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今後の予想株価、いったいどこまで上がるのか、2

2013年05月27日 | ニュース・コメント
週明けの今日も株価は暴落で始まりました。株価の変化スピードが速いので、私のペースも上げます(笑)。

  この大変動相場、アベノミクスの魔法が解けたのか否かが問われているのだと思います。今回はその点について、私の見解を申し上げます。

  前回の記事では現状での17倍程度のPERは、歴史的平均値からは若干上目ですが、さほどの過剰期待とは思えない、そして小泉改革時代に22-23倍程度が続いたと申しました。では果たしてどの程度まで買われるか否かを予想してみます。

  その予想に大きく関わるのは「アベノミクスが本物になるか、魔法が解けてしまうか」だと思います。今はまだアベクロ人気が先行して、みんなで「魔法にかかってあげている」状態だと私は思っています。本当にかかっているわけではありません(笑)。

  そうした状態では、22-23倍になるのは難しいと思われます。その理由は、日本の投資家も過去から学んでいることが挙げられます。どう学んだのか?

  2週間ほど前に書いた「REITの暴落」がそれです。

  思い出してください。「2013年からの資産運用」のシリーズ中で、「REITは利回り商品だ」と申し上げました。そして今回のREITの株式相場に対する先行相場は3月にピークを打ち、早々と暴落をしています。08年のREITバブル崩壊から学んでいるのです。それは、『またも利回りを無視してバブるまで買うほど日本人の投資家もバカじゃない』ということです。

  そしてそのことは、現在の株式相場にもいえることです。つまり小泉政権下で過剰に買い上げた結果、リーマンショックという外的ショックも加わりましたが、大暴落につながりました。私はREITで利回りの低下が相場のピークアウトを招いたのと同様、株価はPERをしっかりと見ている。そのため、22-23倍まで買われる、もしくは瞬間的に26倍まで買われるなどということはないと思います。ということは、先週の17-8倍に買われた株価が当面のピークになる可能性がある、ということです。

  そして今後をどう見るか?

  政権の思惑は、『6月に第3の矢、成長戦略を放って7月選挙に臨み、一気に過半数を獲得する』ということでしょう。本当は相場もその時点までじっくりと円安と株高が進行し、上り調子のまま選挙を戦いたかったのでしょうが、上げ足の速さから逆に冷や水をかけられることになりました。しかし、選挙は対抗馬が出走前にみんな自分で足をくじいてしまったので、過半数は確保済みと言えます。

  さて、3本の矢に対する私の勝手な評価と見通しは以下の通りです。

1本目財政政策;これまでの自民党のバラマキの踏襲に終わったが、「財政再建」はウマイことに議論になっていないが、今後は注目され議論されることになる

2本目金融政策;黒田氏の「異次元緩和」が緒戦で大勝した。長期金利上昇の対策を誤ると、今後の戦いで負ける可能性がある。その理由は、日銀のマネタリー・ベースは増加できても、世の中に出回るオカネ、マネー・ストックは簡単に増えないことに市場も気が付く

3本目成長戦略;大向こうを唸らせる戦略など出てこない


『一番大事なのはこの3本目の矢です。株が一本調子の上昇から疑心暗鬼へと進んでいます。その後変動幅が縮小したとしても、その中で新成長戦略が評価されないと、魔法は解けてしまうのです。』

  これが私の予想です。この予想を覆すには、よほどしっかりとした成長戦略を描き、しかも成果を徐々でも生みだす必要があります。そうすれば日本経済の本格的構造改革にもつながり、明るい展望が開けるかもしれません。

そうした展望が開かれるか否か、中期展望を次回のテーマにします。

つづく
コメント (5)
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