不動産投資のまとめです。
ここまでフィックストインカムの専門家からみると不動産投資がどうみえるかについて書いてきました。まとめますと、
1. 不動産への直接投資は、資産の流動性をなくすので、するべきでない
2. REITは投資対象としてのハードルをしっかりとクリアーしたすぐれものである
(キャッシュフローを得られ、流動性が高い、日本の場合利益相反はあるが)
3. 現状での利回りは国債に較べ十分にスプレッドを得られる
4. しかし日本の成長性に疑問があるため、J―REITは長期的には楽観できない
5. リタイアした方には、利回り変動、価格変動のリスクがあるためお勧めできない
6. 現役の方で勝負する気があるなら、勉強がてら投資してみる価値はある
7. 米国REITは為替のリスクはあるが、利回りは日本のREITより高く、大災害特約がついている
そして、すぐれもののREITの投資判断も、基本は債券投資理論の延長で、「収益還元法」=「割引現在価値法」を使っています。それを使わないとどうなるかのよい例が日本のバブルです。
土地コロガシなどという単なるギャンブルを投資と勘違いしたのは不動産屋だけではありませんでした。80年代のバブル時代、銀行・証券・保険・ファイナンス会社・事業法人・個人までが不動産投資、それも収益を無視した土地投資にまでのめりこみました。投資対象を評価するのに、ファイナンスの基本中の基本である「割引現在価値」を使った評価をしていれば、あれほどまでにひどいバブルにはなっていなかったでしょう。
「割引現在価値法」、シロウトの方にそれを理解しろというのは無理がありますが、プロである金融機関が投資の基礎を学ばずに投資をするというのがこれまでの日本の投資の実態です。株式投資も全く同じです。最近でこそ企業買収にこうした方法が適用されるようになり、買収価格が天井知らずで上昇するようなことは少なくなりました。どうやら少しは世界標準の投資法が浸透しつつあるのかもしれません。
さて、次回からは「金への投資」をフィクストインカムの専門家が見るとどう見えるのかをお伝えしていきたいと思います。