岩手の頑固親父

恵まれた自然、環境に暮す 老農のつぶやき、ぼやき

「馬の靴」

2006-11-24 18:01:35 | 田舎暮らし

Cimg1458  近くに住む知人の作業小屋で珍しいものを見つけた。※写真 草鞋ではあるがそれにしては短い、むしろ丸い草鞋。これは馬に履かせた草鞋いや「馬の靴」だと言う。その昔、荷馬車を引く馬は蹄鉄を付け足を保護していたが蹄鉄ならぬ草鞋、いや「靴」を戦中、戦後の鉄が不足した頃に馬に履かせたのだろうか。

 この屋の主はもともと農業の傍ら『馬車ひき』を家業としていた。荷馬車による運送業である。黒の前掛けに印半纏、馬の引綱を首にかけて歩く姿は憧れでもあった。文字通りの人馬一体、暑い夏の夕方、仕事が一段落すると「馬冷やし場」と言われる溜池の浅瀬で馬に水をかけて洗ってやる。馬は気持ち良さそうに岸の草を食む。又、あるときは仕事先で飲んだ「どぶろく」に酔って荷馬車で寝込んだ主を馬が家まで運んできたこともあったとか。

 鉄が不足して蹄鉄が使えないとき、主は夜なべで「靴・・草鞋」を作ったのだろう。花巻までの二里で一足履きつぶしたと言うから往復して二足、一日に十里も歩けば五足の「靴・・草鞋」を持っての『馬車ひき』稼業だったことだろう。

Cimg1504 集落には色々の石碑が多いがその中でも馬のお墓が多い。もっとも大きな馬魂碑※写真 は6~7メートルもある巨大な碑である。この地は大昔から馬と人、助け合って生きてきた。「馬車ひき」は自動車に、農耕馬がトラクターに変り、それでも40年代初め頃までは競馬の育成をやっていた人たちもいたがが今は馬も牛も見当たらなくなった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『いじめ』 | トップ | 「胡四王山(こしおうざん)... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

田舎暮らし」カテゴリの最新記事