語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【旅】栗林公園

2015年11月24日 | □旅
 飛来峰から栗林公園を眺望
 


 桶樋滝
 

 商工奨励館とヒマラヤスギ
 

 旧日暮(ひぐらし)亭
 

 根上がり五葉松
 
 

 南湖 
 
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【保健】自分のストレス度知って早めにケア ~チェック制度の有効活用~

2015年11月24日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)2015年12月から、従業員50人以上の会社で、メンタルヘルスケアが義務づけられる。改正労働安全衛生法による「ストレスチェック制度」だ。
 この制度は、
  (a)年に一度、労働者が質問形式の「ストレスチェック調査票」に回答する。
  (b)結果は、ストレスの度合いを図表化、数値化した形で労働者に伝えられる。ストレスの度合いを労働者自身に気づいてもらうわけだ。
  (c)高ストレスという判定結果が出た労働者に対して、医師の面接指導の受診を促す。
 なお、守秘義務が課せられるので、ストレスの度合いが会社に知られてしまう心配はない。

 (2)ストレスチェックは、会社、つまり人事部門や上司ではなく、医師など法律で定める「実施者」が行う。労働者個人の結果は、直接本人に通知する。会社側は、本人の同意がなければ知ることができない。
 ストレスチェックで発生する事務作業(<例>調査票の回収、個々の回答をデータ入力)を社内で行う場合、人事権を持たない人に限り「実施事務従事者」となり、担当できる。むろん、この従事者にも守秘義務が課せられる。
 このように情報の取扱方法が厳しく制限されているため、ストレスチェックの実施から労働者への通知まで、すべて外注することで守秘義務を徹底するという会社が多いようだ。

 (3)高ストレスという判定が出た労働者は、
  (a)まず、医師による面接指導が促される。
  (b)受診しない場合、受診が勧奨される(これができるのは実施者または従事者)。ただし、面接指導の申込みは会社にするので、結果として、高ストレス判定が出ていることが会社に知られることになる。
  (c)会社は、面接指導の申込みをした労働者が、面接指導の該当者であるかどうかを、実施者に確認することができる。
  (d)会社は、面接指導を行った医師に、このまま通常勤務でよいか、就業制限や休業が必要であるか、といった就業上の措置に対する意見を聞くことになっている。

 (4)労働者は、ストレスチェックを拒否することはできる。
 また、面接指導を受けるか否かを決めるのは労働者自身だ。
 ストレスチェックの受検や面接指導の受診の有無によって懲戒、退職勧奨、解雇することは不利益取扱いで、禁止されている。
 「強制でなければ受けない」と思う人もいるかもしれない。しかし、自分の身を守るのは自分自身だ。業務上、ストレスを感じていないかどうかを知り、ストレスの度合いが高いのであれば、まずは会社に知ってもらうことが第一歩だ。
 心の体調を崩した場合、専門医のサポートを受けることが重要だ。医師による就業上の措置は、
   「あらかじめ労働者の意見を聞き」
   「話し合いを通じて」
   「労働者の了解を得る」
ことが指針で示されている。強制ではない。

 (5)ストレスチェック制度の対象外の人(従業員50人未満の会社員)は、日本産業カウンセラー協会が運営する
   働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」
に「5分でできる職場のストレスセルフチェック」があるので、年に一度、自己チェックできる。

□稲毛由佳(社会保険労務士/ジャーナリスト)「自分のストレス度合いを知って早めにケア ストレスチェック制度の有効活用をおすすめします」(「週刊金曜日」2015年11月13日号)
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【保健】マニキュアで子どもの生活習慣病リスク増大 ~周産期~

2015年11月24日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)マニキュアに含まれる有害成分が問題になっている。
 日本では10月22日、百均ショップ大手の「ダイソー」のマニキュア「エスポルールネイル」に配合禁止の防腐剤「ホルムアルデヒド」が入っていて、回収騒ぎとなった。

 (2)米国では10月19日、環境団体「環境ワーキンググループ(EWG)」が、
 <マニキュアに使われる可塑剤「リン酸トリフェニル(TPP)」に環境ホルモン作用があり、爪に使用することで吸収され、体内濃度が7倍になる>
 というショッキングな研究結果を発表した。
 可塑剤とは、マニキュアを塗りやすくし、乃至はがれにくくする成分のことだ。EWGの報告によれば、米国では市販の約半数のマニキュアに、可塑剤として「リン酸トリフェニル」が使用されている。かなりポピュラーな成分らしい。

 (3)「リン酸トリフェニル」は、日本のマニキュアにも使用されているのか。
 植田武智・科学ジャーナリストが調べたところでは見つかっていないが、今回回収されたダイソーのマニキュアには使用されていた。
 「リン酸トリフェニル」を含むマニキュアで、日本で販売されているのは、
   ・米国化粧品最大手の「メイベリン ニューヨーク」の「カラーショーネイル」
   ・「レブロン」の「ネイルアートサンキャディ」
   ・「オーピーアイ」の「ネイルラッカー」
   ・「エッシー」の「ネイルポリッシュ」

 (4)そもそも「リン酸トリフェニル」は、マニキュアの可塑剤の外にも、住宅や家具のウレタンフォームなどの難燃剤として広く使われている。そのため、住宅内の塵や埃からも高頻度に検出され、人の体内にも吸収されやすい。
 米国では大人の95%、子どもの100%の尿からも検出されている。
 日本でも、母親の母乳を分析した調査で、86%の母乳から検出されている。
 また、「リン酸トリフェニル」の体内濃度について、女性の方が男性の2倍も多い、という研究もある。化粧品など、女性が多く使う製品からの曝露が疑われ、今回の研究発表につながった、という。
 
 (5)「リン酸トリフェニル」は、従来の動物実験のデータでは毒性は低い、と考えられてきた。
 日本難燃剤協会は、一般の人より多い労働環境での曝露量でも、ラットを使った実験で有害影響が出なかった投与量と比較すると23万分の1程度なので安全だ、と説明している。

 (6)しかし、ここ数年間の研究で、「リン酸トリフェニル」に微量であっても体内のホルモンを撹乱することで有害影響を示す環境ホルモン作用を示すものが発表されてきている。一般の人の曝露量レベルでも影響が出ている可能性が指摘され始めた。
 米国人男性を対象とした調査で、「リン酸トリフェニル」の曝露量が高いほど精子の濃度が減少していることが示された。

 (7)性モルモンへの影響だけではなく、生活習慣病の原因となる、という研究もある。
  (a)細胞実験だが、「リン酸トリフェニル」が体内で骨髄細胞に働きかけ、骨の形成を減らし、逆に脂肪細胞の生成を促進する作用があり、将来的な骨粗鬆症や肥満のリスクを上げる可能性が示唆されている。
  (b)妊娠中のラットに「リン酸トリフェニル」も含む複合難燃剤を投与した実験で、生まれてきた子どものラットが成長後に肥満になる、という結果も示されている。要注意だ。

□植田武智「米大手化粧品会社のマニキュアに環境ホルモン 妊娠中の使用で子どもの生活習慣病リスク増大」(「週刊金曜日」2015年11月6日号)
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【メディア】謀略「海軍神話」を砕く笠原氏の研究を紹介しないマスコミ

