メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

大琳派展

2008-10-29 10:52:13 | 美術
大琳派展 継承と変奏」(10月7日~11月16日、東京国立博物館 平成館)
本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳、尾形乾山、酒井抱一、鈴木其一の代表作を一同に会して眺められるという機会はありがたい。これまでもなかっただろう。行った日には光琳の国宝「燕子花図」は既に展示換えでなかったが、これまで2回見たこの傑作は根津美術館改装が終わる来年以降見るとして、ここに足りないのは光琳の国宝「紅白梅図屏風」(MOA美術館)、鈴木其一の「朝顔図屏風」(メトロポリタン美術館)くらいだろうか。
 
ただ鑑賞するということからいえば、全体を眺めて頭にいれておき、このあとどこかで出会ったときにそなえる、あるいはそこにリピーターとして見にいくためのもの、という位置づけが強い。
 
例えば「風神雷神図屏風」、宗達と光琳は出光美術館の企画展で並んだものを見た記憶があるが、今回は抱一と其一まである。
そしてそれぞれを鑑賞するというより、比較してしまうのやむを得ないところだ。光琳のものにしても、これだけ見ればなかなかなのだが、宗達と比べてしまえば、やはり軍配は宗達にあがる。
それに、昔からあったテーマとはいえ、自分で構想を練り、下絵を描いて設計すれば、もっと力が入ったものになったであろうが、先達のものを前にして模写ということになれば、本人の力はそんなに出ないのではないだろうか。
 
宗達、光琳、乾山はこれまでの印象とそんなに変わらないが、光悦の書、抱一の「夏秋草図屏風」、「波図屏風」、そして其一の動植物の細密でありながら何か超自然を感じさせるもの、などに、インパクトを受けた。
「夏秋草図屏風」は東博で以前見たときは、もっと地味であった記憶があるが、今回は照明のせいもあるのか、堪能出来た。
 
抱一のこの二つは地が銀ということで有名だが、それがもっとも大胆に発揮された「波図屏風」は抱一の中でもスケールが大きく見事で、静嘉堂文庫所蔵のようであるから、また見にいってもいい。
 
それにしても集客力の高いこと。
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