世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

巨石、展望台、お寺、仏象それに古い町並みなど、行き当たりばったりで散歩しても楽しい明日香村です

2021-05-23 08:00:00 | 日本の町並み
 両国の回向院には勧進相撲のゆかりの場所ということで力塚という巨石の碑がありました。また、最寄り駅の領国は、通り抜ける線とは別に始発用の先頭式ホームが残っています。このようなホームがある東京近郊の駅は上野駅と東京駅の京葉線くらいしか思い当たりません。今回と次回は、私鉄でこのような駅がある近鉄の樫原神宮駅が最寄りの明日香村を紹介します。明日香村と言えば巨石遺跡が多い古都でも有名で、巨石つながりでもあるのです。今回は、村の北東部分を中心に、次回は南西部分を中心に紹介します。

明日香村の最寄り駅は北から畝傍御陵前、橿原神宮前、岡寺そして飛鳥になります。橿原神宮前駅と飛鳥駅との間は明日香周遊バスが30分~1時間ごとに運行されていて、明日香の観光ポイント一巡してくれるので便利です。橿原神宮駅は橿原線の終点駅でホームは先頭式、そして阿部野橋が起点の南大阪線の中間駅で吉野方面に通り抜けるホームとがあります。大和八木駅から飛鳥駅には、必ず橿原神宮駅で乗り換えになるので直通運転をしてほしいと思うのですが、橿原線は1435mmの標準軌、南大阪線は1067mmの狭軌なので無理なのです。

 
  
 散策の始点は本薬師寺跡で、最寄りの駅は畝傍御陵前で他の明日香村のポイントからは離れています。西の京にある薬師寺が元あったところで、民家の裏庭のようなところに大きな基石が残るだけですが、遠くに畝傍山が見えて絵になります。筆者が学生時代の約55年前に訪れた時の白黒写真です。そこから南東に1kmほど歩くと甘樫丘で、148mの丘ながら頂上からは明日香村をはじめ大和三山などが望める絶好の展望台です。学生時代の明日香村には食堂はほとんどなく、昼食時に登った丘の頂上では遠足に来ていた小学生が弁当を食べているのを横目に見て空腹を辛抱した辛い思い出があります。天下氏の丘の麓には蘇我入鹿の邸宅があったとされ、丘の東側には入鹿の首塚があります。その東には飛鳥大仏で有名な飛鳥寺(安居院)があります。日本最古の大仏ですが、補修部分が多いことから国宝ではなく重文扱いです。

 
 
 ここからは談山神社から続く丘陵の麓を南下すると石造遺跡があらわれます。最初のポイントは亀形石造物で万葉文化館造営の199年に発見され、昔に訪れた時には、この遺跡の裏山にある酒船石しかありませんでした。酒船石だけの頃は、石の上のくぼみでお酒を絞ったのではないかとの説があって、酒船石と命名されたようです。現在では亀形石造物と酒船石とが一体で両槻宮の遺跡の一部で、この二つの石造物は呪術に使われたのではないかと推定されています。

 
 
 
 
 
 岡寺への街道沿いには古民家が多く残されていて、格子や漆喰の壁、虫籠窓のあるおうちもありました。この細い道を大型の路線バスが走っているのは、ちょっと異質な感じがします。岡寺は、この街道から石の鳥居のところを東に折れて急な坂道を登ったところにあります。この石の鳥居は岡寺の物と勘違いをしますが、神仏混交ではなく参道の途中にある治田神社のもの。飛鳥の観光ではサイクリングで走り回る人が多いのですが、さすがにこの坂は上れないようで、坂の下に駐輪していました。岡寺の本堂には日本最古で最大の塑像の観音像があり、土の質感があり存在感のある仏像です。傾斜地に建つ岡寺の三重塔は本堂よりさらに上った境内でさらに高いところにあり、遠望した塔は桜の花の中にうずもれていました。

 
 
 
 さらに南に行くと石舞台古墳、墳丘の中の石室が露出したものと言われ、曽我馬子の墓との説が有力です。この巨大な石の塊は総計で2千トンを超えると推定され、玄室の入るとちょっと恐怖を感じます。玄室の中には何も残されておらず、石棺の復元模型が外部の土手の上に造られています。学生時代に訪れた時の記憶はかなり薄れていますが、先日再訪した時には、あまりの変わりように驚きました。前の時には、野原の中に巨石が転がっているだけ、との印象でしたが、現在は周りに空堀ができ、その斜面には階段までできて、ステージの中央に石舞台がしつらえられているといった感じでした。

 ニュートンの万有引力の法則によると、質量のある物はすべて互いに引き合う力を持っているので、巨石の最たるものであるピラミッドの周辺では、引力は地球の中心に向けてではなく微妙に傾いでいるといわれています。明日香の巨石の周辺でこの現象があるかどうか、厳密にはあるのでしょうが、測定限界を超えていると思います。この引力の大きさ、重力加速度を厳密に測定する装置が科博に展示されていますが、真空中で物が落ちる時間を厳密に測定して求めるようです。落っことすものは、なぜか宝石のキャッツアイが使われています。測定技術は、多くのセンサーが開発され、瞬時に結果がディジタル表示されますが、重力加速度計では長さも時間も超精密に測定する必要があるわけで、お手軽にというわけにはいかないようです。


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