2015年11月23日 | ノンフィクション
 (1)対英米開戦の報を聞いて、南原繁(後の東大総長)は次の歌を詠んだ。
   「人間の常識を超え学識を超えておこれり日本世界と戦ふ」
 敗北必至、自滅確実な開戦だった。
 その責任の大半は、日本陸軍にあって、海軍は陸軍に引きずられたにすぎない・・・・とする説が、現在ではほぼ定着している。

 (2)しかし、その「陸軍悪玉海軍善玉説」は、敗戦直後に海軍首脳部が連合国軍最高司令官総司令部GHQに巧妙に働きかけて創った「海軍神話」にすぎない。
 そのことは、最近明らかにされている。昭和天皇が負うべき戦争責任を東条英機たちA級戦犯に転嫁するとの、GHQの方針に便乗した海軍側の作戦勝ちだった。
 作戦も兵站も丸出駄目夫の海軍首脳だったが、官僚的策謀には長けていたのである。

 (3)それだけでない。無謀な対英米開戦も、海軍が決定づけていたのだ。
 その事実を暴いているのが、笠原十九『海軍の日中戦争 アジア太平洋戦争への自滅のシナリオ』(平凡社、2015)だ。

 (4)満州事変以後、陸軍が戦線を拡大し続ける一方、海軍はワシントン(1922年)、ロンドン(1930年)の両海軍軍縮条約で主力艦などの保有を制限され、苛立ちを募らせていた。
 やがて海軍は、盧溝橋事件(1937年7月7日)に便乗した陰謀で戦火拡大に成功した。上海の大山勇夫・陸戦隊中尉を国民政府軍陣地に突入させ、射殺されたことを口実に第二次上海事変を引き起こした。謀略「大山事件」で日中は全面戦争に入った。
 笠原十九は、現地調査で、大山中尉が意図的に中国軍駐屯地に突入したことを立証している。
 事件後の海軍の対応は、準備万端整えられていたものだった。長期の準備が必要な上海への渡洋爆撃もほぼ即日実施された。
 南京など内陸への戦線拡大に合わせた中距離爆撃機や零戦などの開発で、日本軍は制空権を奪った。国民政府の臨時首都が置かれた重慶などに対する攻撃で、爆撃隊は一躍花形となった。
 国会では、軍部の言いなりになる戦費の増額が認められ、歯止めを失った。
 ここまで勢いづいた海軍の航空主戦派を率いたのは、山本五十六だった。
 やがて、山本たちは戦費増大、航空戦力増強の名目にしてきた対米開戦準備の旗印を今さら下ろせない、という事態に立ち至った。
 一方で、政治家や官僚たちは軍部を抑える気概も手立ても失い、世論は一気に対米開戦へ傾斜していった。

 (5)笠原『海軍の日中戦争』の巻末には、中国戦線での爆撃一覧表がある(力作)。
 この膨大な数の空襲による中国側被害が、後には日本の空襲被害となって再現される。その爆撃行を
   「対米戦に向けた絶好の各種演習であった」
という航空兵の記録に、海軍の冷酷さが読み取れる。
 山本五十六を含む旧海軍像を一変させる本書は、2015年6月に刊行された。
 だが、これまでどの全国紙・主要地方紙、週刊誌でも紹介されていない。
 本書は、軍事優先、情報操作の危険性を指摘している点で今日に通じている。
 日本のマスコミは、きたる12月8日の節目にも本書を無視し続けるだろうか?

□高嶋伸欣(琉球大学名誉教授)「謀略「海軍神話」を砕く笠原氏の研究を紹介しないマスコミ」(「週刊金曜日」2015年11月13日号)
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【本】フランクル『夜と霧』 ~心理療法「ロゴセラピー」~

2015年11月22日 | 心理
 (1)早熟の天才フランクルは、17歳にしてフロイトの精神分析に関心を持ち始めた。ただし、まもなくその還元主義から離れ、関心はアドラーに向かった。最終的には自前の体系を作りあげた。
 ウィーンで精神医療に従事した。「実存分析」を提唱する有力な存在だった。人が自らの生きる意味を見出すよう手助けすることで心の病を癒やす心理療法「ロゴセラピー」も、完全ではないが、すでに考案されていたと思われる。

 (2)少壮の精神医学者として属目されていたが、平和な生活は、ナチスドイツのオーストリア併合(1938年)によって破れた。
 ユダヤ人であるフランクルは、最初テレージェンシュタット収容所に収容され、ここで父を喪った。母と妻は他の収容所へ移送され、死亡した。
 フランクルは1944年10月にアウシュビッツ収容所に移送されたが、数日間滞在しただけで別の収容所に移送され、1945年4月、米軍により解放された。

 (3)強制収容所では、希望と絶望が交錯した。
 <例>「次のクリスマスには解放される」という噂が流れたりする。 
 これは希望の言語化にすぎないので実現することはなく、それがわかると失望のあまり死んでしまう人もいた。
 他方、どんな状況でも楽しみを見出す人びとがいた。どのような状況でも人生に意味を見出すことが生きることにとって重要なのだ。そういう考えにフランクルは到達した。
 強制収容所における体験報告は決して少なくないが、フランクルは自分の経験を単なる体験談にとどめず、それを越えて、心理学の立場から解明することをめざしたから、他の凡百の報告とは異なる人類史的な果実を得るに至ったのだ。
 意味の探求は、20世紀前半までの心理学においては唾棄すべき指向だと断罪されがちだったが、『夜と霧』以降の心理学は意味の探求を一つのテーマにしていくことになる。ジェローム・ブルーナーはその旗手の一人だ。実存主義は、意味を探求する心理学の思想的なバックボーンとなった。

 (4)フランクルの提唱した「ロゴセラピー」の前提となる考え方は、収容所経験以前から育まれていた。
 収容所においては、生きることの意味を問う必要に迫られることが多かった、とフランクルは言う。
   「私は何のために生きているのか?」
 このような問いに対して答えが見出せなければ、人生は絶望的なものとなる。
 フランクルはしかし、このような問いを立てるのではなく、
   「あなたが生きることが、あなたに対して期待していることは何か」
を問うべきだ、という。つまり、
   「自分の人生は何のためにあるのか」
ではなくて、
   「自分が生かされているのは、<私>にしかできないことがあるのではないか」
と問うべきだ、というのだ。 
 <例1>我が子が収容所の外で待っている人。
 <例2>ある分野の研究者でその人でなければ現在進行中の仕事を完成できない人。
 こうした例において、かけがえのない自分に対する期待/意味を想像すべきなのだ、という。
 人は実に簡単に「私は何のために生きているのか」と問い、すぐさま「何の希望もない」と答えてしまう。
 しかし、問いの設定がまちがっているのだ。実際、ジェットコースターに乗っている時に「私は何のために生きているのか」と問う人がいないように、のっぺりとした日常においてこそ、こうした問いが出てきてしまう。21世紀の比較的平和な日々であってものっぺりした日常を感じて「私は何のために生きているのか」と問い、絶望する人が存在する。
 そういう今こそ、「私にしかできない何か」という問いがもたらす生きがいを重視すべきであり、本書『夜と霧』は図らずも「ロゴセラピー」を実践した体験記として、心理学最大の名著なのだ。

