ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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不動産投資 その7 REITについて 

2011年07月19日 | 資産運用 
 REITと親会社の利益相反の解説をしておきます。

 REITが親会社から物件を買うとき、高く買えば親が得してREITが損失を受けます。それはREITの株を買っている株主の利益を損ねます。もし反対に安く買えば親会社が損して、REITが得します。親会社の株主が損失を受けます。それが利益相反です。
  REITの業績を親が恣意的にコントロールできることにつながる不透明な取引です。こんなことをして何とも思わないREIT経営者と親会社経営者が、今の日本にはたくさんいるのです。

「じゃ、林さんはREITもお気に入りリストには入れないの?」

いいえ、「利益相反」に目をつぶれば、もしくは子会社REITを選ばなければ、現在のREITのパフォーマンスは悪くありません。

 現状のJREITを私なりに評価してみます。

 REITは仕組みとして私の投資基準のハードルはクリアーしています。私の投資基準ハードルとは

1. 投資家にしっかりとしたキャッシュフローをもたらすこと

2. 収益還元法(DCF法、割引現在価値法)による投資評価基準で運用されていること

3. 流動性があること・・・REITを売買することは、現物の不動産を売買するよりはるかに簡単


そしてJREITの現状は

4. イールド(配当利回り)がよくなったこと(=価格が下がった)
5. 一時のブームが終わり、雨後のタケノコREITが淘汰されたこと(利益相反REITは残っているが)


「じゃ、REITの将来性はどうなの?」

オフィスビルを投資対象としたREITを例にしてコメントしますと、残念ながら悲観的です。理由は

1.日本経済の成長率が低く、不動産も全体の需要は伸びない
2.日本の都市空間は青空だらけで、オフィスビルの新規供給は止まることはない
3.FTP・TPPなどグローバリゼーションの進展は、土地の輸入と同じ効果を持つこと

つまり、受給バランスは半永久的に改善されることはないと思われます。まー、たまには懲りずにミニバブルくらいあるでしょうが。


「となると、投資対象としての総合評価は?」

まとめ

・REITはリタイアした方にはむいていない
一番大事なキャッシュフローはあるのですが、固定金利の債券と違ってREITの配当は変動するからです。今イールド(利回り)が高くても、来年は低くなるかもしれません。

・現役の方で勉強がてら投資するのでしたら、価値あり

その場合、本家アメリカのREITも対象にするとよいと思います。利回りは日本よりよく、大災害特約がもれなくついていますので。

注;私の言う大災害とは、日本の財政・年金の破綻を指します。

コメント
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