世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

世界遺産の登録は見送られましたが、シビウはなかなかいい町です(ルーマニア)

2007-07-22 17:06:47 | 世界遺産
 2007年の世界遺産会議の話題が連続しましたが、今回は登録を見送られた22件の中からルーマニアのシビウを紹介します。シビウはルーマニアのほぼ中央、2007年5月13日号で紹介した世界遺産の町シギショアラの南西に位置します。ルーマニアの首都のブカレストとハンガリーとを結ぶ鉄道幹線上に位置します。シギショアラとシビウを結ぶ鉄道の支線もありますが、谷筋が異なるためか、両者間の移動は不便です。筆者が訪問の時には、なぜかドイツ製のディーゼレカーの臨時の列車が走っていて、効率よく移動できました。

 シビウはトランシルバニア地方の一部で、12世紀からドイツ系の移民が多く移住した町のひとつです。シギショアラも含めて、英語よりドイツ語のほうが通じるとも言われていますが、大学での1.5年のドイツ語では役に立ちそうにもありません。鉄道駅から時計塔ののある広場までは少し坂を上って言ったように思います。

広場に面した屋根を見てびっくりしたのは、屋根に目があってこちらをにらんでいるんです。

1つ目、2つ目だけでなく、3つ目もあります。よく見ると屋根に開けられた明り取りの窓が、ちょうど目のように見えるのですね。

 広場の向こうにドーム型の屋根が見え、イスタンブールのモスクに似た建物の外観に引かれて歩いて行ってみました。似ているはずで、イスタンブールのモスクに似せて作られたルーマニア正教の教会でした。

 入ってみると内部は、なかなか見事で、壁一面の絵やシャンデリアなどは一見の価値があります。ルーマニアの教会は、カソリックの教会もありますが、ルーマニア正教の教会が多いようです。壁一面にイコンが描かれていて、よく見かける教会と趣が違うのですが、一番の違いは椅子が置かれていないのです。神様の前で座っては失礼、との考えからのようです。

ルーマニアの北のはずれに近い、スチャバで思いがけず、土地の人の結婚式を始めから終わりまで見る機会がありました。日本で見る、教会での結婚式とだいぶ手順が違ったようですが、新郎新婦を初め参列者は言うに及ばず、司祭を含めて全員が、式の間中立ったままでした。

 シビウには、教会も多く文化的で19世紀の面影を残すという古い町並みも残っており、2007年欧州文化首都の一つにも指定されているようです。歴史的には商業都市としての性格が強く、14~15世紀頃には商業の中心地だったようです。外敵から町を守った名残なのか、レンガ造りの城壁と見張りの塔が残っています。

 広場から、北のほうへ行くと「うそつき橋」という鉄製の橋が、道路の上にかかっています。嘘つきが通ると、橋が壊れるという言い伝えがあるそうです。

なかなか頑丈そうな橋でそう簡単には壊れそうになさそうです。ローマには、映画の「ローマの休日」で有名になった「真実の口」があって、嘘つきが手を入れると、噛み付かれて抜けなくなるとの言い伝えと似ているかもしれません。嘘発見器は、皮膚の発汗や、脈拍などをセンサーで検出して、嘘をついた時の微妙な体の変化を捉えようといういうものですが、平気で嘘をつく人もいて、発見できないこともあるそうです。「嘘つき橋」や「真実の口」に出張してきてもらったほうが、正確に嘘を見抜けるでしょうか。