 (5)訳書は、
  (a)②は①と比べて言葉が現代的になった。 
  (b)①と②とでは、拠る原著が違う。①は1947年の原著の翻訳であり、②は1977年の原著の翻訳だ。②の訳者(池田香代子)によれば、①には「モラル」という言葉が多用される一方、「ユダヤ」という言葉が一度も出てこない。①では、フランクルは、ユダヤという個別民族の受難ではなく人類の体験記にしたかったからこそ民族名を使わなかったのだが、その一方、この出来事をモラルの問題に帰することにより、冷静さが一部失われていたことに気づいて②の原著へと改稿したのではないか(池田の解釈)。また①の原著では巻頭にナチス強制収容所の「解説」が、巻末には「写真」が付されているが、②の原著にはない。
  (c)①と②の両方と参看すべきだ。
  (d)②の冒頭は、「心理学者、強制収容所を体験する」とある。これは事実の報告ではなく、体験記だ、と強調しているのだ。確かに、報告で捉えられない、伝えられないことがある。そして、体験記とすることで心理学の名著が誕生したのだ。

□①ヴィクトール・E・フランクル(霜山徳爾・訳)『夜と霧 --ドイツ強制収容所の体験記録』(みすず書房、1956/新装1971)【原著初版:1947年】
□②ヴィクトール・E・フランクル(池田香代子・訳)『夜と霧』(みすず書房、2002)【原著・改訂初版:1977年】
□サトウタツヤ『心理学の名著30』(ちくま新書、2015)
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【古賀茂明】「なかったこと」にされた議事録 ~閣議決定の記録~

2015年11月21日 | 社会
 (1)集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に関して、内閣法制局はその検討過程の議事録を作成していなかった。
 この事実は、9月28日付け毎日新聞が報道した。
 それから1か月半。
 「こんな重要な事案について、検討過程の文書が作成されていなかったとは、何たる怠慢だ」
 そういう批判の声が高まっている。
 国民感情としては当然だ。

 (2)だが、検討過程に係る文書は「残っている」はずだ。
  (a)「公文書管理法」によれば、閣議決定に至る経緯は文書として残さなければならない(同法4条2号)。
  (b)「情報公開法」によれば、原則として行政文書は公開しなければならない(同法5条)。しかし、同法5条5号によれば、「公にすることにより、率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれ」があるときは公開しなくてもよい。これを官僚たちは、「公開されるとなれば、批判を怖れて率直な意見を言えなくなるので、検討過程の記録は公開しなくてもよい」と解釈し、検討過程の資料や議事録は出さないことにしている。
  (c)さらに、(b)の法律の対象は、あくまでも「行政文書」だ。つまり、「行政機関の職員が組織的に用いるものとして、行政機関が保有しているもの」に限定される(「情報公開法」2条2項)。そこで官僚たちは、組織のための資料でも、個人のための文書だと強弁すれば、公開しなくても済むと「勝手に」考えている。

 (3)(2)-(a)から(c)の「法律の解釈(曲解)」を前提に、官僚の気持ちと行動を描写すると、こうなる。
  (a)集団的自衛権の行使容認の閣議決定に至るまでの検討過程は、しっかり文書にしておこう。文書を作成しても、検討過程の資料で公開義務はないから、文書を出せ、とは言われないはずだ(大量の文書が作成される)。
  (b)仮に運悪く公開請求が来た場合でも、検討過程の資料は公開義務はないから出さなくてよい。ただ、あるけど出さないというと文句が出るだろうから、最初からないことにしてしまえ(文書はないと回答)。
  (c)閣議決定関連の記録を残さなかったと言えば、公文書管理法違反だが、罰則はないから、「ごめん」と言えば済む。
  (d)処分されるとしても、人事記録に残らない訓告程度だろう。
  (e)一方、文書があると言って、国会などで追及されて出さざるを得なくなったら、「本当は違憲だ」などという議論を行っていたことがバレて大変だ。だから、とにかく文書はないことにしよう。→(b)
  (f)万が一、一部の文書が外部に漏れたら、それは個人的なメモだと言い張ればいい。行政文書ではないので、役所としては関知していない、とシラを切りとおせば何とかなる・・・・。

 (4)今のところ、事は官僚たちの思惑どおりに進んでいるようだ。
 これほどの重要な文書が、「ない」の一言で終わってしまう日本。
 とても民主国家とはいえない。
 抜け道を塞ぐために、公文書管理法と情報公開法の改正が喫緊の課題だ。

□古賀茂明「「なかったこと」にされた議事録 ~官々愕々第178回~」(「週刊現代」2015年11月28日/12月5日号)
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 【参考】
【古賀茂明】【原発】大手電力のエゴ丸出し
【古賀茂明】勝っても負けても安倍自民には得 ~大阪ダブル選
【古賀茂明】問題だらけの軽減税率 ~最悪の方向へ~
【古賀茂明】【原発】骨抜きの「ノーリターンルール」
【古賀茂明】アベノミクス「第二ステージ」 ~失敗を隠す官僚の常套手段~
【古賀茂明】難民と安倍とメルケルと ~ドイツと差がつく日本~
【古賀茂明】安保法成立の最大の戦犯
【古賀茂明】軽減税率、本当の問題 ~官々愕々第170回~
【古賀茂明】国民のために働く官僚の左遷 ~読売新聞の問答無用~
【古賀茂明】安倍首相の「積極的軍事主義」が根付くとき
【古賀茂明】電力自由化は進んでいない
【古賀茂明】【TPP】の漂流と「困った人たち」
【古賀茂明】安保法案の裏で利権拡大 ~原子力ムラ~
【古賀茂明】東芝の粉飾問題 ~「報道の粉飾」~
【古賀茂明】「反安倍」の起爆剤 ~若者たちの「反安倍」運動~
【古賀茂明】維新の党の深謀遠慮 ~風が吹けば橋下市長が儲かる~
【古賀茂明】腐った農政 ~画餅に帰しつつある「日本再興」~
【古賀茂明】読売新聞の大チョンボ ~違法訪問勧誘~
【古賀茂明】「信念」を問われる政治家 ~違憲な安保法制~
【古賀茂明】機能不全の3点セット ~戦争法案を止めるには~
【古賀茂明】維新が復活する日
【古賀茂明】戦争法案審議の傲慢と欺瞞 ~官僚のレトリック~
【古賀茂明】「再エネ」産業が終わる日 ~電源構成の政府案~
【古賀茂明】「増税先送り」「賃金増」のまやかし ~報道をどうチェックするか~
【古賀茂明】週末や平日夜間に開催 ~地方議会の改革~
【古賀茂明】原発再稼働も上からの目線で「粛々と」 ~菅官房長官~
【古賀茂明】テレビコメンテーターの種類 ~テレ朝問題(7)~
【報道】古賀氏ら降板の裏に新事実 ~テレ朝問題(6)~
【古賀茂明】役立たずの「情報監視審査会」 ~国民は知らぬがホトケ~
【報道】ジャーナリズムの役目と現状 ~テレ朝問題(5)~
【古賀茂明】氏を視聴者の7割が支持 ~テレ朝問題(4)~
【古賀茂明】氏、何があったかを全部話す ~テレ朝「報ステ」問題(3)~
【古賀茂明】氏に係る官邸の圧力 ~テレ朝「報道ステーション」(2)~
【古賀茂明】氏に対するバッシング ~テレ朝「報道ステーション」問題~
【古賀茂明】これが「美しい国」なのか ~安倍政権がめざすカジノ大国~
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【古賀茂明】安部総理の「大嘘」の大罪 ~汚染水~
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【古賀茂明】報道自粛に抗する声明
【古賀茂明】「戦争実現国会」への動き
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【古賀茂明】自民党が犯した最大の罪 ~自民党若手政治家による自己批判~
【古賀茂明】解散と安倍政権の暴走 ~傾向と対策~
【古賀茂明】解散と安倍政権の暴走
【古賀茂明】文書通信交通滞在費と維新の法案
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【古賀茂明】女性活用に本気でない安部政権
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【古賀茂明】【原発】原子力ムラの最終兵器
【古賀茂明】【原発】凍らない凍土壁に税金を投入し続けたわけ
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【古賀茂明】都議会「暴言問題」の真実 ~記者クラブによる隠蔽~
古賀茂明】集団的自衛権とワールドカップ
【古賀茂明】野党再編のカギは「戦争」
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【原発】【古賀茂明】規制委員会人事とメディアの責任
【古賀茂明】医師と官僚の癒着の構造
【古賀茂明】電力会社「値上げ救済」の愚 ~経営難は自業自得~
【古賀茂明】竹富町「教科書問題」の本質 ~原発推進教科書~
【古賀茂明】安部総理の「11本の矢」 ~戦争国家への道~
【古賀茂明】理研は利権 ~文科官僚~
【古賀茂明】「武器・原発・外国人」が成長戦略 ~アベノミクスの今~
【古賀茂明】マイナンバーを政治資金の監視に ~渡辺・猪瀬問題~
【古賀茂明】東電を絶対に潰さずに銀行を守る ~新再建計画~
【古賀茂明】「避難計画」なき原発再稼働
【古賀茂明】「建設バブル」の本当の問題 ~公共事業中毒の悪循環経済~  
【古賀茂明】安倍政権の戦争準備 ~恐怖の3点セット~
【原発】【古賀茂明】利権構造が完全復活 ~東日本大震災3年~
【古賀茂明】アベノミクスの限界 ~笑いの止まらない経産省~
【古賀茂明】労働者派遣法改正前にすべきこと
【古賀茂明】時代遅れな、あまりにも時代遅れな ~安部政権のエネルギー戦略~
【古賀茂明】森元首相の二枚舌 ~オリンピックの政治的利用~
【古賀茂明】若者を虜にする「安部の詐術」 ~脱出の道は一つ~

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【佐藤優】すべては国益のため--冷徹な「計算」 ~プーチン~

2015年11月20日 | ●佐藤優
 (1)11月14日、米経済誌フォーブス(電子版)は、「世界で最も影響力のある人物」73人のランキングを発表し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を3年連続でトップに選んだ。
 <同誌はプーチン氏について「やりたいことをやり、やりおおせることができる数少ない人物の一人」と評価。ウクライナ南部クリミア半島の強制編入などで制裁を受け、国内経済が停滞しても高い支持率を維持したと紹介した>【注1】
 影響力があるといっても、プーチンは否定的な意味で評価されているのだ。

 (2)10月31日、シャルムエルシェイク(エジプト東部)からサンクトペテルブルク(ロシア)へ向かっていたロシアのコガリムアビア航空9268便(エアバスA321旅客機、乗客乗員224人)がシナイ半島(エジプト)で墜落し、乗客乗員の全員が死亡した。
 シャルムエルシェイクは、ロシア人に人気の高いリゾート地だ。
 この事件について、「イスラム国」(IS)の系列の「シナイ州」を名乗る団体がインターネット上で犯行声明を発表した。しかし、犯人しか知らない「秘密の暴露」に該当する事実がないので、信憑性が疑われている。

 (3)(2)の事件についても、プーチンは独自の行動をとっている。
 米国のみならず欧州諸国も当初から(2)の事件はテロであるという見方に傾いていた。しかし、11月5日ごろまでロシアは慎重で、テロと事故の両面で調査を続けるという姿勢を示していた。
 ロシアが当初からテロ説を採用しなかったのは、
  (a)コガリムアビア航空がチュメニ州のハンティ・マンシ自治管区【注2】に拠点を持つ地方の航空会社で、機体の整備不良の可能性が排除されなかったからだ。
  (b)当該飛行機がミドル・イースト航空に属していた2001年11月16日、カイロ国際空港で「しりもち事故」を起こし、修理した経緯があるからだ。

 (4)その後、ロシアも(2)の事件をテロと認識するようになった。
 だから、プーチン大統領は、11月6日にロシアとエジプトを結ぶすべての航空便を運航停止にした。
 プーチンは、(2)の事件をロシアの国益増進のために最大限に利用することを考えている。国際調査団によって墜落の原因を究明する過程で、ロシアがテロリズムの犠牲者であることを最大限に強調し、現在、シリアでロシアが行っている軍事作戦が不可避であるとの認識を国際社会に抱かせることを狙っている。
 国際機関による真相解明に時間をかけ、(2)の事件のニュース性を持続させることがロシアにとって有利であるとプーチンは考えているのだろう。

 (5)同胞がテロによって殺害されても、感情的にならず、どのようにすれば(2)の事件を国益増進のために使えるかをプーチンは冷静に考えている。
 ロシア世論においては、すでに(2)の事件はテロ事件であるという認識が主流になっている。
 力によってテロを封じ込める必要がある、というコンセンサスはロシア人の間で確立している。
 プーチン大統領のシリアへの軍事介入に対する支持が一層強まるだろう。

 【注1】記事「米誌フォーブスの影響力ランキング プーチン氏3年連続首位 トヨタ社長は28位、安倍首相は41位」(産経ニュース 2015.11.5)
 【注2】石油原産地で豊かな地域。コガリムは自治管区の主要都市。

□佐藤優「すべては国益のため--冷徹な「計算」 ~佐藤優の人間観察 第136回~」(「週刊現代」2015年11月28日/12月5日号)
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【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
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【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
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【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
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【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 

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【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~

2015年11月19日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)北斗晶(48)・タレントが乳がんを発症し、右乳房全摘手術を受けたことで乳がん検診の希望者が増えている。
 他方、北斗タレントが毎年、乳がん検診を受けていたにもかかわらず、早期診断・治療がかなわなかったことにショックを受けている女性も少なくない。

 (2)乳がん検診で必須の乳房エックス線検査「マンモグラフィ」は、乳腺組織が濃い「若い」乳房に対する診断精度低い。平たくいうと、
   ①加齢とともに「スカスカ」になった乳房→「がん塊」が検査画像に白くはっきり写る。
   ②充実した若い乳房→乳腺組織も白色に写る。
 ②は、そのため、背後に隠れた小さな病変を見つけることが難しくなるのだ。

 (3)やや古い2008年のデータだが、東北大学の研究グループによる調査では、40代女性の乳がんに対するマンモグラフィの感度(診断の確かさ)は71.4%にとどまった。つまり、マンモグラフィを受けても3割は見逃される可能性があるのだ。
 60代に乳がんのピークがある欧米と異なり、40~50代に発症のピークがある日本人女性にとっては簡単には見過ごせない問題だろう。

