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今後の予想株価、いったいどこまで上がるのか、3

2013年05月29日 | ニュース・コメント

 どうやら株式相場はジェットコースターから降り、すこし小康状態になったようで、変動幅が小さくなってきました。

  私は今回の株価予想にPERを使いました。そして株価上昇はPERの数字を無視して小泉改革の相場のように22-23倍までは難しい。ましてや小泉相場ピークの26倍はないという予想をしています。何故PERを使っているかと申しますと、それがもっともわかりやすく、私には合理性が見いだせると思っているからです。ただこれには一つ弱点があることを申し上げておきます。言い訳です(笑)

  PERの弱点は絶対的株価を予想できない点にあります。予想利益が刻一刻と変化するので、それを反映すると予想した株価が変化してしまうのです。そして特に今回のようにアベノミクスマジックに経済界や消費者までもが酔い始めると企業の予想収益が上昇する可能性が大いにあります。

  そのよい例が、私が指摘した「ある大手証券会社は14年3月期末の増益率を36%と予想している」ということに現われています。

そうした見通しを出す理由は、多分ですが

1.企業が前提としている円ドルレートが90-95円に集中し、実際のレートが上ブレる可能性が高い。そうすればその分かなりの確率で業績が向上するから

2.企業自身が予想利益を保守的にしか発表しないので、それを使った私のPERからはやはり上ブレる可能性があるから


  私は大手証券会社のように個別株の利益予想を積み上げる力はなく、刻一刻と変化する予想利益を追うことはできません。ですので株価予想も絶対値で予想するのは難しく、PERの倍率で予想するのがせいぜいです。それでもREITがそうであったように、投資家も収益に関する数字の大切さを学習していますので、むやみに高値を追い続けることはないでしょう。そして先週つけた高値のPER18倍程度が天井を作っている可能は高いと思われます。

 ではもう一度ピークを打ったと思われる理由をまとめますと、

1.REITがすでに暴落したように、日本の投資家もREITで言えば「利回り」、株で言えば「PER」というような重要な指標を見ていて、大きなバブルは起きにくい

2.今後の注目点である「アベノミクスの成長戦略」で、大向こうを唸らせる戦略は出てこないのが見えてきている


  この2番目に関して、本日(5月29日)の報道では、6月に具体策を盛り込んだ工程表を提示、秋の国会で法案化すると出ていました。

  本格的構造改革につながるような戦略が出ない理由について、私の考えを申し上げておきます。

  簡単に言えば、『選挙前に痛みを伴う戦略など出せないので、本格的構造改革に至る戦略は出ない』ということです。

  しかしそれでは投資家は納得しません。次回はそれについて、すこし詳しく見て行きます。

つづく
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