メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

高島野十郎

2009-01-24 22:51:32 | 美術

「鑑定団」が発掘した画家展-牧野義雄・高島野十郎-
永井画廊 (東銀座)(1月13日~2月13日)
 
2008年8月31日のNHK新日曜美術館で初めてその存在を知ったものの、実物は一度も見たことがなかった高島野十郎(1890-1975)、それもその代表作を中心とした10点を見ることができた。
日経の展覧会情報で偶然見つけ、画廊には行きなれないものの、行ってみたのは幸運だった。
 
展示されているのは、「睡蓮」、「法隆寺塔」、「雨 法隆寺塔」、「ばらとさくらんぼ」、「からすうり」、「月」、「夕月」、「ろうそく」、「柿」、「秋の山」。
 
油の細密画であるが、その細密の度合いがなんとも異様である。細密な写実、こうしたすべての細部に焦点があった絵を見ていると、描かれているものが独立しているというか、ものによっては不思議な浮遊感がある。
 
考えてみれば、眼でよく見るといってもそれはいろいろなところに次々に焦点をあてる、スキャンする、そんな見方をしているわけで、そうでない細密画はそれだけで普通に見ることとは違うのだが、そういうレベルをさらにつきぬけた集中感のようなものがある。
 
「からすうり」、これはまさしく代表作だろうし、世話になった人に差し上げていた数十点の「ろうそく」の一つ、こんな月はみたことない「月」、そしてまさかこれが見られるとは思っていなかった盗難、発見、修復の奇跡で有名になった「雨 法隆寺塔」、この描かれた雨、この雨の線、だれがこういうものを描くだろうか。
 
あわせて展示されている牧野義雄(1869-1956)は、さらに無名でロンドンで描かれた水彩数点、これは当時のモダーンだろう。自己流だったらしいが、渡欧はフジタより前だったようだ。


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