 (4)では、日本人女性に適した乳がん検診は何か。厚生労働省の戦略研究では
   乳房エコー検査とマンモグラフィ併用法
が検討されている。
 40代の日本人女性を対象に、
   ①マンモグラフィ単独群
   ②マンモグラフィと乳房エコー検査の併用群
とで比較した結果、診断感度は、
   ①77.0%
   ②91.1%
と②がよい感度を示した。
 がん発見率の高さは②が①の1.5倍と、②に軍配があがっている。

 (5)ただ、国が自治体検診として公的補助を付けるには、乳房エコー検査によって乳がんの死亡率が明らかに下がった、という証拠が必要だ。結論が出るまで数年はかかる。
 幸い、乳房エコー検査は被曝の心配もなく、何度でも簡単に受けられる。禁じ手の疑いはあるが、「しこりが気になる」と申し立てれば、保険診療も可能だ。
 40~50代の女性は、自治体検診のマンモグラフィに加えてかかりつけの婦人科/乳腺外科で乳房エコー検査を受けるとよい。

□井出ゆきえ(医学ライター)「40代の早期発見のために 乳がん検診はエコーとの併用で ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.2~」(「週刊ダイヤモンド」2015年11月21日号)

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 【参考】
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~
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【欧州】難民流入急増で揺れる欧州の世論と基本理念

2015年11月19日 | 社会
 (1)難民の流入急増による欧州の動揺が続いている。
 2015年1月から9月までの欧州への難民流入人数は、前年同期の2倍に近い約75万人という数字になった。難民の多くは、シリア、アフガニスタン、イラクなどから紛争を逃れてきた人びとだ。欧州の世論は、おおむね彼らに同情的で、ボランティアによる積極的な支援活動が伝えられる一方、あまりに急な流入ペースに不安もまた広がっている。

 (2)スイスとポーランド・・・・10月に行われた総選挙では、難民受け入れに反対の党が躍進した。
 ドイツ・・・・欧州の中で難民支援に最も前向きな国のひとつだが、少なからぬ抵抗が見られる。メルケル首相は、難民を積極的に受け入れる方針を掲げてきたが、10月の世論調査では、支持率が4年ぶりの低水準まで急落した。支持率の水準自体は51%と依然として高く、政権基盤が揺らぐほどではないが、メルケル首相の難民対策は軌道修正が必至となった。
 ドイツの市民は、難民の受け入れ自体には賛成だが、首相の方針が無制限かつ無秩序な流入につながりかねない点を不安視している。

 (3)英国・・・・難民問題に敏感に反応している。わけても英国のEU離脱をめぐる議論への影響が顕著だ。2017年末までに実施される予定の国民投票に関する世論調査では、①「残留に投票する」と②「離脱に投票する」について、
   昨年末以降8月の調査まで・・・・①の回答が②を上回っていた。
   9月の調査・・・・①38%、②40%と逆転。
   10月の調査・・・・①と②ともに40%と拮抗。
 英国は、欧州内の人の移動について国境検査を不要とするシェンゲン協定に参加していない。難民の影響は他のEU加盟国に比べれば小さいといえるが、それでも有権者の懸念は根強いようだ。

 (4)こうした状況のなかで、英国では残留派・離脱派両陣営の活動も次第に活発になってきた。
 10月にかけて、①EU残留を主張する政治家や産業界の代表者がキャンペーン団体を立ち上げた。②離脱派のキャンペーン団体も活動を始めた。
   ①「ブリテン・ストロンガー・イン・ヨーロッパ(欧州の中でより強くなれる英国)」
   ②「ボート・リーブ(離脱に投票を)」、「リーブ・EU(EUからの離脱)」
 キャメロン首相は、①の世論を後押しするため、国民投票前にEUと交渉して英国に有利な条件を引き出したい、と考えていて、12月のEUサミットを目先の交渉のヤマ場と見ているようだ。
 外交面での働きかけも活発化が見込まれる中、11月初めにはオズボーン財相がドイツを訪問し、メルケル首相やショイブレ財相と会談した。オズボーン財相は、EUの中でユーロ加盟国と、非加盟国(<例>英国)が互いの経済的利益を尊重しあう枠組み「二つのスピードの欧州」を提案し、好感触を得た模様だ。
 一方、メルケル首相は、人の移動の自由を含むEUの基本理念の変更には賛同できない、とくぎを刺している。英国の一般有権者の関心が高い移民・難民問題は引き続き交渉課題として残っている。
   
 (5)シリアなど中東情勢が続く中、欧州をめざす難民の数は今後も高水準で推移する可能性が高い。各国でさまざまな波紋を広げることになるだろう。 

□高山真(三菱東京UFJ銀行経済調査室ロンドン駐在)「難民の流入急増で揺れる欧州の世論と基本理念 英国はEU離脱派が増勢」(「週刊ダイヤモンド」2015年11月21日号)
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【心理】日本珍姓寄名辞典 ~飲み会は雑学で(3)~

2015年11月18日 | 心理

 酒席では、毒にも薬にもならない話をする。呑むときには、話の中身がなくても面白ければいい。
 雑学もインフォーマル・コミュニケーションでやりとりされる。毒にも薬にもならない雑学のひとつが「日本珍姓寄名」だ。ただし、酒席に該当する「珍姓寄名」の人がいないことを前提として。

●日本珍姓寄名辞典
 毛穴(けあな・けな)、毛所(ねんじょ・めんじょ)、禿(はげ・かぶる・かぶろ・かむる・かむろ)、 珍竹林(ちんちくりん)、穴無(あなし)、大面(おおつら)、鳥膚(とりはだ)、黒目(くろめ)、 大耳(だいに)、生首(なまくび)、胃袋(いぶくろ)、腰(こし)、股(また)、助平(すけひら)、 色魔(いろま・しかま)、十六女(いろつき)、十八女(さかり・わかいろ・わかいそ・そやきみ)、 十八娘(ねごろ)、娘々(にゃんにゃん)、愛人(あいと)、浮名(うけな)、 新妻(にいづま・にいつま)、白肌(しらはだ)、男女重(おめしげ)、薄衣(うすぎ・うすぎぬ)、 男心(なじみ)、交楽(まずら)、百姓(ひゃくしょう・ひゃくせい)、左官(さかん・さがた)、 子守(こもり)、先生(せんじょう・せんぶ)、豆腐(とうふ)、芋(いくも)、黒豆(くろまめ)、 番茶(ばんちゃ)、素麺(そうめん)、我慢(がまん)、下駄(げた・しもだ)、 小包(こづつみ・ことずみ)、盗品(?:現在は廃姓)、青空(あおぞら)、無名(むみょう)、 老後(ろうご)、娑婆(さば・さま・さわ)、悪霊(あくりょう)、冥途(めいど)、達磨(たつま)、 仁王(におう)、釈迦如来(しゃかにょらい)、原子(はらこ)、爆弾(?:現在は廃姓)、 物理(もとろい・もどろい)、牛久十(うしくそ)、春夏秋冬(ひととせ)、留置(とめおき)、 骨皮(ほねかわ)、猿股(さるまた)、腹帯(はらおび・はらたい)、 乙立(おつたち・おとたち・おとたて)、鼻毛(はなげ)、毛剃(けぞり)、女遊部(おなつべい)、 女郎(じょろう)、生理(いくり)、魚屋(ととや・なや)、八百屋(やおや)、 大工(だいく・おおえ・おおく・だいこう)、日当(にっとう)、稼(かせぎ)、汗(ふざかし)、 酒場(さかば)、幹事(かんじ)、食堂(しょくどう)、立喰(たちばみ)、 接待(せったい・せつまち)、出納(すいとう・すいのう・でのう・てんのう)、宝船(ほうせん)、 阿片(あがた)、鉄砲(てっぽう)、刑部(ぎょうぶ・おさかべ)、冷飯(れいはん)、 年増(とします)、立膝(たちひざ)、平和(ひらわ)、本望(ほんもう)、無学(むがく)、 博士(はかせ)、物干(もざき)、入道(にゅうどう)、子宝(こだから)、家出(いえで)、 番長(いえで・はお)、田舎(いなか)、留守(るす・ともり・とまり)、大納言(だいなごん)、 珍品(くだら)、紅白(いりまじり・いりまじる)、芳名(よしな)、海外(かいがい・かいげ)、一物(いちもつ)、陰能(いんのう)、金玉(かねたま・きんだま・きんぎょく)、 黒股(くろと・くまた・すのまた)、珍宝(ちんぽう)、亀頭(きとう・かめがしら)

