菅さん以外なら誰でも 小沢氏、値踏み本腰 2011年7月29日(金)08:00 (産経新聞)
民主党の小沢一郎元代表が菅直人首相の退陣を見据えついに動き出した。政治資金問題で党員資格停止処分を受けてから表舞台に出ることを控えていたが、28日に記者会見を開き、首相を徹底批判した。盆明けに照準を合わせ退陣圧力を加速させる構えだ。これに合わせ党内最大勢力を誇る小沢グループは「ポスト菅」候補の値踏みに本格的に着手、政策の練り直しも開始した。狙うは主導権奪還だ。(坂井広志)
◆不信任案賛成も
「僕の常識では理解できない!」
小沢氏はフリー記者らでつくる「自由報道協会」主催の記者会見で首相がなかなか辞任しないことにあきれてみせた。今国会では6月2日に内閣不信任案が否決されており、同じ国会で再提出するのは「一事不再議」の慣例で認められないとされる。だが、小沢氏は「不信任案は提出者と理由が違えば一事不再議に反するものではない」と強調し、再度提出された場合は賛成する可能性をちらつかせた。
◆馬淵氏を推す?
側近たちも動き出した。旗印は「反増税」だ。衆院当選1回の小沢系議員でつくる「真の政治主導を考える会」は28日、代表選出馬の準備を進める馬淵澄夫前国土交通相を招き勉強会を開いた。「増税は瀕死(ひんし)の重症患者にバーベルを持ち上げさせるようなものだ」首相の増税路線を批判した馬淵氏は会合後、記者団に「リーダーとして立った場合、どう考えるか検討していく使命がある」と述べ、代表選への強い決意を示した。出馬に必要な推薦者20人を集められるかが焦点だが、会合出席は小沢氏との連携を模索するのがねらいとみられる。馬淵氏の反増税路線は小沢氏と軌を一にしており「小沢氏は馬淵氏を推すのでないか」との臆測も流れている。もっとも、会合の狙いは違うところにあると、中心メンバーの一人は明かす。「攪乱(かくらん)作戦の一環だ。臆測を呼ぶために仕掛けたんだ。小沢グループが誰につくのか最後まで分からないようにもっていくのが俺たちの仕事だ」小沢グループの中核「一新会」も「公約実行のための財源確保勉強会」を設立し初会合を開いた。参院小沢系も加わり出席者は約50人。ここでも批判の矛先は首相の増税路線に向いた。
◆返り咲きなるか
小沢氏は足場固めにも余念がない。28日夜には1回生議員約10人と都内の洋風居酒屋に繰り出した。「みんなで一致結束して頑張ろう!」赤ワインを口にしながら気勢を上げる小沢氏。その姿はまるで「血の結束」を誓い合うかのようだった。小沢グループには有力候補はいないが、結束すれば「数の力」を発揮でき、党内主流派への返り咲きも可能となる。小沢氏は代表選で誰を推すことになるのか。会見では「自分の責任で決断できる人。約束を守り、みんなが信頼できる人」と首相と正反対の人物像を挙げ、最後に不敵な笑みを浮かべながらこう語った。「菅さんでなければどなたでもいい」