以下、教育年金管理人掲示板より
泥炭さん、わたしはね。こう思うのですよ。
たしかに楽曲とか歌曲とか、それに付随されているテキストは
世界中に、何万何千とある。数え切れない。
原詩に、いかに忠実か?などという問題は、音楽や詩の真髄に
比してみれば、それは、目くそ鼻くその問題ではありませんか。
訳詩が、素晴らしければ、それはそれでよいのであり、
原詩なんぞ、忘れてしまったほうが、よほど現実的です。
もちろん原詩に興味があるなら、それはそれで個人的な趣味(学問)
の世界となり、他人のわたしは、あなたに対してやめろなどとはい
えませんがね。なんぼでも自の好みに訳してみればよいのです。
「あおげば尊し」という唱歌がありますね。わたしも大好きな歌ですが、
これは明治時代に小学校で使われた「文部省唱歌」のひとつです。
当時、学校教育が始まったばかりで、子どもたちに歌わせるための
「唱歌」が、たくさん急造されました。その多くが西洋の楽曲に日本語
を載せたものでした。中でも讃美歌が多かった。「あおげば尊し」の
場合は、アメリカのローカルな歌だったそうですが、その後、アメリカ
でさえも、誰が作って誰が歌っていたのかさえ、忘れらていたとのこと
です。たしかに原曲も家族友人たちとの別れの歌だったようですが、今日し
られている日本語による訳は、どう転んでも訳したなどとは、言えない代物
だった。だが、この日本語による言葉の美しさに、世界の、どの言語が対抗
できますか。
仰げば 尊し 我が師の恩
おしえの庭にも はや幾年
思えば いととし この年月
今こそ 別れめ いざさらば
実際、原詩などは、ほとんど無視されて、日本の子どもたちのために作られ
以後、全国民の愛唱歌として親しまれてきたのです。
それに、文部省唱歌というものは作曲家も作詞家もどこにも明示されて
いませんよね。わたしは、それで、よいのだと思います。