 等々、12万種類・・・・。


□篠崎晃雄『実用 難読奇姓辞典』(日本法令加除出版株式会社、1986)
□夏目房之助+週刊朝日『夏目房之助の学問』(朝日新聞社、1987)
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 【参考】
【心理】中日成程辞典・中日錯誤辞典 ~飲み会は雑学で(2)~
【心理】インフォーマル・コミュニケーション ~飲み会は雑学で(1)~ ~飲み会は雑学で(1)~


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【本】ミケランジェロ・プロジェクト/モニュメンツ・メン ~原作と映画~

2015年11月18日 | ノンフィクション
 (1)ナチス・ドイツは、フランスを始めとする欧州各国から美術品を略奪した。総統ヒトラーは、オーストリアはリンツに「総統美術館」を建造し、そこに、集めた美術品を収蔵する計画を立てた。
 戦況が悪化するにつれ、それら美術品はオーストリア中部の岩塩坑やドイツ南部のノイシュバンシュタイン城へひそかに運びこまれた。戦況悪化に伴い、ヒトラーは「ネロ命令」を下す。すべてを破壊せよ、と命じたのだ。
 命令が実行される前に「名宝」を救い出したのが、連合軍の「モニュメンツ・メン」だ。
 彼らのおかげで、ミケランジェロ、レンブラント、フェルメールなどの傑作を、21世紀に生きる私たちも観ることができるのだ。

 (2)「モニュメンツ・メン」は、第二次大戦末期、連合軍に設置された特殊部隊である。美術品を中心とする文化財を戦火から救出するのが、その役目だった。「文化財」の範囲は広く、教会の保存、修築も守備範囲だった。
 しかし、本書が中心にすえるのは、「史上最大の泥棒」ヒトラーとナチスが収奪し、隠匿した美術品の追跡、発見、救出である。
 「史上最大の宝探し」は、戦時のみがよくなしえる奇怪な話も生む。

 (3)著者の文才によって、「モニュメンツ・メン」に関与した人々とその仕事が、歴史の闇のなかから、生き生きと甦った。  
 語り口は、事実に即して厳密ながら、読みやすく、ほのかなユーモアさえ漂う。
 <やがてユーイングは話し出した。ナチから見ると、メスはドイツの町だった。ドイツは第一次世界大戦が終わった時、そこをフランスに渡した。だから、そこがドイツに属するのは当然である。そうではないか? もちろん、その歴史はそれより遙かに複雑だが、ナチは物事を単純化するのが好きだった。彼はヒトラーの言葉を引用した。「大衆は千回繰り返された最も単純な概念のみを記憶するだろう」>

 (4)本書をもとにしたジョージ・クルーニー監督・脚本・製作・出演による映画は、米国では2014年2月7日に公開された。日本では再三公開中止された後、2015年に公開された。
 クルーニーの他にマット・デイモン、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマン、ジャン・デュジャルダン、ケイト・ブランシェットら実力派の豪華キャストが出演している。
 ちなみに、似たテーマの映画にジョン・フランケンハイマー監督、バート・ランカスター主演の「大列車作戦(THE TRAIN)」(1965年)がある。フランスの鉄道員たちが不屈のレジスタンス活動を行うドラマだ。略奪した美術品を列車で運び出そうとする独軍に抵抗して、奪還のため壮大なトリックを仕掛けるのだ。

 (5)映画「ミケランジェロ・プロジェクト」はどれほど事実に基づいているか【注】。
  (a)映画のストーリーは実際の出来事に基づいているが、登場人物の名前は架空のものに変えられ、いくつかの史実はドラマに適した形に修正された。
  (b)クルーニーは「物語の80%は正確な真実で、シーンに描かれたことのほとんどは実際に起きたことだ」と語ったらしい。
  (c)アルトアウスゼー(オーストリア)にある岩塩坑にはエルンスト・カルテンブルンナーの命令で美術品が実際に保管されていたが、彼は敗戦後敵の手に渡らないよう建物を破壊せよというヒトラーの「ネロ指令」を無視し、美術品を保護していた【エルンスト・カルテンブルンナーの甥ミヒェル・カルテンブルンナーの証言】。
  (e)スウォンジー大学のナイジェル・ポラード博士は、映画の歴史的正確さについて星2つ(満点5つ星)だけつけた。彼によれば、MFAAという組織は実際にも決して大きくなかったが(組織構成は最高で2、3ダースの士官)、映画では更に7人へと人数を減らされた。映画ではモンテ・カッシーノの爆撃後(1944年2月以降)にストークスが率先して組織を設立したと描かれているが、実際の起源は1942年のリビアにおけるイギリス軍の奮闘まで遡り、1943年7月に連合軍がシチリア島に侵攻したとき組織はすでに存在していた。

 【注】「ミケランジェロ・プロジェクト

ロバート・M・エドゼル(高儀進・訳)『ナチ略奪美術品を救え --特殊部隊「モニュメンツ・メン」の戦争 』(白水社、2010/後に改題『ミケランジェロ・プロジェクト --ナチスから美術品を守った男たち(上下)』(角川文庫、2015))
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【佐藤優】安倍政権、沖縄へ警視庁機動隊投入 ~ソ連の手口と酷似~

2015年11月18日 | ●佐藤優
 (1)沖縄と日本の中央政府の緊張が新たな段階に入った。中央政府が、辺野古に警視庁(東京都管轄)の機動隊を導入したからだ。
 <米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設をめぐり4日、警視庁の機動隊員100人以上が米軍キャンプ・シュワブゲート前での警備活動に投入された。ゲート前に県外の機動隊が加わるのは初めて。従来多くて100人規模だった警備体制がこの日は200人超に膨らんだ。ゲート前の市民と機動隊員とのもみ合いで、抗議していた60代の男性が機動隊員を足蹴(あしげ)にしたとして公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された。転倒して救急搬送される人も出るなど現場は激しく混乱した。
 建設に反対する市民らはこの日、最大約210人が集まり、機動隊員に向かって「東京に帰れ」などと声を上げた>【注1】

