晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

松下竜一 『狼煙(のろし)を見よ 東アジア反日武装戦線“狼”部隊』

2018-02-08 14:51:48 | Weblog

講演や説明を聞いていて、ついウトウトとすることがあります。どんなに身体が疲れていても、興味深く面白い話の場合は寝てしまうことはありません。僕は、聴くものを眠くするのは、話し手の力量にあると思います。国会の予算委員会がTVで中継されました。質問者の後ろで道5区W田代議士の姿がバッチリTVに映っていました。自民党委員の緊張感が無い質問に、ついにコックリ、コックリを始めていました。さすが、実力者だった故M村代議士の後継者です。

 

 『狼煙(のろし)を見よ 東アジア反日武装戦線“狼”部隊』(松下竜一著 河出書房新社 2017年刊 初出『文藝』1986年冬号)   

故郷釧路が生んだ有名人としては原田康子、桜木柴乃らがいる。大道寺将司を覚えている人はいるだろうか。僕と同じ高校出身で数年先輩である。読むべき本だと思った。

本書は、松下氏が1987年に刊行した著書の再刊である。大道寺は、昨年5月に東京拘置所の病舎で亡くなった。確定死刑囚となって30年が経っていた。雑誌『情況』2017年秋号に、同じ釧路出身の太田昌国氏が「従弟・大道寺将司との半世紀」と題するインタビュー記事が掲載されている。

僕は、大道寺ら東アジア反日武装戦線の現状認識、主張、変革手段は全て誤りだと考える。彼らは、植民地支配、少数民族への抑圧、アジアへの企業進出を行った、行っている企業は、そこで働く労働者も含めて全て悪と断じ、爆弾を含め打撃を与えても良いとした。

日帝本国人として親に育てられた彼ら自身を自分でどのように捉えていたのか。命を賭して主張を残した三島由紀夫の方に共感を覚える。自らの加害性を総括しないで、かつ自分たちの存在も明かさず、人びとを殺めたことに一変の正義も無い。

ただ残るのは、若い彼らを駆り立てた情念だ。彼らの純情を簡単に切り捨てることができない。

1974年の三菱重工爆破事件から21年後の1995年に再び若者が無差別殺傷事件を起こした。2週間ほど前に全員の刑が確定したと報じられたオウム真理教だ。僕は、彼らがなぜあのような行動を起こしたのか、全く解明されていないと思う。そのオウムから23年が経った。常にスマホをいじって下を向いている今の若者たちが何を考えているのか、僕にはわからない。

本書に登場する地名、40数年前の僕の生活エリアと重なる。緑ヶ岡、武佐、柏木町、貝塚、鳥取、春採湖、湖畔小学校、武佐生協、太平洋病院、太平洋興発、HTBテレビ塔、清明小学校、市役所、六園荘、トキワグリル、喫茶コロポックル・・・そして海霧と夕焼け

 

なお、太田昌国氏については、僕のブログに2016.7『新左翼はなぜ力を亡くしたのか?』(太田昌国 関西ルネ研講演記録 月刊『情況』2016年4,5月号)、              2014.6『【極私的】60年代追憶 精神のリレーのために』、2013.5『テレビに映らない世界を知る方法』、2011.5『新たなグローバリゼーションの時代を生きて』、 2009.9『拉致対論』(蓮池透、太田昌国対談)、2008.6の『拉致異論』を書いた。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする