平成18年12月6日のこのブログで、昭和2年(1927)に制定された明治節(11月3日、戦後は「文化の日」)について取り上げましたが、制定後初めてその日を迎えるにあたり示された「明治節に於ける家庭行事」と題した印刷物の全文を紹介します。
明治節に於ける家庭行事
本年三月三日発布になりました明治節御制定の詔書に
朕カ皇祖考明治天皇盛大業夙ニ曠古ノ隆盛ヲ啓カセタマヘリ
茲ニ十一月三日ヲ明治節ト定メ臣民ト共ニ永ク天皇ノ遺徳ヲ仰
キ昭代ヲ追憶スル所アラムトス
と仰せられました。即ち、明治天皇の御威徳を仰ぎ奉ること、前古未曾有の盛世を永久に記念する事との二が、この祝日を御制定に成った御趣旨であると拝察致します。而して、この事は既に久しい以前から国民一般の熱心に希望して居つたことで、之が実現を見ましたことは御同様誠に歓喜にたへぬ次第であります。従来、我邦の國祭祝日には各神社に於いて祭典を行ふ慣例でありますから、其の内之に関する規定も発表せられることと思はれますが、一般の家庭に於いても、例へば三月三日の雛祭、五月五日の端午の如く、年々この日に於いて、祭日にふさはしい行事が有つたならば、証書に臣民と共にと仰せられた 今上陛下の不快思召を徹底さする上に、一層の効果あることと思はれます。然るに、従来かやうな家庭行事はとかく贅沢になり易い傾きがあります。若しこの明治節に於ける家庭行事も、さういふ弊を伴ふ様になりましたなら、第一質素を以て御生涯を御一貫遊ばされた明治天皇の御趣意に反くこと甚しいのみならず、種々の悪結果を生ずることは、言ふまでもありません。又雛祭、端午等の行はれる春夏の候は、とかく浮かれ易い季節であります。世の中は、年中むづかしい顔ばかりして居つても窮屈に過ぎますから、時有つておもしろをかしく日を過すのも結構ですが、締る時には大に締らねばならぬことは勿論で有ります。然るに、十一月三日の明治節は、気候から言つても、暑からず寒からず、人心の最も引締る時で、明治天皇の御盛徳御遺業を追慕し奉るには極めて似合はしい時節であります。要するに、当日の家庭行事はその性質上、あくまで敬虔と質素を主とし、国民一般、何れの家庭に於いてもたやすく行はれる様にしたいと思ひます。
明治節に於ける家庭行事
本年三月三日発布になりました明治節御制定の詔書に
朕カ皇祖考明治天皇盛大業夙ニ曠古ノ隆盛ヲ啓カセタマヘリ
茲ニ十一月三日ヲ明治節ト定メ臣民ト共ニ永ク天皇ノ遺徳ヲ仰
キ昭代ヲ追憶スル所アラムトス
と仰せられました。即ち、明治天皇の御威徳を仰ぎ奉ること、前古未曾有の盛世を永久に記念する事との二が、この祝日を御制定に成った御趣旨であると拝察致します。而して、この事は既に久しい以前から国民一般の熱心に希望して居つたことで、之が実現を見ましたことは御同様誠に歓喜にたへぬ次第であります。従来、我邦の國祭祝日には各神社に於いて祭典を行ふ慣例でありますから、其の内之に関する規定も発表せられることと思はれますが、一般の家庭に於いても、例へば三月三日の雛祭、五月五日の端午の如く、年々この日に於いて、祭日にふさはしい行事が有つたならば、証書に臣民と共にと仰せられた 今上陛下の不快思召を徹底さする上に、一層の効果あることと思はれます。然るに、従来かやうな家庭行事はとかく贅沢になり易い傾きがあります。若しこの明治節に於ける家庭行事も、さういふ弊を伴ふ様になりましたなら、第一質素を以て御生涯を御一貫遊ばされた明治天皇の御趣意に反くこと甚しいのみならず、種々の悪結果を生ずることは、言ふまでもありません。又雛祭、端午等の行はれる春夏の候は、とかく浮かれ易い季節であります。世の中は、年中むづかしい顔ばかりして居つても窮屈に過ぎますから、時有つておもしろをかしく日を過すのも結構ですが、締る時には大に締らねばならぬことは勿論で有ります。然るに、十一月三日の明治節は、気候から言つても、暑からず寒からず、人心の最も引締る時で、明治天皇の御盛徳御遺業を追慕し奉るには極めて似合はしい時節であります。要するに、当日の家庭行事はその性質上、あくまで敬虔と質素を主とし、国民一般、何れの家庭に於いてもたやすく行はれる様にしたいと思ひます。