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都心近くでアジサイと花ショウブを楽しめ、訪れる人も多くない堀の内

2006-06-18 14:28:56 | 日本の町並み
 初夏の花の代表というとアジサイと花ショウブで、ともに著名な花どころもたくさんあります。首都圏近郊でもアジサイでは鎌倉の名月院や曼荼羅堂跡など、花ショウブでは潮来や佐原といったところでしょうか。ところが、都心近くでその両方が楽しめる意外な場所が堀の内です。今回は環七と青梅街道の交差点の南西に位置する堀の内妙法寺あたりを紹介します。

 梅雨のうっとうしさを、その周りだけ消し去ってしまうようなさわやかさを持つ花がアジサイではないでしょうか。アジサイはもともと日本原産の花で、最近ハイドランジアという名称で売られているものは、ヨーロッパなどで改良されたものの逆輸入です。江戸時代に日本に来たシーボルトが、アジサイに彼の恋人の「たき」にちなんで「おたくさ(おたきさん)」と命名したのは有名な話です。花のよう見える部分は萼(がく)で、花は中心の目立たない部分です。リトマス試験紙のように、土の酸度によって色が変化し、アルカリでは赤み、酸性では青みがつ陽強くなります。マンションの1階の専用庭などで植えると、コンクリートから溶け出したアルカリで青い品種のアジサイも赤みを帯びてしまうようです。

 このアジサイと花ショウブは堀の内妙法寺の境内、本堂の右奥、墓地への途中に咲いています。さほど広くはありませんが、菖蒲田の手前に生垣のようにアジサイが植えられていて、それぞれが前景になったり遠景になったりして重なって鑑賞できます。

あまり宣伝されないのか、都心の割には人が少ないのがうれしいところです。

 妙法寺は江戸時代から厄除けのご利益があり堀の内詣でとして庶民にはなじみのお寺だったようです。現在では杉並といえば都心に近い地域ですが、内藤新宿(現在の新宿)からさらに青梅街道を下った堀の内は江戸市中から離れた、かなりの田舎であったであろうと思います。中野区内に鍋屋横丁という変わった名前の通りがありますが、かつては妙法寺への参詣道で鍋屋という大きな茶店があった名残とか。さらに奇妙なことに、中野駅の近くのコンビニの前に「ほりのうち道」と掘り込まれた石の道標があります。

どうも他の場所から移設されたようですが、道しるべがあちこちに残るということは、江戸庶民にとって堀の内は一大観光地だったのでしょう。現在の堀の内は、妙法寺以外にも多くの寺があり、寺町を形成していて、すぐ近くを通っている環七や青梅街道の喧騒がうそのようです。

 アジサイは日本で生まれて外国で育って戻ってきましたが、マイクロプロセッサも日本人の発想によって生まれ、パソコンの心臓部として成長して戻ってきたことは意外と知られていないかもしれません。こちらのケースでは、製造は外国にゆだねられたのですが、今日のパソコンの原点とも言うべき技術の開発に日本人がかかわっていたということは誇るべきことではないでしょうか。


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