岩手・花巻地方は日本酒つくりの杜氏集団の里である。
中、高校を終えて家業の農業に就いた長男(多くは)は秋の取入れが済むと「酒屋かせぎ」に出発する。
出稼ぎではあるが、言われるような暗さはない。
むしろ、親元を離れるのが嬉しい。 10人から15人ぐらいで一つのチーム、蔵(酒屋)を担当する。
三食、晩酌付き 給料もそこそこだから むしろ楽しい仕事だった。
蔵(酒屋)にはしっかりした階級があり 杜氏さん、頭さん、麹屋さん、釜屋さん・・・・等々、一番下は「働き」と称した雑用係は時には杜氏さんの背中も流す。
年毎に出稼ぎ先を替えて醸造学を修行し杜氏を目指す人。
せっせとお金を貯めて帰郷するたび牛や豚を買う人。
妻にせっせと手紙書く新婚の人はつらい。
現地に彼女のいる人。ついには出稼ぎ先の彼女を嫁さんにした人(これが結構ある)
貰った給料を夜遊びに使ってしまう人(これも結構あった)
春、3月 造った酒を土産に帰郷が始まる。
どの顔も、一冬、蔵の中で働いたために色白の顔になっている。
集落の寄合いともなると自分の造った酒を持寄って遊びも含めて酒屋談義が弾む。
昭和40年代、農機具の普及で田んぼの労力は大幅に減り「酒屋かせぎ」を辞めて近くの街に勤める兼業農家の道を選ぶ人たちが多くなった。
出稼ぎで「半年離れていればいつも新婚気分」と言ってた人たちも夫婦離れて暮らすのは寂しい。
南部杜氏 減ってはいるが、今でも
全国の銘酒を手がけている杜氏さんは多い。
新花巻駅から出発する杜氏さんを見かけた。
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