ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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ウォーレン・バフェットの投資法

2011年07月03日 | 資産運用 
 どんどん難しくなってしまいかましたね。前回の解説の解説をして、難しい話は今回で終わりにします。

 バッフェット様の、株が安いか高いかを割り出すやり方は、債券計算のやり方と同じだということをお伝えしました。でもその内容には、わかりづらい言葉や、どうしてよいかわからないやり方が含まれていると思われます。

 そしてその内容は、「会社の生み出すであろう将来のキャッシュフローを予想します。そしてそのキャッシュフローを一定の割引率で割り込み、現在価値を計算します。その合計が会社の本源的価値=会社の価格だと考えるのです。」

この内容をさらにQ&Aとして、解説を試みます。

Q;会社の生みだす将来のキャッシュフローを予想するってどうやってするの?
  それに将来って、何年先まで?
  一定の割引率ってどう決めるの?
 
 そうです、この方法はそれらを決めていく必要があるんでそれほど簡単じゃないんですよ。バフェット様も本源的価値の説明のすぐあとで、「この計算は簡単じゃないんだよ。誰がやっても少しずつ回答が違うしね(笑)」と言っていますから。

 私は企業買収を10年もやっていたのですが、来る日も来る日もこの計算に明け暮れていました。債券のように確定した利子額が、確定した年限継続して、最後は決まった日に決まった元本が返ってくるのとはわけが違います。なので3つの質問に一口で回答するのはとても難しいのですが、あえてそれを試みます。

① キャッシュフローはどう予想するか?
過去の実績トレンドに、事業環境の変化や、イノベーション予想などを加味して決めます

② 何年先まで予想するのか?
年度ごとの予想がつくのはせいぜい5年が限度でしょう。その先は伸び率をゼロとか、一律の%で決めます。長い年限で計算しても、さほど長くない年限で切ってしまっても、結果の数値はさほど変わりません。遠い将来の割引率はとても大きくなるので、予想キャッシュフローを割り込んだ結果である現在価値は、とても小さい数値になってしまうからです。逆に無限の将来まで計算するのも実は簡単です。「無限等比級数の和」を計算する簡単な公式がありますので。

③ 割引率ってどう決めるの?
債券なら、現在の金利レベル(イールド)が市場で決まるので、それを使えばいいのですが、株価評価の割引率はそうはいきません。割引率は、その会社に投資して、年率何%のリターンを期待するかで決めます。バークシャーは年率20%で成長していました。なのでバフェットの使う割引率は20%程度でしょう。その割引率で割り算されたら、株価評価はとても小さくなります。その株価評価額より市場価格がさらに下回っていないと買わないのですから、非常に厳しい買い手です。そこまでして買うので、間違いなく割安に買えるのです。

 以上が解説の解説です。株式投資で儲け続けている世界一の投資家の方法は、決してやさしくありませんね。それに予想が入るので、予想が当たれば答えも当たる。はずれれば、答えもはずれるというシロモノです。


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