「「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告」:エマニュエル・トッド著 堀茂樹訳 2015年5月 文春新書
これはこの4年くらいの間のインタビューを集め、日本で編集したものらしい。各編20頁ほどで、読みやすい。テーマは衝撃的だが、ひととおり読んでみると、そういう見方もあるのかなと考える。よく売れているようだ。
かなり思い切った表現、結構どぎついものもあり、多くの表、グラフなどで具体的なデータは提示してあるものの、しっかりと受け取ったというところまではいかない。
とはいえ、さすが人口学、人類学の立場から、乳幼児死亡率の増加を見てソ連の崩壊を予言したことで評価が高いトッド、こうしてみるとクリミア、ウクライナとロシア、そしてギリシャとEUとりわけドイツとの関係が、すこしちがって見えてくる。こういう視点もありうるとして今後みていくことは大事だろう。
あまり国や民族をこうだと決めつけてはいけないが、こうしてみるとドイツというものは、この100年と少し、ヨーロッパの中でかなり特異なもので、周囲と軋轢を起こす要素をもってたのは、何もナチばかりではなかったようだ。今ヨーロッパでは一人勝ちだし、それによって低いポジションになってしまったギリシャやほかの東欧、南欧諸国は共通通貨ユーロのためもあって、これまでならあった逃げ道もなくなった。
おりしもツヴァイクの「昨日の世界」を再読したところで、著者はもちろんドイツ語を母語としているが、ウイーン生まれのユダヤ人で、身につけてきた文化的背景、つまり汎ヨーロッパ的なものからするとドイツに少し違和感があったような感じがした。一方でトッドのちょっと口が悪い表現による、仏、英、独あたりの比較というのはおもしろく、また今般のギリシャの普通に考えればなにを勝手な怠け者のという感も、あの国民投票と理解しがたい首相も、少し納得がいく。
トッドには是非このようなテーマで、じっくりと書いてほしい。さてフランスは、このトッドに続いてピケティと、なかなかの論客を生み出しているが、教育制度に何かあるのだろうか。
これはこの4年くらいの間のインタビューを集め、日本で編集したものらしい。各編20頁ほどで、読みやすい。テーマは衝撃的だが、ひととおり読んでみると、そういう見方もあるのかなと考える。よく売れているようだ。
かなり思い切った表現、結構どぎついものもあり、多くの表、グラフなどで具体的なデータは提示してあるものの、しっかりと受け取ったというところまではいかない。
とはいえ、さすが人口学、人類学の立場から、乳幼児死亡率の増加を見てソ連の崩壊を予言したことで評価が高いトッド、こうしてみるとクリミア、ウクライナとロシア、そしてギリシャとEUとりわけドイツとの関係が、すこしちがって見えてくる。こういう視点もありうるとして今後みていくことは大事だろう。
あまり国や民族をこうだと決めつけてはいけないが、こうしてみるとドイツというものは、この100年と少し、ヨーロッパの中でかなり特異なもので、周囲と軋轢を起こす要素をもってたのは、何もナチばかりではなかったようだ。今ヨーロッパでは一人勝ちだし、それによって低いポジションになってしまったギリシャやほかの東欧、南欧諸国は共通通貨ユーロのためもあって、これまでならあった逃げ道もなくなった。
おりしもツヴァイクの「昨日の世界」を再読したところで、著者はもちろんドイツ語を母語としているが、ウイーン生まれのユダヤ人で、身につけてきた文化的背景、つまり汎ヨーロッパ的なものからするとドイツに少し違和感があったような感じがした。一方でトッドのちょっと口が悪い表現による、仏、英、独あたりの比較というのはおもしろく、また今般のギリシャの普通に考えればなにを勝手な怠け者のという感も、あの国民投票と理解しがたい首相も、少し納得がいく。
トッドには是非このようなテーマで、じっくりと書いてほしい。さてフランスは、このトッドに続いてピケティと、なかなかの論客を生み出しているが、教育制度に何かあるのだろうか。