NHK、大リーグ情報に時間割きすぎ…尾身財務相(読売新聞) - goo ニュース
好みの問題であり、もちろん極論であることは分かっているが、わたしは現在の民放TVなど、すべてつぶしてやりたいほどだ。朝から晩まで、何が面白いのかゲタゲタゲタゲタと意味もなく仲間内だけで笑い転げている。これを一日中垂れ流しているだけだ。
比べて公共放送たるNHKが、すべて健全にして高尚かつ教育的な国民のためになる番組ばかりを流しているかと問えば、もちろんそうだとは思わない。仮にそうだったとしても、無意味なことである。だいたい、放送から何を得るかなどという人の好みに準ずる価値観は送信者にしても受信者も主観の範囲であり、個人的信念の範囲に与させておくべき話である。
放送も見たくないものは見なければよいだけの話だ。新聞も読みたくないものは読まなければよい。自分が読みたくない本だからといって、公的立場にある者が、いちいち糾弾発言をしていては、世の中は息苦しくなるばかりだ。
今般、大リーグばかり放送しているとNHKにいちゃもんをつけた尾身財務相の真意は、記事を読んだだけでは測りがたいが、大リーグどころか「大相撲」の場合はどうなのだ。大相撲は、民放ではいっさい中継していない。大相撲の放送は場所中は毎日二時間、三時間、BS2などは、それこそ昼飯すぎから、ずっと夕刻まで放送しているのである。相撲の嫌いな人にとっては、たまったものではないだろう。いちゃもんをつけようと思えば、なんとでも言えるのだ。
尾身氏は、ゲームの中継というよりはニュースにおける取り上げ方の軽重の程度を指摘しているようだ。ゲームは日本時間では早朝のことであり、朝一番のニュースから始まって一日中、松坂の勝利と見事な好投が報じられたが、こうしたことも放送局としては、出たとこ勝負のようなものであり、他には、たいしたニュースもなければ、この日の松坂が大リーグにデビューすることは、周知のことであったのであり、国民だれしもが試合の結果を待ち望んでいたのである。スポーツニュースに過ぎないといわれればそれまでだが、松坂に関する報道を、まっさきに伝えて、変だということはないはずだ。もちろんその他、天災、人災、また政治向きの重大ニュースなどが他にあれば、当然、松坂のことよりも、そちらが重視されるはずである。
だいぶ昔のことだが江川卓氏が電撃的に巨人に入団したというニュースが流れた。次の日の朝、職場に行って新聞を見た。スポーツ紙ではなく朝日新聞だったと思うが、第一面に写真入の記事があった。その記事が話題になった。同僚が言った。たかがスポーツ記事を第一面に載せてしまう新聞の見識を疑うと。たしかに前例のないことだった。そのときは、わたしも同僚に同意したことを覚えている。
最近ではどうだろう。4年前だったか、大リーグに移籍したばかりのイチローが年間安打数の記録を塗り替えた。そのニュースがやはりイチローがヘルメットを掲げて観衆の声援に応えている写真とともに、産経新聞のトップに載っていたのを覚えている(上の写真)。わたしは、その記事が読みたくて、わざわざ近くのコンビニまで買いに行ったのだ。他の記事も読みたくて、スポーツ紙ではなく産経新聞を買ってきた。
このように、わたしもそうだが民心は変化している。政治的、社会的ないかにも固い記事が、国民にとって重大な報道だとは、必ずしも言い切れないのではないだろうか。いずれにしてもスポーツニュースが紙面のトップに載ったり、TVのニュースの冒頭で取り上げられるという現象は、なによりも世が平和な証拠であり、喜ばしきことなりや。
松坂の場合も、試合の中継は、NHKTV4局中、BS1だけのことである。目くじらをたてるほうが、どうかしているのだ。大臣諸氏もNHKに文句をたれている暇があるなら、街に出て、松坂投手の背番号がプリントされたTシャツに身を固め彼が所属するレッドソックスの旗でも振り回して見るのも一興だ。
おそらく松坂投手の次の登板日には球団の地元であるボストン市長も、球場にかけつけるに違いない。日本の政治家も権謀術数に明け暮れていないで、たまにはカミシモを脱ぎ捨ててスタジアムに出向き市民に混じって、スポーツを楽しむ心意気を見せてほしい。
打ち揚ぐる ボールは高く 雲に入りて又落ち来る人の 手の中に・・・・正岡子規
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