練馬区立美術館 2011年7月12日~10月2日
礒江毅(1954-2007)の代表作約80点を集めたもの。
この主にマドリードで学び活躍し評価されたスペイン名グスタボ=イソエについては先ごろまで何も知らなかった。
この数年、リアリズム、徹底した写実の画家に出会うことがなぜか多い。
これは並の写実ではない。ここまで徹底すると、画家が対象を吸い取り、その画は重さが、水分が、温度が無くなっているようにも見える。それが悪いのではなく、そこに「見た」ということを見る者に追体験させるとでもいおうか、そういうものがある。
自画像でもどこかそういう点で普通とちがう、自分と誠実に向き合っているというレベルの先、というかそれとは別の方向に最初から向かっていたのではないか。
描く対象は、多くが生物、裸婦、でもシャツとか、新聞紙の上に横たわった裸婦のその新聞の詳細!
例の高島野十郎とはまたちがう。礒江はやはり正統西洋画なんだろう。「鮭”高橋由一へのオマージュ”」なんていうのを見るととりわけそう思う。
実質的な遺作の女性、説明にもあるように、皮膚の下からかすかに浮かび上がってくる静脈!
この展覧会をNHK BS1「地球テレビ エル・ムンド」で紹介していた山田五郎が、写実がここまでいくと「死」を感じさせるというようなことを言っていたが、確かにこんなに吸い取ってしまうとそういう域に達している。これは楽しむをいうより、もう少し記憶においておきたい。