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針葉樹林と青い湖の透明感のある景色がアクセスの不便さを忘れさせるコリ国立公園です(フィンランド)

2011-11-06 08:00:00 | 世界の町並み
 シャガールのデザインした真っ青なステンドグラスが海の底に居るような感覚になるザンクト・シュテファン教会があるのがフランクフルトからも近いマインツでした。海の底ではなく、真っ青な湖水の上に、数多くの島がまるで浮遊しているかのような幻想的な風景を作っているのがフィンランドのコリ国立公園です。今回は、町並みではなくって森と湖の自然がてんこ盛りのコリを紹介します。

 コリ国立公園は、フィンランドの首都のヘルシンキの北東450kmほど、特急列車を5時間ほど乗った北カレリア県の県庁所在地ヨエンスーの北方に広がる森と湖の国立公園です。ここはシベリウスが交響詩「フィンランディア」を着想した場所といわれています。公共交通機関で訪問するにはきわめて不便なところで、かなり苦労をしますが、その苦労に報ってくれるだけの自然が広がっています。

 コリへのアクセスですが、楽なのはホテルとヨエンスーとの間の乗り合いタクシーです。湖の西の丘の上にあってハイキングコースにも近い場所にあるホテルのソコス・コリが手配してくれます。
 筆者は復路に、この乗り合いタクシーを利用しましたが、往路では、ヨエンスーからさらに列車を1時間半ほど乗ったリエカから、湖をjカー・フェリーで渡ってホテルの麓に至るものでした。息子と同行の旅行でしたが、彼が事前にこのルートを調べてくれていたようです。リエカまでの列車もフェリーも、その運行頻度が極めて少なく、ヘルシンキを朝に発って、このルートでの移動が現在も可能かは分かりません。しかし、ホテルからの見下ろす視点とは違った湖の景色が楽しめるコースで、検討に値するルートの一つです。

 フィンランドには、コリに限らず多くの湖水があって、地図を眺めると、まるでレースのような感じを受けます。湖水の数は正確には把握できないそうですが、湖水地方と呼ばれる南東部だけで5万を越えるとのことです。この湖水の多さは、人間の移動にとっては行く手を阻む障害になるようです。日本人の感覚では、冬になると積雪のために移動が不便になると考えますが、フィンランドでは、氷結した湖面を横切れる冬のほうが移動には便利なのだそうです。

 ソコス・コリ・ホテルは、コリで唯一の近代的なホテルで、コリ国立公園内での宿泊はB&Bを除くと他には選択肢が無さそうです。ホテルの周りには、湖畔とを結ぶリフトと博物館があるくらいで、あとはハイキングコースのある森がどこまでも広がるばかりです。足の便のきわめて悪いホテルですが、部屋からの眺望はすばらしく、針葉樹林の向こうに真っ青な湖面に緑の小島を浮かべる湖が広がっています。温帯の景色とは違って、なにか透明感があって、きりっとした感じがします。緯度が63度と北極圏に近い場所に、夏至の頃に訪れたので、、白夜のような景色のようでしたが、カーテンを閉めて寝てしまっていました。

 
 ホテルを起点とするハイキングコースは、湖水を見下ろし針葉樹林や草原の中を巡るもので、景色もさることながら、高山植物の花々も楽しめるコースです。コースの高低差も小さく楽に歩けますが、そもそもこの丘自体がさほどの標高が無いようです。緯度が高いので、温帯の高山の様相を見ることができます。



 丘の上からリフトに乗れば、苦労をせずに湖畔に降りていくことができます。冬場のスキーリフトを観光用に運転しているようですが、気の毒なくらい乗る人が居ませんでした。







 標高差を稼ぐ乗り物がもう一つありました。ホテルの駐車場からホテルのそばまで、単行のケーブルカーのような乗り物があります。2本の幅の広いレールの上をケーブルに引かれて上っていきますが、車輪とキャビンとの間に三角形の部分がありキャビンを水平に保っています。表面を蛇腹状の覆いが被っていますが、途中で斜度が変わる時に蛇腹部分が伸び縮みするさまが面白いケーブルです。

 フィンランドといえば、携帯電話の雄であるNokiaを忘れることはできません。世界にある携帯電話の実に3台に1台はNokia製品というシェアの高さを誇っています。ただ、このところのスマートフォンのブームには乗り遅れた感じで、徐々にシェアを減らしているようです。フィンランドで携帯電話が普及した理由の一つは、森と湖ばかりで人口密度が低い国土の通信では、有線の固定回線を張るより、無線でつないだほうがコストがかからないということのようです。携帯電話に限らず、駅や電車の中などで無料の公衆WiFiが自由に使えるそうです。一方、日本では、無線の携帯電話が有線の通信網に比べて桁違いに高いのが気になります。線が要らない通信の携帯電話なのに何故に高いのでしょうか。


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