赤いハンカチ

夏草やつわものどもが夢のあと

▼指揮者 小林研一郎

2007年08月23日 | ■芸能的なあまりに芸能的な弁証法
   

 

 

 

 

 

 

TVで、課外授業・ようこそ先輩 「指揮者・小林研一郎」という番組を観た。小林さんは小学生のころ、ラジオでベートーベンの「運命」を聞き、作曲家になろうと思ったのだそうだ。 そのときは何の曲かは知らなかった。聞いたこともない曲に驚嘆したのだ。びっくりするばかりだった。そして全身が打ちのめされて、その場に、へたりこんでしまった。涙がぽろぽろ流れてくるのであった。曲が終わるころには、もう心は決まっていた。自分もこのような音楽を作りたいと思った。作曲家という者になることを心に決めた。 私も音楽は好きだが、小林研一郎さんがベートォベンの「運命」と出会ったときのような衝撃的な経験はない。でも、分かりそうな気もする。いや、とてもよく分かる。似たようなことが書かれてあった文章を思い出し、本を開いてみた。

 もう20年も昔の事・・・・僕の乱脈な放浪時代のある冬の夜。大阪の道頓堀をうろついていた時、突然、モオツァルトのト短調シンフォニイの有名なテエマが頭の中で鳴ったのである。街の雑踏の中を歩く、静まり返った僕のあまたの中で誰かがはっきりと演奏したように鳴った・・・僕は脳味噌に手術を受けたように驚き、感動でふるえた。百貨店に駆け込みレコードを聞いたが、もはや感動は戻ってこなかった。

小林秀雄「モオツァルト」より

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▼「あけびの花」中野重治

2007年08月11日 | ■芸能的なあまりに芸能的な弁証法
以前、中野重治のことを書いた。若いころに読んだ詩人の名前が語呂並べのように出されてくる中野の文体の魅力を指摘し、同じように木の名前がずらずらと並べられた同人の文章を読んだことがあると記しておいた。その文章の在り処を忘れていたのだが、ついさきほど、本棚に見つけたのでご報告させていただく。

それは『あけびの花』というエッセイ集に収められた「木の名、鳥の名」と題された文章だった。鳥の名はさほど知らないが、木の名前ならたくさん知っているとあって以下のように木の名前がずらずらと並べられている。

松の木、杉の木、欅(けやき)の木、桜の木、柳の木、桃の木、李(すもも)の木、梨の木、栗の木、桐の木、青桐、枇杷(びわ)、柊(ひいらぎ)、あすなろ、たぶの木、栂(つが)の木、ぐみの木、高野槙(こうやまき)、榎(えのき)、楓(かえで)、ざくろの木、ひゃくじつこう、桑の木、ねぶの木、棕櫚(しゅろ)の木、つつじの木、椿の木、椎(しい)の木、かやの木、榛(はん)の木、さんちん、うめもどき、もくせい、柿の木、檜(ひのき)、くじゃく杉、らかんじゅ、はいびゃく、ひもろの木、樫(かし)の木、これに牡丹の木、藤、だんちくまで入れるとずいぶんたくさん知っている。

数えてみると43あった。これだけ数えられるのは中野重治が作家だったからだとか、知識人だからというものではない。昔の日本人はだいたい、これぐらいならほとんどの大人が知っていたように思われる。
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▼「パイドロス」プラトン

2007年08月07日 | ■芸能的なあまりに芸能的な弁証法
暑い中、タオルを首にまいて隣町まで歩いていき、一冊の文庫本を買ってきた。プラトンの「パイドロス」である。そしてまた汗だらけになって、歩いて帰ってきた。

得意のとき言葉少きこの友を我はよしとす五十を過ぎて・・・・橋本徳寿
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▼加藤登紀子の歌う「日本の抒情」

2007年08月03日 | ■芸能的なあまりに芸能的な弁証法
十五夜お月さま ひとりぼち
桜吹雪の 花かげに
花嫁すがたの おねえさま
くるまにゆられて ゆきました・・大村主計

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▼蒲田散歩

2007年08月02日 | ■芸能的なあまりに芸能的な弁証法
暑い一日だった。昼過ぎから蒲田に出る。近くお祭りがあるようで笛や太鼓の音がスピーカーから鳴っていた。

やわらかく浴衣着る女(ひと)の微熱かな・・・渥美清(俳優)
背のびして大声あげて虹を呼ぶ・・・ 〃
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▼川端散歩

2007年08月01日 | ■芸能的なあまりに芸能的な弁証法
夕方、息子と連れ立って、多摩川の土手を散歩した。シジミ蝶、モンキ蝶などの写真を撮る。

古物商巻くアールヌーボォーのスカーフ・・・有馬ひろ子
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