語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【心理】中日成程辞典・中日錯誤辞典 ~飲み会は雑学で(2)~

2015年11月17日 | 心理
 こう漢字表記されると「成程」と思う(1)と、
 こう漢字表記されると、日本人がその漢字から抱くイメージとはズレが大きい(2)と。

(1)中日成程辞典
 電扇 ←→ 扇風機
 瞼皮厚 ←→ ずうずうしい
 月薪 ←→ 月給
 仙人掌 ←→ サボテン
 空中小姐 ←→ スチュワーデス
 撃球員 ←→ バッター

(2)中日錯誤辞典
 電梯 ←→ エレベーター
 鉄餅 ←→ (円盤投げの)円盤
 通心粉 ←→ マカロニ
 西紅柿 ←→ トマト
 打字机 ←→ タイプライター
 口琴 ←→ ハーモニカ
 耳語 ←→ ささやく(動詞)
 月台 ←→ プラットホーム
 打火机 ←→ ライター
 鋼琴家 ←→ ピアニスト
 撒尿 ←→ おしっこする(動詞)
 電動机 ←→ モーター
 墨魚 ←→ イカ
 便道 ←→ 人道、歩道、近道
 屁股 ←→ 尻
 淋浴 ←→ シャワー
 遺失東西 ←→ 落とし物
 机器人 ←→ ロボット
 遺尿 ←→ おしっこを漏らす(動詞)

□夏目房之助+週刊朝日『夏目房之助の学問』(朝日新聞社、1987)
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 【参考】
【心理】インフォーマル・コミュニケーション ~飲み会は雑学で(1)~ ~飲み会は雑学で(1)~
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【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~

2015年11月17日 | ●佐藤優
 ①阿部謹也『「教養」とは何か』(講談社現代新書、1997)【斎藤美奈子から】
 ②石川千秋『「こころ」で読みなおす漱石文学 大人になれなかった先生』(朝日文庫、2013)【米光一成から】
 ③イヴ・K. セジウィック(上原早苗/亀沢美由紀・訳)『男同士の絆 --イギリス文学とホモソーシャルな欲望』(名古屋大学出版会、2001)【斎藤美奈子から】
   

 (1)教養とは何か。
 ヨーロッパ中世史の阿部謹也の①によれば、世の中に入って行くときに「そこで自分はどうやって生き抜くかを考えるのが教養である」。
 知識を増やすことではなく、世の中での自分の位置を考えていくのが教養だと。

 (2)今の学生に皮肉が通じるか?
 うーん、難しい。
 官僚にも皮肉が通じない(笑)。それは直接的な人間関係が欠けているからだ。LINEやメールと同じように、文字面だけで判断しているから、目の前にいる相手の非言語的な意味を読むのが苦手なのだ。
 読書も同じで、単なる知識の伝達だと思うとつまらない。読むことの先にはふくらみのある喜びが存在する。それに気づくと、世の中には面白いものがいっぱいあると実感できる。こうした見方は、いま必要な教養と結びつく。
 『こころ』を初めて読んだとき、わからなかった。なぜ語り手は先生に一目惚れするのか、etc.。ところが、②を読むと、疑問だった部分を次々に解釈してくれる。「青年が先生に一目惚れするのも、当時の大学のあり方が今とは違っているからだ」とか、謎解き編のようになっている。この本を読むと、漱石をはじめとする明治時代の小説の読み方がわかる。小説を読んでいると出てくるほころびを、著者・石川千秋は「実は解釈の重要な手がかりになるかもしれない」、つまらないと捨ててしまうのは違うんだ、と。

 (3)③は、いわゆる男社会のしくみについて解明した本。ホモセクシャルならぬホモソーシャルという概念を発明したのが、この本の手柄だ。セクハラヤジ問題に典型的にあらわれているが、男社会には独特の連帯感がある。会社もそう、議会もそう、男子校もそう、ヨーロッパベースの本なので日本社会とは実感のずれがあるが、ホモソーシャルという概念は何でも切れる万能包丁だ。使い勝手がよい。

 (4)「新しい教養」とは何か。
 疑いを持って、簡単に納得したり、だまされたりしないための体力ではないか。
 さまざまな世界や他者と共振するために本を読んだり舞台を見たりしていると、強くてわかりやすい単純なひとつの何かに、からめとられなくて済む。
 リアル書店に行ったほうがいい。厚さとか重さとか、実際に店頭で手にとって、何冊も開いてみる。本そのものの存在感が教養の一部ってこともある。
 教養の目的は何か。それは寛容になることだ。寛容であれば世界が広がるし、人間関係も仕事もうまくいくし、結果として出世する(笑)。そのためには単純な主張をする本ではなく、複雑なメッセージを持ったものを読むべきだ。長く生き残っている本ならば、行間から「すべてを信じないほうがいい。この本でさえ」というメッセージが聴こえてくる。

□佐藤優『知の教室 ~教養は最強の武器である~』(文春文庫、2015)の「第4講座 知の幹を作る最低限の読書」の「ビジネスマンが読むべき30冊 時代を生き抜くための知の教科書」【斎藤美奈子×米光一成×佐藤優】)
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 【参考】
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】『佐藤優の実践ゼミ』目次

  
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【片山善博】【沖縄】辺野古審査請求から見えてくる国のモラルハザード

2015年11月17日 | ●片山善博
 (1)2015年10月13日、翁長雄志・沖縄県知事は、仲井眞弘多・前知事が行った米軍普天間基地の移転先である名護市辺野古沿岸の埋立て承認を取消した。
 これに伴う問題を、ここでは、もっぱら民主主義や国家権力のあり方という観点から取り上げる。

 (2)国(防衛省)は、知事承認取消し処分を無効にするため、行政不服審査法に基づき国土交通大臣に審査請求をした。
 これは理解できない行為だし、的外れでもある。
 そもそも、行政不服審査法とは、「国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによって、簡易迅速な手続きによる国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする」(同法第1条1項)のだから、国や自治体が行使する公権力から国民を守るためにあるのであって、国の機関を守るためにあるのではない。
 にもかかわらず、このたびは国(防衛省)がたまたま県から承認をもらう立場であることを理由にして、あたかも自らが私人であるかのように振る舞い、国民に与えられている権利を臆面もなく行使しているのだ。
 国の関係者には、行政不服審査法の趣旨、つまり圧倒的に力が強く、優越した立場にある国に対し、弱い立場にある国民の権利を擁護するために設けられているのだということがまるで理解できていない。

 (3)法的リテラシーが低い組織であれば、例えば自衛隊の海外での活動に法が歯止めをかけたとしても、その意味や限界をちゃんと理解することができないし、守れない。
 安倍首相は、我が国は法の支配を尊重する民主主義国家としばしば吹聴しているが、既に権力の内側からそんな原理は空洞化しているのではないか。
 これでは民主主義国家の看板が泣く。

 (4)いや、彼らは行政不服審査法の趣旨を理解した上でこんな振る舞いをしているのかもしれない。
 強引に法律の拡張解釈をすれば、自分たちだって国民に含まれる。ならば、行政不服審査法を活用して何が悪い。憲法9条の解釈を無理やり変更して制定した安全保障法制に比べればたいしたことはない。法律上の疑義が生じても、今のあの内閣法制局なら間違いなく助け舟を出してくれる。ずるいと言われようとどうしようと、利用できるものなら何でも利用させてもらう。
 こんな厚顔無恥やモラルハザードが蔓延しているのだとしたら、ここでもやはり民主主義国家は根腐れしている。

 (5)このまま行政不服審査法の手続きが進行すると、知事の埋立て承認取消し処分の当否を国交大臣が審査することになる。国交大臣が登場するのは、そもそも埋立ての免許や承認の事務は国(国土交通省)の事務とされ、それを県に委任しているという建前をとっているからだ。
 この種の事務を法定受託事務という。法定受託事務に関して県知事の措置に文句のある国民は、その事務の主管大臣(埋立て承認を取消しについては国交大臣)にその旨を申し出よという次第だ。

