ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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不動産投資、その2

2011年07月12日 | 資産運用 
サブプライム、デリバティブの真相

 アメリカのサブプライムローンは、日本の住宅ローンよりまし、ということを書きました。そのわけを解説します。

アメリカの不動産ローンはすべてノンリコース(non-recourse)という原理で成り立っていますので、住宅購入であろうがオフィス投資であろうが、ローンが払えなくなって担保物件を取られればそれでおしまい。借金だけが一生残るなんてことはなく、きれいさっぱり新たな生活をはじめればよいのです。この原理を知らないと、サブプライムの問題の大きさを見誤ります。

 ということは、極端なことを言えば、サブプライムの借り手は「もともと住宅ローンを借りるだけの信用力のない人たちが、一時的に望むべくもない家で数年をエンジョイして暮らした。そしてまた元の生活に戻った」という程度かもしれません。

 困ったのはそこに投資をした欲の突っ張った金持ちだけです。
もちろん、経済計算すらできない人にローンを組んで貸す奴が悪いし、家を取られて泣いている人はお気の毒なのですが、このブログで私は感情ではなく、勘定だけを計算しています。

 ローン破綻すれば、もちろん個人のクレジットにバツイチはつきますが。
 一方で日本は住宅担保ローンとは名ばかりで、個人の一生を担保にするシステムです。これは中小企業の銀行ローンも同じで、銀行は会社のローンなのに事業主の個人保証を取ります。事業に失敗すれば、一生借金を負いながら暮らさなくてはいけません。ベンチャー・スピリットに水を掛けるシステムです。

 デリバティブの真相はちょっと置いといて、国内の不動産の話に戻ります。

不動産の本源的価値
は何か?

 不動産は住んだりオフィスや工場で使用したり、畑であれば生産をしたりできることが本源的価値です。抵当にでも入っていなければ時価評価額がその本源的価値の価格です。

 では投資の判断はどうやってするのでしょう。株式と違って、不動産は上場され価格がついているわけではありませんので、理論価格を割り出す工夫が必要です。ここまでシリーズを熱心に読んでいただいているみなさんであれば、答えはだいたい予想がつきますよね。
 そうです、不動産の投資価値は賃貸収入というキャッシュフローを生み出すところにあり、将来の予想キャッシュフローの塊を現在価値に割引けば不動産の理論価格が算出できます。ということは、株と同様に取引価格の妥当性も判断できるのです。これもやはりフィクストインカムの投資理論の応用です。不動産の場合、「割引現在価値」という用語ではなく、意味は同じなのですが、「収益還元法」という言い方が一般的ですので、それをこの先使いましょう。

まとめ
不動産の理論価格の算定も、債券価格の計算方法と同じ方法で行われる
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