 (2)11月6日付け「沖縄タイムス」社説は、警視庁機動隊の撤退を強く訴えた。
 <警視庁の機動隊といえば、「鬼」「疾風」などの異名を各隊が持つ屈強な部隊。都内でデモ対応などの経験があり、即応力を備える「精鋭」たちだ。
 かたやゲート前で反対の声を上げるのは、辺野古に新基地を造らせない、との一念で集まった市民ら。過酷な沖縄戦やその後の米軍支配下を生き抜いてきたお年寄りの姿もある。
 国内外の要人が出席するイベント開催に伴う一時的な警備ならともかく、非暴力の市民の行動に対応するために、「精鋭」部隊を投入するのは極めて異例だ。
 ゲート前の警備態勢が長期化し、県警内での人繰りが厳しくなる中、県公安委員会を通し警視庁に応援部隊の派遣を要請していたという。
 政府側は県警の要望だったと強調し、関与を否定している。だが、何が何でも新基地を造るという強硬姿勢を再三見せられてきた県民にとって、反対運動を萎縮させ、弱体化を狙う意図が働いているとしか思えない。
 そもそも、これまでの政府の強権的な姿勢が、抗議活動の「激化」を招いた。政府はその事実を重く受け止めるべきだ。
 (中略)沖縄の民意を無視し、権力で押さえ付けて意に沿わせようとする。新たな「琉球処分」とも指摘されるこうした事態が進めば、不測の事態が起こりかねない。政府は、正当性のない新基地建設工事を止め、警視庁機動隊を撤退させるべきだ>【注2】

 (3)(2)の社説が、沖縄の民意を端的に示している。
 このタイミングで警視庁機動隊が投入された理由は二つあるだろう。
 第一、中央政府が沖縄県警を信用いていない。県警には優秀な機動隊がある。にもかかわらず、あえて東京から機動隊を送ったのは、中央政府に「沖縄県警のデモ隊に対する方針は甘い。県警には沖縄人が多いので、抑圧する力を適切に行使することができない」という認識があるからだ。むろん、狡猾な中央政府は、真相が露見しないように姑息な工作を行っている。だから、沖縄県公安委員会による中央政府への要請という体裁を整えたのだ。
 <米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先として工事が始まった名護市辺野古の沿岸部に、警視庁が11月上旬にも百数十人の機動隊を派遣することが、警察関係者への取材で分かった。地元住民や市民団体の抗議活動が長期化する可能性があり、混乱を防ぐために沖縄県警が警視庁に要請したという。
 警察関係者によると、派遣される機動隊員は、辺野古沿岸部の警備を続けている沖縄県警の指揮のもとで配置される。工事が始まったことに抗議する人や団体が都内などから数多く集まる可能性もあり、警視庁が警備を支援するという。警視庁の機動隊はこれまでにも、那覇市内で重要防護施設の警備にあたっていた>【注3】
 警視庁機動隊が「沖縄県警のもとで配置される」としても、沖縄県警の公安は、事実上、沖縄県知事ではなく東京の警察庁警備局(公安警察)の指揮命令の下で動いている。実態としては中央政府が直接、沖縄の「治安維持」に乗り出した、ということだ。
 1968年にソ連が、「プラハの春」に軍事介入した際も、チェコスロバキア政府からの要請を口実にした。
 1979年にソ連が、アフガニスタンに軍隊を派遣した際も傀儡政権を使ってアフガニスタン政府の要請という体裁を整えた。
 安倍政権は、どうやらソ連の手口に学んでいるらしい。

 (4)このタイミングで警視庁機動隊が投入された理由の第二は、中央政府が力を見せつければ、沖縄人は怯(ひる)んで、おとなしくなり、辺野古新基地建設に対する異議申し立て運動を封じ込めることができる、と考えているからだ。
 しかし、このような中央政府の目論見は、沖縄人の団結力によって粉砕されることになる。
 <新基地建設の阻止を訴える市民の抗議行動は、戦後70年も生命・財産を脅かし続ける基地の重圧から脱したいという県民要求に基づくものであり、憲法が保障する表現の自由に照らしても正当だ。
 ゲート周辺での座り込みやデモは、新基地建設を強行する安倍政権に対する最低限の異議申し立てである。それを威力によって封じ込める行為は許されない。
 男性逮捕も疑問だ。本紙や市民が撮影した動画を見ると、先に機動隊員の手が男性の背後から伸び、バランスを崩した男性が機動隊員の方を向いて右足を上げるような動作をしているのが確認できる。
 市民逮捕の原因をつくったのは誰なのか厳しく問われるべきだ。市民をいたずらに挑発し、とっさに抵抗してきた市民を公務執行妨害容疑で逮捕するような理不尽があってはならない。
 現場では歩道上を鉄柵で囲った場所に、ゲート前から排除した市民を一時拘束するような事態も続いている。いったんゲート前から排除した市民を引き続き拘束するのは「予防拘禁」とも言うべき不当な行為ではないか>【注4】
 まさに、中央政府は、予防拘禁によって沖縄人を萎縮させようとしているのだ。
 事態を冷静に観察すれば、辺野古で機動隊と住民が衝突し、沖縄人の血が流れることについて、中央政府は何の抵抗も覚えていない。「日本全体の利益」という口実で、沖縄を犠牲にする、という姿勢を露骨に示している。

 (5)中央政府の政治家や官僚には見えないだろうが、質的な構造変化が沖縄で起きている。
 沖縄人は、沖縄人警察官との対話を深化させる。
 中央政府による沖縄人弾圧という現実に直面して、「仕事をやりすぎない」という形で沖縄人の両親に適う行動をとることが、沖縄人警察官、さらに国の総合事務所、沖縄防衛局、外務省沖縄事務所にとっての焦眉の課題である、という認識が、沖縄人の間で静かに共有されることになる。
 沖縄と沖縄人の運命を真面目に考えていない日本人上司に過剰同化して、沖縄人の間の衝突で流血が生じることだけは何としても避けなくてはならない、という想いで沖縄人は団結する。

 【注1】記事「警視庁機動隊を初投入 シュワブゲート前 衝突激化で逮捕者」(「琉球新報」電子版 2015年11月5日)
 【注2】社説「[警視庁機動隊投入]辺野古から撤退させよ」(「沖縄タイムス」 2015年11月6日)
 【注3】記事「辺野古に警視庁機動隊派遣へ 県警が要請、11月上旬に」(朝日新聞デジタル 2015年11月1日)
 【注4】社説「警視庁機動隊投入 人権脅かす警備はやめよ」(「琉球新報」電子版 2015年11月6日)

□佐藤優「沖縄への警視庁機動隊投入はソ連の手口と酷似」(「週刊金曜日」2015年11月13日号)
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【保健】サインは部位 ~動脈硬化の早期発見~

