メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

譜めくりの女

2009-09-05 16:28:37 | 映画
「譜めくりの女」(La Tourneuse De Pages 、2006仏、85分)
監督・脚本:ドゥニ・デルクール
カトリーヌ・フロ、デボラ・フランソワ、パスカル・グレゴリー
 
音楽学校(コンセルヴァトワール)の入学試験(ピアノ)を受け、審査員女性ピアニストの態度に惑わされ失敗した少女が、長じてピアニストの夫の事務所に、そして家庭に狙い通り入り込み、譜めくりが出来ることからそれを任されすべてに信用されることに成功、そこからどんな復讐を遂げるのか。
 
少女の父親は肉屋で、大きな肉を切り刻むシーン、家庭に入り込んでからそこの男の子を扱うときの怖い雰囲気、そうやって見せていって、ちょっと肩透かしのような巧妙な手段で終わる。やられたほうにとって実際は致命的なものだが、見ているほうは何か消化不良なものが残る。
 
復讐を遂げたこの娘は、その後どうなるのか。
入試時の事件も、審査するピアニスト当人にとってはかなり偶然だったのだが。
 
それでも、フランス映画らしい俳優の姿、しぐさ、やりとり、特になんともいえない色っぽさ、それは夫人にも娘にもあって、米英の映画にはないもの。
 
譜めくりという設定を考えたところが、この映画作りのポイントになっていることは確かだろう。
 
疑問を感じたのは、このクラスの入学試験でも、課題曲が技巧的には地味なものになっていること、音楽一家(それもピアノ)がこんなにテニスに興じていいのだろうか、ということ。
 
ピアニストは、交通事故にあって後にソロから退き、トリオをやるようになっている。弾くのがショスタコーヴィチというのが、この「フランス」映画のセンス(いい意味で)であり、選曲の見識か。
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