミサイル兵器が配備されるでしょうし、ウクライナも長距離ミサイルの提供を求めています。戦争の拡大へ向かうすべてが整っています。もし、核戦争が起きれば戦術的なものにはとどまりません。核を用いれば、世界規模の戦争になると思います。

私の考えでは、そうなればロシアは地球上から消え、おそらくヨーロッパも消えるでしょう。そして中国と日本にも何らかの影響が及ぶと思います。第一次世界大戦や第二次世界大戦が、バルカン半島の小国での小さな衝突を引き金に始まったように、です。この可能性を見過ごしてはなりません。

「グローバル・サウスは存在しない」

 

油井:G7のグローバル・サウスへのアプローチは今のところ成功していると思いますか?

 

アタリ氏:私たちは決してグローバル・サウスについて話すべきではありません。「グローバル・サウス」などというものはないのです。インドは民主主義に基づいているため、中国よりもヨーロッパと共通点があります。発展途上国は中国との共通点が多いと考えがちですが、最も重要な価値は民主主義であり、これらの国をこちらの陣営に取り込むよう努めるべきです。

グローバル・サウスの中には、権威主義国家も民主主義国家も含まれるため、一枚岩にはなっていません。また、権威主義の度合いも、民主主義の度合いも、国によって異なっています。

 

油井:G7では、日本を含めグローバル・サウスへの対応を重視しているだけに、あなたの指摘は意外でした。

 

アタリ氏:グローバル・サウスの国々を明確に区別したうえで、G7にはインド・ブラジル・南アフリカを招くべきだと思います。

私は、G20は間違いだ、最悪だ、といつも言ってきました。G20には、さまざまな政治体制の人々が集っているため、対話が成り立ちません。

G7にはインド、ブラジル、南アフリカなどの民主主義国や、民主主義に移行する国を招待する必要があります。たとえばアラブ世界では、2020年代に民主主義に移行する多くの国があります。私たちはそれらの国が民主主義に移行するよう奨励する必要があります

もしG7とグローバル・サウスが別に存在するとなると、グローバル・サウスは豊かな国への対抗勢力だというイメージがついてしまいます。それが西側の観点からすれば大きな過ちなのです。

「知の巨人」が語る世界の未来

 

油井:アメリカと中国の未来をどう考えていますか?

アタリ氏:2050年のアメリカの軍隊は、迫る中国を抑えて世界最大の座を保っているでしょうし、アメリカ人の生活水準も依然として中国人の 2~ 3 倍だと思います。

アメリカは「2つのアメリカ」の時代を迎えます。1 つは完全に内向きで、もう 1 つは世界の他の国々に関心を持っていますが、いずれにせよアメリカはより内向きになるため、世界のリーダーにはなり得ないと思います。

中国の未来は非常に暗いです。短期的には自らの体制を世界に広げようとしますが、大きな問題にぶつかるでしょう。多くの腐敗を生み出す権威主義のもとでは、エリート層をはじめ、人々は中国を去っていきます。長い目で見れば、中国はイノベーションの機会を失い、豊かになる前に高齢化してしまいます。

 

 

油井:民主主義と権威主義の分断はますます深まるのでしょうか?

アタリ:私の見解では、民主主義こそが勝利すると思います。10年後か20年後かわかりませんが、中国もロシアも、いずれ権威主義は終わります。

諸外国の例を見てください。ソビエト連邦も、ブラジルも、ポーランドも、フィリピンも、インドネシアも、どの国を見ても権威主義体制が終わりを迎えることは明らかなのです。ロシアと中国も、いずれそうなると思います。

 

油井:なぜ民主主義が勝つと、楽観的に考えているのですか?

 

アタリ氏:私の見解では、民主主義こそが勝利すると思います。西側の観点から言えば、ロシアや中国の国民に経済発展を促し、権威主義体制から脱するようにしむけることが最善なのです

民主主義への移行がひと晩でなしえるかはわかりませんが、ロシアも権威主義へ戻ったものの、1990年台初頭には、民主主義の兆しがありました。

人間とは、安全と自由のバランスの間で揺れ動くものですが、自由の方がより重要なのです。自由を求めるところに、人間の本質があるのです。

 

引用終わり

 

この最後の部分、私も全く同感で、「どんなに厳しい専制主義体制が敷かれていようが、最後は民主主義勢力が必ず勝利する」。

独裁者はかのヒトラーやイラクのフセイン、リビアのカダフィのように捕らえられるかハチの巣にされると思っています。プーチンの他に金正恩、習近平も挙げておきましょう。

 民主主義・自由主義こそ正義であり、正義は勝つ!

でなければ、私など真っ先に捕らえられ投獄されてしまうに違いない(笑)

コメント (1)
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