世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

パリ市内の美術館だけを回っても、1週間、いやいや1か月でも足りないかもしれません。(フランス)

2020-04-19 08:00:00 | 世界の町並み
 政権が変わったりコロナ騒ぎで、遠い存在になってしまったソウルですが、なかなか見どころいっぱいで面白い町の一つでした。このソウルは、数多くの都市と姉妹都市となっていて、その多くが首都で東京もその一つです。意外とヨーロッパが少ないようにも思いますが、今回はその中からフランスの首都のパリを紹介します。パリのセーヌ河畔の名称で世界遺産に登録されている施設も多く、本ブログの世界遺産編ですでに紹介済みですので、なるべく重複しない場所を重点的に紹介します。

 
 
 
 名所の多いパリで、筆者の訪問したところは美術館が多く、偏りがあるので、とても網羅的なものではありませんし、かなり昔の情報が含まれていることをお許しください。


 パリを象徴する建物と言えば色々あるとは思いますが、エッフェル塔は外せないと思います。今から130年以上も前に、パリ万博の目玉として建てられましたが、当初の予定では20年後に解体されるはずでした。エッフェル塔に設置された、軍需用の受信アンテナが功を奏して、現在まで生き延びています。筆者が初めてパリを訪れたのは1998年でエッフェル塔が建てられて100年の節目で、島には100ansの文字が浮かんでいました。建てられた当時は奇抜な姿ゆえ酷評されたようですが、その後に建てられた塔の多くがエッフェル塔をまねているように思います。特に、東京タワーは、エッフェル塔より使用する鉄材が少なくって済んだ、と威張ってますが、100年間の構造計算の進歩のおかげにほかありません。デザイン的には、エッフェル塔が4本の脚の間に何も跨がなくてすっきりしているのに、東京タワーではビルを跨いでいる分ごちゃごちゃしてます。びっくりしたのは、上部の展望台の上層階にガラスが無いことでした。悪意で物を投げられ、地上にいる人に当たるとケガで済まないと思うのですが。

 
 さてパリ市内の美術館ですが、数えたらきりがないほどにあり、東京との違いは、特定の作家のための美術館がかなりの数あることでしょうか。画家や彫刻家たちがパリに集まり、その作家にゆかりのある場所などが美術館になったようです。それらの中で、筆者がお気に入りの美術館はギュスタフ・モロー美術館とマルモッタン美術館です。
 モロー美術館は、モローの晩年の邸宅を利用したもので、住宅街にひっそりと建っていたように思います。螺旋階段(この階段もなかなか美しい)で上層階に上っていく狭い空間に、モローの絵が所狭しと並べられ、展示できないものはストッカーに収納され引き出して見られるようになっていました。そこにあること自体が見落とされそうな美術館で日本人には会いませんでしたが、モローのファンにほ絶対にお勧めです。
 マルモッタン美術館は、モネの絵だけではありませんが、印象派の名前が付く元となった「印象 日の出」の作品が展示されてる美術館です。パリの中心街から西に外れたブローニュの森の端に位置していて、ちょっと足の便が良くないせいか、こちらでも日本人の来館者の顔は見ませんでした。ちなみに、水連の絵で一番見事な展示はオランジュリ美術館でした。

 
 モネと言えば、水連などの連作のほかに、サン・ラザール駅の連作も有名です。パリには廃止されたものも含めると22の鉄道駅があり、サン・ラザール駅は最も中心部に近く、主にノルマンディー方面への列車が発着しています。鉄道駅舎の建物は重厚で美しいものが多く、リヨン駅など内部にル・トラン・ブルーという有名なレストランがある駅もあります。古くて由緒のある駅舎を簡単に壊してしまうどこかの国とは文化が違うようです。


 
 ルーブルやオルセーは紹介するまでもありませんが、ルーブルではモナリザとミロのヴィーナスそれにニケの展示場所がわざわざ日本語の矢印があり驚きましたが、今は中文やハングル表記も加わっているのでしょうか。個別の作者だけを展示する美術館ではない美術館の中でお勧めは、国立中世美術館です。クリニュー修道会の修道院長の別邸を利用したもので、中世の教会を中心とした絵画、彫刻、宝飾品などが展示されています。ルーブルやオルセーの美術館もそうですが、美術館の建物自体も見る価値があります。こちらの美術館の目玉の一つの「貴婦人と一角獣」のタピストリーは7年前に日本で展示され記憶されている方も多いかもしれません。

 
 
 
 パリ市内の教会というと、これまた星の数ほどもあるかもしれません。日本人にとって最も有名なものの一つが、シテ島に建つノートルダムであり、さらにはモンマルトルの丘近くのサクレクールかもしれません。初めてパリを訪問したころは、ノートルダムにはすぐに入道できたものですが、8年前ですら前庭に長蛇の列ができていて驚いたものです。ただ、ノートルダムも火災にあってしまったので、シテ島に行かれたら、ノートルダムのすぐそばにあるサント・シャペルをぜひとも訪問されることを勧めます。個々のステンドグラスを見てしまうと、他のステンドグラスが輝きを失ってしまいます。

 日本の鳴門には、世界的に名だたる絵画などを陶板に焼きこんで展示する大塚国際美術館があります。オリジナルの絵画無くなったとしても、ここの絵画は残ると豪語しています。そのような意味で、法隆寺金堂の壁画は象徴的です。保存のための模写の最中に画家の寒さ防止に使われた電気座布団から出火したとされています。オリジナルの壁画は、黒焦げの痛々しい姿で収蔵庫に保管され、金堂には模写された絵がパネルに入れられて下がっています。法隆寺では人間の手による模写ですが、東博の茶室の応挙館には、ディジタルスキャナと高精細プリンタにより複製された応挙の襖絵がはめ込まれています。人間の手による模写より、ディジタルスキャナによる複製の方が精度は格段に高いと思いますが、一方向からの光で見た画像にすぎません。絵は光の当たり具合で、見え方がさまざまに変化し、2次元の絵画といっても、表面はまっ平ではありません。陶板の名画も所詮は、名画集の書籍と同じ価値しかないのではないでしょうか。