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リスボンの7つの丘には路面電車、バス、ケーブルカー、エレベータそれとも力ずくで歩いて登りますか?(ポルトガル)

2022-07-10 08:00:00 | 日本の町並み
 前回は、大都市であるにも関わらず、町中に緑と花とがあふれていたサンフランシスコを紹介しました。サンフランシスコは、路面電車スタイルで走るケーブルカーで有名ですが、この路面電車型ケーブルカーというのは、他ではポルトガルのリスボンでくらいしか見たことがありません。サンフランシスコのケーブルカーは、駆動するロープが常時動いている循環式ですが、リスボンにある3路線のケーブルカーは、登山用のケーブルと同じ交走式、2台の車両がロープに固定されつるべ井戸のように行ったり来たりする構造です。今回は、ケーブルカーが行きかう7つの丘の町と銅像などに焦点を当ててリスボンを紹介します。

 
 リスボンはテージョ川の北岸の河岸段丘にできた都市で、町中が坂のように思いますが市街地で最も高い地点は226mで思ったほどは高くはありません。ちなみにサンフランシスコの最高地点はツインピークスの282mですから、それよりか標高差は小さいことになります。

 
 
 
 リスボンの路面電車は、黄色と白のツートンカラーのかわいらしい電車が走る区間と、近代的な車両の走る区間とがあります。かわいらしい電車の走る区間は単線だったり家の軒をかすめるような狭い道路が多く、またかなりの勾配も登り丘の中腹らしきところにも登っていきます。一方、ケーブルカーは3路線あり観光客に人気があるのがビッカ線で、市街地の西南部分を南北に走っています。ジェロニモス修道院への足になっている鉄道の始発駅のカイス・ド・ソドレ駅の北にふもとがあって、北に登っている線です。上の駅の方から眺めると路面電車と同じ色のケーブルカーの車体の向こうにテージョ川が見えてなかなか絵になります。ところが、筆者が訪問の時にはちょうど映画のロケがあったようで、ケーブルカーは映画会社が貸し切り状態で乗り損ねました。

 

 
  
 丘の上に上るエレベータはサンタ・ジェスタのエレベータで、約100年前にエッフェルの弟子が設計したものです。本来は、丘の上のバイロ・アルト地区への足として作られましたが、現在ではまったくの観光用で、筆者が訪問の時には上層部のバイロ・アルト地区への出口は閉鎖されていました。現在の写真を見ると、古風な木製のエレベータが上下し、当時は観光客が少なかったせいか、下りのエレベータが来なくてちょっと不安になりました。周りのビルと比べてさほど高くはないのですが、展望台からは足元に広がる町並みや、その向こうのサン・ジョルジョ城の眺めは素晴らしいものがあります。


 
 
 サン・ジョルジョ城へはバスに乗ると城のそばまで上がれ、路面電車だ、ふもと当たりの電停から電車を降りて力ずくで歩いて上る必要があります。路面電車のこの区間は道幅が狭く、単線でカーブや勾配がきつくて、車も走っていて、はらはらします。こちらは、サンタ・ジェスタのエレベータより標高が高く、エレベータの展望台を見下ろす角度になります。市街地をエレベータとは逆の東側から望み、こちらからの眺めも素晴らしくのびやかです。、

 
 リスボンにはサンフランシスコのように長い吊り橋もあります。テージョ川に1966年に架けられた2,277mの4月25日橋で1974年のカーネーション革命の起こった日にちなんだ命名です。同じ橋でもサンフランシスコには無い橋があります。それは1748年に作られた石造りのアグアス・アグリス水道橋で、郊外から14kmの長さで市内の噴水などに水を供給しているそうです。ローマ時代のものではありませんが、歴史の浅いアメリカでは見られない風景です。

 サンタ・ジェスタのエレベータは木製で、手動制御だったのかもしれません。筆者が50数年前に居た研究所の旧館には手動式のエレベータがあって、位置決めなどのセンサーなどはありませんでした。手動で動く/止まるを支持するので、極端には回の途中で停止することも可能でした。現在のエレベータは、止まる位置の制御は当たり前で、最短で目的階に行くための速度制御それに複数台のエレベータを集中管理するようになっているようです。ただ、いつも不満に思うのは、先に来たエレベータが優先的に停止するので、結果的に複数のエレベータが同期してしまい、長く待たされることです。エレベータの技術者は、オフィスビルなどで途中階からエレベータに乗ったことがないのでは思わされます。速さばかりに血道を上げないで、待たされる乗客に優しい制御をしてほしいものです。


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