 (6)この点でも、行政不服審査法を利用できるのは国民であり、国は対象から除外されていると考えるのが当然だということが明らかになる。
 仮に国が審査請求をしたとすると、その案件も国が審査することになるのだが、それでは公正で客観的な審査は到底できない。とりわけ今の安倍政権のように、政府内でも与党内でも異論が出ないように周到に抑え込むのを得意とする政権の場合には、殊にそのことが言える。 
 一般に、審査したり、裁いたりする立場にある者が、その案件と深い関わりがある場合には、あえてその立場につかせない仕組みを採っている。公正さを担保するためだ。
 公正さを担保するために、こうした制度を行政不服審査の過程でも取り入れるとすると、今回のような場合には国は審査する立場を離れなければならなくなり、必然的に審査する者がいなくなる。
 そうであれば、はじめに戻って、やはり国が審査請求を出すことには法律の文言上だけでなく現実の運用面でも無理があることに気づくはずだ。
 国はそれでも怯むことなく強引に審査請求の処理を行うのだろう。結論は最初から決まっている。現・沖縄県知事の「承認取消し処分」を取消し、前知事による埋立て承認の効力を継続させる決定を下すことになるだろう。その結論の当否はともかくとして、身内で審査し、身びいきをしたに違いないとの疑惑は当分ついて回る。そんなやり方が通用しないことぐらい、子どもでもわかることだ。

 (7)では、国(防衛省)が知事に対抗するにはどんな手段があるのか。
 それは、悪知恵を働かせて私人を装ったりするのではなく、法で認められた国家権力を行使すればよい。その術はある。地方自治法の規定に基づき、国は県に対して是正の指示をすることができる。
 具体的には、国からの法定受託事務について、県による処理が法令に違反していると認めるとき、あるいは著しく適性を欠いていて明らかに公益を害していると認められるときには、国はその違反を是正ないし改善させるために必要な措置を講ずるよう、県に指示することが認められている。実際にこのたびの知事の取消し処分が法令に違反しているとか、著しく適性を欠いているかどうかは定かではない。ただ、法律上は国がそう判断すれば、取りあえずは是正の指示を出すことができる。

 (8)その後はどうなるか。今度は県の側で、国からの指示に不服があれば(このたびの場合は不服はあるだろう)、国地方係争処理委員会に審査の申し出をすることができる。
 国地方係争処理委員会は、地方自治法上設けられている仕組みであり、国と自治体とが対等であるとの原理のもとに、国が自治体に対して行った関与(各種の許認可のほか(7)の是正の指示などを含む)に対する不服や疑義について、自治体からの申し出を受けて審査する機関だ。委員には、地方自治や行政法に精通する専門家などが国会の同意を得て任命され、それなりに公正で信頼のおけそうな印象はある。

 (9)国地方係争処理委員会の結論がどうなるか予断を許さないが、国の側も県の側もその結論に不服があれば、こんどはいよいよ訴訟に持ち込み、法廷で争うことになる。
 国地方係争処理委員会の審査を経る道行きを、国はまどろっこしい、あるいはそれこそ昨今お得意の「面倒くさい」と考えているのか。それとも、ひょっとして、そこで自分たちに不都合な結論が出ることを恐れているのか。
 国がなりふり構わず、行政不服審査法を窃用し、そそくさと都合のいい結論を出そうとする態度は、いかにも姑息で卑怯に映る。前知事からもらった埋め立て承認に瑕疵がなく、絶対の自信があるなら、もっと正々堂々と法が認めた手続きを踏めばいい。

