以下、昔の記事だが・・・
高校に入った最初の音楽の授業で、音楽教師が島倉千代子のレコードを聞かせてくれた。確か「東京だよ お母さん」だった。教師は、定年も間じかの女性だった。その後、耳にしたところによれば藝大の声楽科を出られたらしい。さて、レコードが終わって彼女が言うに、ただいまみなさんが聴いたように島倉千代子は喉だけで歌っているのです。早晩、喉を痛めて歌手生命は終わるでしょうと言うのである。
悪い歌い方の見本として生徒に聴かせたわけだ。島倉千代子が好きだったわたしは音楽教師の話に反感と疑問を抱いた。40年以上も昔の話である。当時は島倉さんも二十代の半ばで全盛期だった。さて、昨日も島倉さんがTVに元気な姿を見せられて「恋しちゃったのよ、ララランラン」と歌っていた。さすがに往年の輝く高音は影をひそめてしまったが、同じ歌でも、また別の魅力が加わっていた。来年は70歳になるのだと微笑まれた。70には70の歌い方で恋を歌うことが可能なのである。あの音楽教師もとうの昔に鬼籍に入ったことだろう。
かの音楽教師は歌い方というよりは大衆歌謡を嫌っていただけではないのかと今になればそう思う。ここまで喉をしぼって歌っている島倉千代子の歌手生命は短いだろうとあくまでもオペラを頂点とする欧州クラシックのベルカント唱法を奉る彼女はわれわれに、そのように予言したのだが、それは見事に外れたようだ。
以上は 2007/09/24 記
以下、ウキペッペより
島倉千代子・・・1938年(昭和13年)東京品川区に生まれる。敗戦時は7歳だった。1955年17歳にして「この世の花」でレコード界にデビュー。「東京だヨ おっ母さん」は1957年19歳の時・・・2013年没(75歳)
「別格のミスター・タイガース」