ふるさと加東の歴史再発見

少し気をつけて周囲を見回してみると、身近なところにふるさとの歴史を伝えるものがある。

新緑まぶしい五峰山光明寺で花はじめの法要

2024年05月04日 05時28分47秒 | Weblog
 

 

  

 5月3日は、新緑がまぶしく輝く、加東市滝野の五峰山光明寺では、お釈迦さまの誕生日を祝う「花まつり」が行われました。本堂では、花はじめの法要が営まれ、昨年に亡くなられた方の遺族の皆さんが本堂で営まれる法要に参列するために、急な坂道を歩いて上り、お参りをされました。
 五峰山頂には、現在、4ヶ寺の塔頭寺院があり、それぞれの寺院で、甘茶の接待や寺宝の公開などが行われ、参拝の人々は各寺院で、お釈迦様の像に甘茶をかけて、感謝と祈りを捧げます。各寺院には、寺総代の役員の方が接待をされます。中腹の駐車場から急坂を歩いて登るのですが、いきなり急坂なので、一歩一歩ゆっくりと体力を確かめながら上がっていきます。
 最初に見える寺院が多門院です。門をくぐり、境内にはいると、毘沙門堂にお参りして手を合わせます。そして、お釈迦様の像に甘茶をかけ、そのあと接待で置かれていた甘茶をいただきました。急坂を上ってきた最初の甘茶が疲れを一気に癒してくれます。
 一息ついて、さらに坂を登っていくと、遍照院に着きます。ここでもお釈迦様に甘茶をかけ、接待の檀家総代の役員さんとちまきをいただきながら話をしました。この遍照院の楽しみは、国の重要文化財の「銅造如来坐像」の拝観です。この仏像は昭和55年(1980)に遍照院の蔵で発見され、翌年、国の重要文化財に指定されたものです。高さ24.2センチメートル、重さは6キログラムの銅造りで、平安時代中期の作とされています。遍照院では、9時から写経体験が催され、これを目的に参拝される方もあるほど人気になっています。新緑と光、そよ風を感じながらの写経で、心が落ち着くのでしょう。
 次は参道の左の大慈院です。大慈院には、日本に一つしかない善導大師の自画像があります。善導大師は7世紀の唐の高僧で、生涯に3幅の自画像を描き、その一幅が当時唐に留学していた僧によって日本に伝えられ、光明寺に納められたと伝えられています。あとの2幅は、インドと唐の長安の光明寺に納められたそうです。残念ながら数年前から公開はされていません。理由は参観者の中に堂内のものを手でさわったり動かしたりした人がおり、そうしたことから大切な寺宝を守るためだということでした。不心得な人がいるために直に拝観できなくなり残念ですが、今年は、案内の方が写真を見せて下さることになりました。
 塔頭寺院の一番上は花蔵院です。境内の庭の苔や杉の大木、白壁の塀、緑のもみじが美しい寺院です。ここでも寺役員の方といろいろ話をしました。昨日から少し気温が下がって、今朝は山の上は寒いほどでストーブを出したとのことでした。
 そして、いよいよ本堂へ向かいます。花蔵院の白壁ともみじの若葉を右手に見ながら歩くと、朱塗りの山門(仁王門)が目の前に現れます。門からまっすぐに参道が続き、右側には2つの神社、正面には常行堂があり、さらに左の階段を上ると本堂が見えてきました。常行堂から本堂への階段を上ると、鐘撞堂があります。老朽化のために建て替えをされると伺いました。
 本堂の裏には、「光明寺合戦本陣跡」の大きな石碑があります。この光明寺合戦とは、今から670年余り前、観応の擾乱と呼ばれる足利尊氏と弟直義(ただよし)の戦いの舞台となった光明寺城を舞台にくりひろげられたた戦いのことです。
 光明寺合戦では、足利直義方の石塔頼房らの立てこもった光明寺城(五峰山にある寺の建物などをそのまま城として使った)を足利尊氏、高師直の軍勢は激しく攻めたてましたが、城方の抵抗も強く、寄せ手も攻めあぐんでいました。足利尊氏といえば、室町幕府の将軍すなわち武家の棟梁ですが、実際の幕府政治は弟の直義が担当し、兄弟二頭立ての政治が行われていました。その二人が戦ったのは、尊氏の執事、高師直(こうのもろなお)と直義の権力争いが原因だったようです。
 五峰山の本陣跡というのは、光明寺にたてこもった直義方の軍勢の本陣が置かれた場所で、これを攻めた尊氏と高師直の軍勢は引尾山、そして鳴尾山に陣を置いたとされています。
 太平記には尊氏勢は一万、直義方は五千と書いてあり、戦いは立てこもる直義方の石塔頼房らの陣を尊氏、師直の軍勢が激しく攻めたてたと伝えられています。実際にどの程度の戦いがあったのかは定かではありませんが、直義方の援軍が迫り、尊氏勢は陣を引き払っています。戦いは10日余りだったようです。
 本堂の裏の本跡跡に立つと、そこにあるのは、静寂と尾根に続く細い道だけでした。昔、ここで繰り広げられた戦いの様子を想像するばかりでした。

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