世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

日本橋という名前の橋もあり日本の古い町並みを散歩していると錯覚するホイアンの町並み(ベトナム)

2009-01-04 15:38:09 | 世界遺産
 要塞化された教会とは裏腹に農作業に向かう馬車なども見かけるのどかな農村風景が広がるのがビエルタンでしたが、日本の古い町並みを散歩しているのではないかと錯覚するような、のんびりした家並みが続くのがホイアンです。日本の鎖国前夜には日本人町もあって、当時の日本人が作ったといわれる日本橋という名前の橋も残されています。
今回は、日本人にとって、どこかノスタルジックな気分にさせる、ベトナムの古都ホイアンを紹介します。

 ホイアンは、南北に細長いベトナム中央部の海岸に近い町です。ベトナム戦争で激戦地になったフエやダナンからも近いところにありますが、戦争の被害には遭わなかったようです。海からトゥボン川を少し遡った古くから栄えた港町でしたが、近年になって、そのトゥボン川の土砂の堆積で浅くなり、大型船が遡上できなくなって港としての繁栄はダナンに移ってしまったようです。

戦争の爪あとでほとんどが草原になってしまったフエの王宮とは違い、歴史と繁栄から取り残されたような過疎の町は、ベトナム戦でも攻撃目標にならなかったのかもしれません。歴史を缶詰にしてしまったような、古い町並みは無傷で残り世界遺産に指定されたのは皮肉でしょうか。

 ホイアンが最も栄えたのは、16世紀の終わり頃、グエン氏政権がフエに都を構え、ホイアンはその外港としてポルトガル、オランダ、中国そしてわが国との交易で国際港として機能した頃です。ホイアンの町の中には、オランダ商館のほか中国人街や日本人街が出現し大いににぎわったようです。しかし、その最盛期は短く、徳川幕府の鎖国政策に続き、ヨーロッパ勢も去るなどして急激に繁栄を失い、18世紀には内乱で町の大部分が破壊されました。その後、再建されて19世紀まで港町として繁栄したものの、土砂の堆積が止めを刺してしまったようです。この土砂の堆積が原因なのか、雨季の雨量が飛びぬけているのかは解りませんが、雨季の終わり頃には、町中が水没してしまうことがたびたびあるそうです。

1階は完全に水中に没してしまうことも多く、2階で避難生活をするそうです。毎年繰り返されることのようですが、根本的な対策は取れないのが現状なのでしょうか。

 日本の大内宿では過疎化によって、結果的に古い町並みが冷蔵保存されたような感じですが、このホイアンも同じような状況ではないかと思います。その冷蔵保存状態の町並みを散歩すると、どこかかつての日本の町を歩いているような感じがします。

 瓦で葺かれた屋根に雑草が茂っていたり、通りに開いた入り口の中には薄暗い土間が広がっていたり、

洋風建築との折衷様式の色塗りの壁があったりと、どこまでもこのような家並みが続きます。日本に60ヶ所ある重要伝統的建造物群保存地区にもこれだけまとまった家並みは無いのではないでしょうか。

 通りのあちこちにはお寺や、福建会館など華僑の人たちが建てた建物もあって、茶色の世界に朱色のアクセントをつけています。ホイアンの観光は、これらの建物群をいくつかのカテゴリー分けして、各々の中から1つずつを選んで見てゆけるチケットのシステムになっています。

ただ、1つに絞ることに迷うことも多く、2つ以上を見たくなります。どうしても、という向きには、チケットを2枚買っていただくことになるのでしょう。

 観光客が行きかう表通りに面した家並みの大部分は、お土産屋やお休みどころなどの店屋や資料館になっていて、あまり生活感を感じませんが、通りと交差する細い通りを覗くと、古いけれども民家風の家並みがあり生活臭がします。

 町のはずれに近いところには、農産物を中心とした市場があって、午前中に行くと、かなり広い市場の中は、足の踏み場も無いほどの野菜の山で、観光だけではない庶民の生活があることをうかがい知ることができ、違った意味でほっとします。

 古い良港は、外海の波浪を防ぐための深い入り江の奥にあったり、船が遡上できる川にあることが多いようです。ホイアンの例がそうであったように、波などの害から守ってくれた川そのものが運ぶ土砂によって港の底が浅くなり、港としての機能を失ったところも数多いように思います。コンピュータのセキュリティシステムは、悪意のある外部の人間に不法に使われることを拒んだり、内部のデータを保護したりする機能ですが、あまりに頑丈すぎると、時として正規の人間が使うときに使えないことも起こります。パスワードを忘れてしまったり、指紋がうまく認識してもらえなかったり、無意識に設定をいじってしまったりと色々な理由があります。この場合、セキュリティシステムが、コンピュータの機能そのものを阻害するとは言えませんが、将来においてセキュリティシステムが人格を持ち、コンピュータを使う人間を選択するようになってほしくはないですね。


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