□片山善博(慶應義塾大学教授)「辺野古審査請求から見えてくる国のモラルハザード ~日本を診る第73回~」(「世界」2015年10月号)
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 【参考】
【沖縄】見返りから“賄賂”へ 振興費を区へ直接支給
【佐藤優】沖縄・日本から分離か、安倍「改憲」を撃つ ~知を磨く読書~
【佐藤優】沖縄の自己決定権確立に大貢献 ~翁長国連演説~
【詩歌】【沖縄】山之口獏「沖縄よどこへ行く」
【詩歌】【沖縄】山之口獏「耳と波上風景」
【詩歌】【沖縄】山之口獏「がじまるの木」
【詩歌】【沖縄】山之口獏「浮沈母艦沖縄」
【詩歌】【沖縄】山之口獏「沖縄風景」
【詩歌】【沖縄】山之口獏「島」
【詩歌】【沖縄】山之口獏「弾を浴びた島」
【佐藤優】慌てる政府の稚拙な手法には動じない ~翁長雄志~
【佐藤優】ある外務官僚の「嘘」 ~藤崎一郎・元駐米大使~
【佐藤優】自民党の沖縄差別 ~安倍政権の言論弾圧~
【沖縄】翁長知事訪米のインパクト ~メディアが伝えてないもの~
【佐藤優】【沖縄】知事訪米を機に変わった米国の「安保マフィア」
【佐藤優】ハワイ州知事の「消極的対応」は本当か? ~沖縄~
【沖縄】辺野古対抗と「わが軍」 ~安倍政権の思考停止~
【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
【沖縄】辺野古対抗と「わが軍」 ~安倍政権の思考停止~
【沖縄】の今(2) ~日米同盟の再構築へ向けて~
【沖縄】の今(1) ~東アジアの中の琉球~

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【心理】インフォーマル・コミュニケーション ~飲み会は雑学で(1)~

2015年11月17日 | 生活
 酒席では、毒にも薬にもならない話をする。呑むときには、話の中身がなくても面白ければいい。
 ネタがひとつあれば、10回くらいの酒席をこなせる。持ち歌がひとつあれば、10回くらい二次会、三次会のカラオケに付き合えるのと同じように。
 組織のなかで人間関係を円滑にするためには、いろいろな工夫が必要だが、毒にも薬にもならない話題もその工夫の一つだ。天候と野球やサッカーの話ばかりでは座がもたない。
 同席する人びともまた、組織の中で悩む人間だ。
 気くばりのすすめ。同じ集団の一員だから、インフォーマル・コミュニケーションで気くばりすれば、相手からも気くばりされる。
 雑学もインフォーマル・コミュニケーションでやりとりされる。毒にも薬にもならない雑学のひとつが「会社命名学」だ。

●会社命名学
 ・ダスキン ← 前の会社をのっとられ、新しく会社を興すとき、インパクトのある名をつけようとして、(株)ゾーキンにしようとしたが、社員が泣いて引き止めて、ダスト(ほこり)+ゾーキン で妥協し、ダスキンとなる。後に脱皮(ダッスキン)の意味もつく。
 ・任天堂 ← 人事を尽くして天命を待つ。
 ・資生堂 ← 万物資生(万物はこれをもとにして生まれる)(『易経』)
 ・キャノン ← もとは精機光学工業、商品名カノン1号から。
 ・アデランス ← アドヒアレンス(くっつく、根ざす)、社会に根ざし頭に根づくという意味で。
 ・アートネイチャー ← 自然で芸術的な髪を。
 ・花王 ← 顔
 ・ヤクルト ← エスペラント語のヤフルト(ヨーグルトの意)
 ・キッコーマン ← 創業当時、近くにあった亀甲山から「亀甲萬」と。
 ・イトーヨーカ堂 ← 創業当時、近所で繁盛していた日華堂をまねて「羊華堂洋品店」と。
 ・ロッテ ← 重光社長の愛読書『若きウェテルの悩み』に登場するシャルロッテから。

□夏目房之助+週刊朝日『夏目房之助の学問』(朝日新聞社、1987)
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