世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

周りを取り囲むカナディアン・ロッキーの自然は雄大ですがバンフの町は小じんまりしてチャーミングです(カナダ)

2020-04-05 08:00:00 | 世界遺産
 前回は数少ない自然遺産の中から広大な海の遺産の一つであるグレートバリアリーフを紹介しました。自然遺産が多いのは中国や北米など自然が残る地域に偏っています。世界遺産の条約をスタートする時には人間の営みとしての遺産である文化遺産のみを対象とする動きをアメリカなどの横やりで、自然にも拡大したのだと言われています。歴史が浅くって文化の無いアメリカでは文化遺産がほとんどないからでしょう。今回は、そのアメリカではなくお隣のカナダの自然遺産であるカナディアン・ロッキーを紹介します。

 ロッキー山脈は北米大陸の太平洋寄りに北西から南東に伸び、北はカナダのブリティッシュ・コrンビア州から南はアメリカのニューメキシコ州まで4,800kmを超える山脈です。そのうちカナダのアルバータ州とブリティッシュ・コロンビア州にまたがる部分がカナディアン・ロッキーとして自然遺産に登録されています。

 
 バンフなど4つの国立公園と3つの州立公園が中心となっていて、ここではバンフ国立公園を中心に紹介します。観光の拠点となるバンフは、空港のあるカルガリーの西200kmほど、空港リムジンバスで2時間半ほどで着きます。標高1,400mほどの高原に人口は8千人にも満たないかわいらしい町ですが、意外にも日本人の定住者割合が高く6%ほどなのは温泉があるからでもないでしょうが。鉄道の駅はありますが、定期列車は無く夏の間のみバンクーバーから観光列車やってきます。

 


 
 バンフの町のどこからでも見える象徴的な山がカスケード山で標高は2,998mと意外な高さで、本格的な登山になるそうです。昼間だけでなく、街の明かりが点き始め残照が残る空にそびえる姿もなかなかきれいです。そこまで高くなくても標高2,300mほどのサルファー山ならばロープウェーで上ることができます。麓から15分くらいで一気に山上駅へ、展望台まではそこから15分ほどですが、10月中旬でもかなり寒く足元は凍っていましたが、さすがに眺めは素晴らしく、足元にはバンフの町並みが、その向こうにはカスケード山がそびえています。

 
 
 
 自分の足で回るのが不便なレイクルイーズなどには、Discover Banff Toursという半日の観光バスが運行していました。「帰らざる川」のロケ地になったボウ川のボウ滝、そのそばに建つカナダ太平洋鉄道が建てたバンフスプリングス・ホテルを眺めます。続いて、ケイブ・ベイズンという温泉史跡を訪問します。現在は史跡として保存されているだけですが、バンフで最初に発見された温泉施設として温水プールもある保養施設だったそうです。ノーケイ山の中腹まで上ってバンフの町並みを俯瞰することもでき、このあたりには野生の鹿も居ました。



 
 
 そして最後にレイク・ルイーズに連れて行ってくれます。湖の向こうに氷河が見える景色は、絵葉書によくある景色です。湖畔には真っ白のシャトー・レイク・ルイーズが建ち、バンフ・スプリングスとは違った趣です。ただ、この観光バスは午後からの運航でレイク・ルイーズに到着するのは夕方近くになり、湖畔から湖は西側になるため、全くの逆光で写真を撮ろうとすると、まともに太陽が画面に入ってしまいます。ツアーの催行を午前にしてくれないかと思いますが、その景色を見たければシャトー・レイク・ルイーズに泊まれってことでしょうか。

 夏の間はバンフ近くのコロンビア大氷原を雪上車めぐるツアーがあります。氷河の厚さは300mもあるそうで、この氷河を筒状に取り出すと、何年も昔の地球の大気の様子などが分かるそうです。一方、地層に閉じ込められた情報で、地磁気の逆転がわかりチバニアンという時代区分名が国際的に認められました。これらの情報は、アナログ情報ですが、デジタルで記録された現代の様々な情報は、「ディジタル情報はアナログ情報より保存性がいい」という定説が当てはまるとは思えません。短期的には、前期の定説が当てはまるでしょうが、符号化されてしまった情報は、時代が変われば元には戻せなくなります。デジタル化は、しょせんは刹那的な技術に思えます。