世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

大河ドラマのロケ地になった黒石のこみせ通りは古風な商店街だけでなく古風な消防署も見られます

2020-09-13 08:00:00 | 日本の町並み
 阪神モダニズムの建物ががたくさん残る住吉の山の手の旧乾邸は危うく取り壊しに遭うところでしたが、現在はどうにか神戸市の試算に落ち着いたようです。保存の資金の確保のために、いろいろな用途に活用されドラマなのどロケにも盛んに使われ太平洋戦争を挟んだ時代背景の「虹を架ける王妃」でも朝鮮王朝の東京邸として撮影されました。ロケ地は日本の各地にあって、一躍観光地化することも多いのですが、そっとしておいてほしい静かな街もあります。その中の一つが、青森県の黒石でNHKの大河ドラマ「いのち」で使われましたが、34年前の放送ゆえか、町は静かなたたずまいを残しているようです。

 
 黒石は青森県の中央やや西、弘前の東北東10km、弘南鉄道で40分たらず、人口3万人ほどで駅周辺以外は田んぼの広がる町です。この田んぼの中には田んぼアートが描かれる場所もあって、弘南鉄道にも田んぼアート駅までありますが、筆者が訪問したのは田植えすらまだの桜の季節でした。大河ドラマのロケに使われたという場所は、黒石駅の東を南北に貫く「こみせ通り」にある造り酒屋の中村亀吉酒造です。店の前には大きな杉玉がぶら下がり、店の前にはロケに使われた旨の看板が掲げられています。

 
 
 
 
 この「こみせ」は漢字で書くと小見世となるのだそうですが、道路と建物間に設けられた雪除けの庇のことで、新潟県などでは雁木と呼ばれるものです。こみせ通りには、この「こみせ」がかなりの長さで残されていて、中村亀吉酒造の前はもちろん重文指定の高橋家の前にもしっかりと残っています。かつては5kmもの長さがあったそうですが、火災や車の発達で道路拡幅で取り壊されて、現在は商店の多い中町に多く残っています。積雪時には、こみせの下を歩くことになりますが、この場所は商店の一部で私有財産、私道ということになるようです。

 
 
 
 こみせ通り付近には、古風な消防屯所があって第一屯所も第三屯所も木造二階建ての上に望楼が乗っかっています。この望楼は第三屯所の方がやや高いのですが、それとてさほどの高さではなく、建てられた大正時代には高い建物が無くって十分に用をなしたんでしょう。ただ消防自動車は近代的なものが車庫に収まっていて、より高いホースを干すためと思われる櫓がそばに立ち火の見櫓として使われたのかもしれません。中町付近には消防屯所だけでなく、レトロな洋館ものこり、新旧が混在する町並みが楽しめます。

 
 
 こみせ通りを南に行くと浅瀬石川が流れていて、川沿いに東に行くと東公園さくら山があり、公園から河川敷にかけて桜の名所になっています。このさくら山公園の北側には、りんご研究所があります。昭和6年にイギリスにある農業研修所の建物を参考にしたというかわいらしい建物は、現在りんご資料館として使われて見学ができます。

 日本酒の味は、原料になる米や水に左右されますが、さらに重要な原料は酵母と言われています。中村亀吉酒造は大正年間に創業して火事などの災害に遭ってないので、いわゆる家付き酵母が育ち、これが味を決めているかもしれません。阪神大震災で多くの灘の酒蔵が被害を受け、家付き酵母も絶え、酒の味が変わったとも言われています。ただ、1970年代以降は、日本醸造協会によって作られ頒布される協会系酵母が使われるようになり、家付き酵母による影響は小さくなってきているそうです。優秀な酵母を作るために様々な手法が使われているようですが、中には大型の加速器から取り出したイオンビームを照射して遺伝子を操作する手法まであるそうです。半導体には有害で誤動作の元になる放射線も使い方しだいですが、人間の遺伝子操作はあってはならない怪談です。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。