ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

新刊「投資は米国債が一番」幻冬舎刊
「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

ななしさんへの回答

2013年05月11日 | 2013年からの資産運用
  昨日5月10日、ななしさんからいただいた懸念に対する返答です。あまり回答とまで言えるほどではないので、返答としています(笑)

いただいたコメントは

>もう昨日から今日にかけて、本当に円安スイッチが行っちゃったように感じちゃう中、日本からの年金のみをあてにしている海外移住年金生活組は、2ヶ月に1 回?くる日本からの年金のヘッジも考えないといけないと思います。これからもっと円安になれば為替におびえて生活するどころか、泣く泣く日本に帰らなければ成らないと思います。帰るあてがあればいいほうでしょうけど・・
早いとこ資産の円を外貨にかえちゃった人は良いのですが、日本からの年金のみをあてにしなければいけない海外移住年金組はどのように対処したら良いのでしょうか?  年取ってくればボケるし、FXとかは無理でしょうし・・・ 
そんな年金生活者は円と心中するほか無いのでしょうか?
もし良かったらお知恵をくださいませ


  まずはじめに、以下のことは今さら言われてもという内容ではあるのですが、やっと現実味を帯びてみなさんが「そうだったのか」と自覚されてきたとおもいますので、繰り返します。

  私は著書でも、それ以前のサイバー・サロンという名の解説シリーズでも、そしてブログの今回のシリーズ「2013年からの資産運用」でも一貫して言っていることは、
「みなさんの資産は円に偏り過ぎている」ということです。

その理由は、「将来に渡る年金収入全額を円建て資産と考え計算に入れなくてはいけない」からです。また若い方なら「将来に渡る賃金を円建て資産と考えて計算にいれなくてはいけない」からです。

  それを計算に入れれば、ご自分の金融資産を全部外貨建てにしたところで、大半の方は円建て資産が外貨資産を大きく上回るでしょう。ですので円のリスクをヘッジするには、相当な割合を外貨に割くべきなのです。

  私の著書などを真に受けて超安全な米国債などに投資された方々は、今は本当に「ひだり団扇」です(笑)。



  さて、ではそうしなかったために焦っている方はどうすべきか?それがななしさんのご質問だと思います。

  私の回答はこれまでと同じです。年金は逆立ちしても円収入=円資産です。そのヘッジは外貨建て資産に投資する以外にはありません。

  金融にちょっと詳しい方なら、「そうだ、将来の年金のキャッシュフロー(収入)に合わせて、外貨の先物を予約すればいいんだ」ということを思いつくかもしれません。
これは、将来の外貨収入を、現時点において円建てで確定しておくことになります。例えば年金をあてにして1年後の1万ドルを今100万円で買う約束をします。1年後に超円安になっていれば、1万ドルの価値は大きく上がり得します。でも逆に動けば価値が下がったドルを買わなければならないかもしれません。

  しかし金融にうんと詳しい方なら、そうした為替予約を個人で実行するのは困難だと知っているでしょう。特に何十年も先までの為替予約を個人が金融機関と契約することはできません。信用のある会社ならできます。私のいたJALは契約したあと逆に円高になり大損し信用をなくし倒産しました(笑)。

  外貨建て年金への加入はどうか。これは今でもできますが、このシリーズでお伝えしたように、保険屋さんはみなさんから預かったオカネで例えば米国債を買ってヘッジをして、その金利収入から儲け分確保して、みなさんに余りで年金支払いをするだけなので、ご自分で米国債を買えばそのほうが有利です。

  話を戻しますと、ななしさんのご質問は、乗り遅れた人はどうするの?という質問でした。

私の回答は
「まだ遅くないので、外貨建てにしておくべきだ」

理由は、
「今後ますます円資産のリスクは高まるから」

というものです。もし一気に外貨にするのが不安であれば、じょじょにでもかまいません。私は米ドルをお薦めしますが、それだけでは不安を感じるなら、豪ドルも対象に入れましょう。豪ドルはかなりの高値圏ですが、ユーロやその他の通貨に比べれば、相対的には安全な通貨です。
 
以上ですが、ななしさんへの回答になりましたでしょうか。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする