世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

縮(ちぢみ)のゆかたに桐の下駄の方とすれ違う、かもしれない結城

2007-03-11 17:38:29 | 日本の町並み
 有松絞りは染付けの時に糸で縛って布にしわをつけますが、布を織る過程で糸に撚りをかけてしわを作る技法が縮です。いくつかの縮の産地の中から、今回は結城を紹介します。

 結城は茨城県の西端の町で、お隣は栃木県の小山になります。小山と友部とを結ぶJR水戸線で小山から2駅なのですが水戸線のダイヤ密度が1~2本/時間なので電車で行くとちょっと不便です。さほど便利ではないので、昔の町並みが残されているのかもしれません。縮は真綿を紡いだ結城紬(つむぎ)のなかの技法の一つで、経糸(たていと)に強い撚りをかけて糊で固定してから布を織った後に糊を洗い流したもので、撚りが戻る力で独特のしわができます。このしわをシボと呼びますが、夏の和服の素材としてシャリ感がある肌触りが好まれるようです。

 駅の北側に広がる町並みの中には、いくつかの機織工房があり、製品が販売されていて見学もできます。それらの中で手緒里と名づけられた資料館に入館しましたが、資料館を通り抜けると昔の呉服屋さんの雰囲気を残す町家があり、さらに進むと1ブロック先の通りに出られ、写真は通り抜けた町家を通り側から見たものです。

入り口の奥にはかつての商家の帳場の様子も残されていて、前垂れ姿の番頭さんが揉み手で出てきそうな雰囲気でした。

 結城の特産はつむぎだけではなく、桐を使った工芸品もあります。桐の下駄や箪笥(たんす)などですが、街中の和服屋さんには、ゆかたと共に下駄も並んでいたように思います。桐は軽い木材の代表のように思いますが、燃えにくい性質も持っていて、箪笥はその特徴を生かした用途だそうです。軽い材料は燃えやすいようにも思うのですが、内部に多くの空房があって断熱効果があるために、熱で炭化はしても発火しにくいそうです。

 結城は結城氏の城下町として栄え、市の東に城跡が残っています。

結城という地名は結城氏発祥の地のためかと思いましたが、どうもその逆のようで、地名のほうが先だったようです。かつての布の原料の楮(こうぞ)=木綿木(ゆうき)の生い茂った土地というのが地名のルーツだそうです。紬の原料は木綿ではなく絹ですが、結城は衣服に縁のある土地柄のようです。

 かつての呉服屋さんは、来店するお客様に手間ひまをかけて品物を販売していたわけですから、販売経費の割合もかなり高かったのではないかと思います。現在では、かなりの分野でWebページから注文して、クレジットカードで支払い、宅配便で配達されるという仕組みが普及して、ずいぶんと販売経費が削減されたのではないでしょうか。ただ、現物の品物を見て、店員とやり取りをしながら買い物をするという過程そのものを楽しむという行為は無くならないような感じもします。


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