メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

リヒテル・プレイズ・ショパン

2010-03-16 22:01:42 | 音楽一般
「リヒテル・プレイズ・ショパン」
 
スヴャトスラフ・リヒテルのモスクワ音楽院大ホールにおける1967年、1971年、1976年のライヴ録音から選ばれたCD。メロディアから出ているロシア盤。
 
これもグルダのものと同様、ショパン生誕200年をあてこんだものだろう。リヒテルによるショパンのまとまったアルバムは、正規盤とでもいうべきものでは、このほかでやはりメロディアから出ていた第2協奏曲、バラードの第1、第2など、そしてフィリップスから出ていたエチュードをまとめて入れた(全曲ではないが)ものくらいしか記憶にない。
 
しかし、ブリューノ・モンサンジョン「リヒテル」についている演奏記録の統計によれば、作曲家別で最も演奏回数が多いのはなんとショパンであって、リヒテルはショパン弾きといってもおかしくないようだ。
ショパンの曲は演奏時間が平均して短いから、長い時間の間にはカウントは上がりやすいが、それを差し引いてもショパンの演奏回数は多いし、本人も好きだったのだろう。ショパンは旧ソ連音楽界でも定番だったはずで、確かスターリンはベートーヴェンなら好きだったようだから、これらを弾いていれば、たまにショスタコーヴィチを弾いても文句を言われなかったか? というのは考えすぎだろうか。
 
さて、ショパンはやはりこういうアンソロジイがいい。曲の種類でなんとか全曲という作られ方のCDは一そろいあればよくて、あとはうまく並べられたものに限る。
 
このCDもなかなかで、よく歌い、ルパートもよく、もちろんピアニスティックな満足感も大きい。
ショパンの曲はおそらくピアニストの生理に訴える部分があるはずで、リヒテルの感応力は高い。
例えば「幻想ポロネーズ」変イ長調Op.61、そしてホロヴィッツも得意にしていたエチュード嬰ハ短調Op.25-7。
 
ところでメロディア盤は10年前あたり、本国で問題があったか、また日本で販売しているBMGビクターとの間に問題があったのか、両方だったのか、もうこれきりという話があり、最後はセールになって1000円以下でたくさん売り出されていた。急いだわけではないけれど、これ幸いと、リヒテル、ヴェデルニコフ(ピアニスト)、ショスタコーヴィチの録音の少ないもの、などだいぶ買った。ヴェデルニコフなんか買っておいてよかったと思う。
 
最近また、カラヤンのモスクワ・ライヴあたりから、珍しいものも含めて出始めているようで、期待できそうだ。
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