メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

ディアベリの呪い

2013-04-16 22:18:54 | 音楽一般

サイード音楽評論について書いたときに、ポリーニの視聴経験をかなりあげたが、確かにベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲」あたりでこっちもくたびれてきて、このピアニストのフォローをやめてしまった。

 

それで考えてみたのだけれど、この変奏曲としては大曲のディアベリは、私にとっても鬼門である。始まってしばらくはいいのだが、最後に行くに従い、あのポリーニ同様、聴いていてもなにかのたうちまわるようで、帰結しない。

 

作品120だから、ソナタよりはあとである。6つの変奏曲(作品34)、エロイカ変奏曲(作品35)、そして作品番号がない32の変奏曲ではこういうことはない。

 

それでもディアベリには何かあるのだろうと、これまでグルダ、ゼルキン、リヒテルと聴いてきたが、どうも満足したという感はない。それでもこの3人は、彼らなりの世界に持ってきていてその結果ということなのだから、こういう作品なのかもしれない、私にとって、と思う。

 

ゼルキンとグルダについては、ベートーヴェンの変奏曲はこれだけしか聴いていない(ほかにあるという情報も持っていない)。

一方、リヒテルはエロイカと6つの変奏曲の録音があり、特にエロイカは素晴らしい。

 

そしてグールド、上記3つの録音があり(エロイカは確かスタジオ映像もある)、本人も特に好きな曲だろうということは演奏からも伝わってくる。愛聴盤である。が、ディアべリの録音はない。これって彼自身の評価からきているのだろうか。これと「ハンマークラヴィア」は以前聴きたいと思っていて探した。「ハンマークラヴィア」はあまり音のよくないライブ録音があるが、特にどうということはなかった。

 

ポリーニは最近フォローしていないのでディアベリの他はわからないが、エロイカを弾くとは想像しにくい。本当は弾いてみればよかったのに、と思うのだが。

もっともコンクールの時期は知らないが、ショパンのポロネーズ集を録れる場合でも、「英雄ポロネーズ」や「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」はやらない人である。後者なんかはショパンの大傑作の一つだと思っていて、ホロヴィッツ、ルービンシュタイン、アルゲリッチと皆いいが、あのリヒテルだってオーケストラとの共演ヴァージョンのとてつもなく素晴らしい録音(珍盤?)がある

 

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