2015年11月18日 | 医療・保健・福祉・介護
(1)頸動脈(クビの血管)の動脈硬化
 頸動脈にコレステロールや脂肪がたまると、ここの表面が傷つきやすくなるため、血栓(かさぶた)が生じる。これが剥がれると、血流にのって、脳の血管でつまる危険性がある。
 頸動脈の中には全身の血液循環を司る圧力センサーがある(頸動脈洞)ため、ここにトラブルが起きると、以下の症状が出やすくなる。
①食後に時が飛ぶような強い眠気がある。
 個人差があるが、「意識が飛ぶような眠気」「いつ寝たのかわからない」などの極めて強い眠気は要注意。食後、脳への血流低下が起きやすくなるから起きる特徴だ。
②食後に血圧急低下が起きる。
 食後1時間の上の血圧が食前とくらべて20mmHg以上を繰り返す人(特に普段の血圧が高めの人)は要注意。眠気の特徴がわかりにくい人はこれで確かめることができる。

(2)腎動脈の動脈硬化
 腎動脈は腎臓に血液を送る血管だ。ここに動脈硬化が起きると、腎臓に流れる血液量が低下する。腎臓は自身に血液を届けようと全身の血圧を上昇させるため危険だ。
・降圧剤を飲んでも、血圧がなかなか下がらない。
 降圧剤を飲んでも腎臓に流れる血圧量は低下したままなので、腎臓は血管に働きかけて血圧を上昇させようとする。そのため、降圧剤の効果が出ない。

(3)家族性高コレステロール血症
 家族性高コレステロールは生まれつきの遺伝の影響で、コレステロールが下がらない。すぐ薬物療法を始めなければならない。
 LDLコレステロールが180mg/dl以上、または家族に若くして(男性55歳未満、女性65歳未満)冠動脈疾患になった人がいれば、以下のチェックをする。
①アキレス腱が「横」から見て盛り上がっている。
 通常、アキレス腱は横から見ると「くぼみ」がある。「後ろ」に膨らんでいたら危険。②アキレス腱の「厚さ」が2cm以上ある。
 アキレス腱を指でつまんで計った結果、2cm以上あれば危険。

□「「ためしてガッテン」2015年11月11日放映
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【心理】中日成程辞典・中日錯誤辞典 ~飲み会は雑学で(2)~

2015年11月17日 | 心理
 こう漢字表記されると「成程」と思う(1)と、
 こう漢字表記されると、日本人がその漢字から抱くイメージとはズレが大きい(2)と。

(1)中日成程辞典
 電扇 ←→ 扇風機
 瞼皮厚 ←→ ずうずうしい
 月薪 ←→ 月給
 仙人掌 ←→ サボテン
 空中小姐 ←→ スチュワーデス
 撃球員 ←→ バッター

(2)中日錯誤辞典
 電梯 ←→ エレベーター
 鉄餅 ←→ (円盤投げの)円盤
 通心粉 ←→ マカロニ
 西紅柿 ←→ トマト
 打字机 ←→ タイプライター
 口琴 ←→ ハーモニカ
 耳語 ←→ ささやく(動詞)
 月台 ←→ プラットホーム
 打火机 ←→ ライター
 鋼琴家 ←→ ピアニスト
 撒尿 ←→ おしっこする(動詞)
 電動机 ←→ モーター
 墨魚 ←→ イカ
 便道 ←→ 人道、歩道、近道
 屁股 ←→ 尻
 淋浴 ←→ シャワー
 遺失東西 ←→ 落とし物
 机器人 ←→ ロボット
 遺尿 ←→ おしっこを漏らす(動詞)

□夏目房之助+週刊朝日『夏目房之助の学問』(朝日新聞社、1987)
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 【参考】
【心理】インフォーマル・コミュニケーション ~飲み会は雑学で(1)~ ~飲み会は雑学で(1)~
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【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~

2015年11月17日 | ●佐藤優
 ①阿部謹也『「教養」とは何か』(講談社現代新書、1997)【斎藤美奈子から】
 ②石川千秋『「こころ」で読みなおす漱石文学 大人になれなかった先生』(朝日文庫、2013)【米光一成から】
 ③イヴ・K. セジウィック(上原早苗/亀沢美由紀・訳)『男同士の絆 --イギリス文学とホモソーシャルな欲望』(名古屋大学出版会、2001)【斎藤美奈子から】
   

 (1)教養とは何か。
 ヨーロッパ中世史の阿部謹也の①によれば、世の中に入って行くときに「そこで自分はどうやって生き抜くかを考えるのが教養である」。
 知識を増やすことではなく、世の中での自分の位置を考えていくのが教養だと。

 (2)今の学生に皮肉が通じるか?
 うーん、難しい。
 官僚にも皮肉が通じない(笑)。それは直接的な人間関係が欠けているからだ。LINEやメールと同じように、文字面だけで判断しているから、目の前にいる相手の非言語的な意味を読むのが苦手なのだ。
 読書も同じで、単なる知識の伝達だと思うとつまらない。読むことの先にはふくらみのある喜びが存在する。それに気づくと、世の中には面白いものがいっぱいあると実感できる。こうした見方は、いま必要な教養と結びつく。
 『こころ』を初めて読んだとき、わからなかった。なぜ語り手は先生に一目惚れするのか、etc.。ところが、②を読むと、疑問だった部分を次々に解釈してくれる。「青年が先生に一目惚れするのも、当時の大学のあり方が今とは違っているからだ」とか、謎解き編のようになっている。この本を読むと、漱石をはじめとする明治時代の小説の読み方がわかる。小説を読んでいると出てくるほころびを、著者・石川千秋は「実は解釈の重要な手がかりになるかもしれない」、つまらないと捨ててしまうのは違うんだ、と。

 (3)③は、いわゆる男社会のしくみについて解明した本。ホモセクシャルならぬホモソーシャルという概念を発明したのが、この本の手柄だ。セクハラヤジ問題に典型的にあらわれているが、男社会には独特の連帯感がある。会社もそう、議会もそう、男子校もそう、ヨーロッパベースの本なので日本社会とは実感のずれがあるが、ホモソーシャルという概念は何でも切れる万能包丁だ。使い勝手がよい。

 (4)「新しい教養」とは何か。
 疑いを持って、簡単に納得したり、だまされたりしないための体力ではないか。
 さまざまな世界や他者と共振するために本を読んだり舞台を見たりしていると、強くてわかりやすい単純なひとつの何かに、からめとられなくて済む。
 リアル書店に行ったほうがいい。厚さとか重さとか、実際に店頭で手にとって、何冊も開いてみる。本そのものの存在感が教養の一部ってこともある。
 教養の目的は何か。それは寛容になることだ。寛容であれば世界が広がるし、人間関係も仕事もうまくいくし、結果として出世する(笑)。そのためには単純な主張をする本ではなく、複雑なメッセージを持ったものを読むべきだ。長く生き残っている本ならば、行間から「すべてを信じないほうがいい。この本でさえ」というメッセージが聴こえてくる。

□佐藤優『知の教室 ~教養は最強の武器である~』(文春文庫、2015)の「第4講座 知の幹を作る最低限の読書」の「ビジネスマンが読むべき30冊 時代を生き抜くための知の教科書」【斎藤美奈子×米光一成×佐藤優】)
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 【参考】
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】『佐藤優の実践ゼミ』目次

  
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