世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

金の山といっても金ではなく杉の美林のある山に囲まれた金山(かねやま)

2009-01-11 15:34:36 | 日本の町並み
 松阪牛を食べさせる料亭の名前は「金」と「銀」とが付いていましたが、山形県の北部には、山の前に金と銀とが付いた地名があります。銀はスイカの名産地の尾花沢の奥にあり、外国人の女将で有名になった銀山温泉で、金は新庄の北部にあって、羽州街道の宿場町として栄え、現在では金山杉と土蔵造りの町並みが美しい金山町です。今回は、「金」の方の金山町を紹介します。

 金山町は山形県の最北にあって、北側は秋田県と接しており、山形新幹線の終点の新庄からバスで35分ほどの町です。このバスも午前中は2時間に1本と公共の輸送機関を使って訪れるにはかなり不便です。奥羽本線の真室川からも町営バスがありますが、こちらは1日に3本という少なさです。このように不便なのですが、わざわざ訪れるだけの値打ちがありそうなのがこの町です。明治期初期にに、イギリスからやってきて東北を旅したイザベラ・バードという女流旅行家も気に入った町なのですから。イザベラ・バードは、旅行の疲れからか足を悪くし、秋田県に抜ける雄勝峠を越える前にしばらく滞在することになったのが金山だったようです。

足の治療により東洋医学を見直したり、村人とのふれあいも興味深いものがあったようで、ロマンチックな雰囲気の場所として、紀行文に紹介され、その一部が金山小学校のそばの記念碑に刻まれています。

 古い町並みが残っているところは、町役場のバス停から歩き回っても、200~300mの範囲で、1時間もあれば廻り切れる距離ですが、バスが少ないことを逆手にとってゆっくり散策するのもいいように思います。古民家群だけではなく、農業用水には「大堰」や「めがね堰」と呼ばれる堰が設けられて鯉が泳いでいたり、屋根つきの「きごころ橋」があったりして、狭い範囲にいろんな景色が楽しめてしまいます。足の便が悪いこともあって、ほとんど観光客らしき人影とも遭遇しないところも、落ち着いて散策が楽しめるよいところかもしれません。

 町の中の建物で、最も古いものは長屋門で、取り壊された金山城の大手門を移築したもののようですが、城門にしてはちょっぴりと小ぶりです。逆に大きなものは、金山杉の林で、秋田杉と並ぶ杉の銘木を産するもので、大部分の山は古くからの地主の方が所有し、町の税金の大部分はその過多が払っているとの話を聞きました。前述の「きごころ橋」も金山杉で作られているそうです。

 このあたりの古民家の切妻の先には、棟が突き出したような飾りが付いているようです。信州の古民家の妻には、王冠を載せたような3本の角のある板が空を指していますが、それぞれの地域で妻飾りもいろいろのようです。そんな、妻飾りのある土蔵を移築したものが蔵史館で、文化活動の拠点として使われているようです。たまたま訪れたときには、金山の風景に魅せられたという大磯在住の画家の個展が開催され気持ちの良い絵が並んでいました。会場にいらっしゃった作家と話をする機会を得ましたが、リタイヤの後に好きな画家の道に進まれたようでが、イザベラ・バード以上に金山が気に入られたようです。

 杉というと磨き丸太にした床柱を思い浮かべると同時に、スギ花粉症のために拒否反応を示す方おられるでしょう。春先の天気予報では、スギ花粉の飛散予報もつきものになってきました。予報は、気温や風向きなどの気象予報をパラメータにして、コンピュータではじき出しているのでしょう。今年から、台風の進路予想を従来の4日先から5日先まで拡大するのだそうです。コンピュータの性能が上ったことも理由なのだそうですが、不確定要素も増すため予報円はかなり大きくなり、本当に効果のある予報なのか少々疑問です。ただこれだけ、コンピュータ技術が発展して予想はできても、花粉の飛散を止めたり、台風の進路を変えるという根本的なことはなかなか難しいのですね。


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