2月22日の朝刊に、「防衛省が、内局の背広組(文官)が制服組自衛官より優位を保つと解釈される同省設置法一二条を改正する方針を固めたことが分かった。自衛隊の部隊運用(作戦)を制服組主体に改める「運用一体化」も改正法案に盛り込む。背広組優位からの転換となり、背広組が制服組をコントロールする「文官統制」の規定が全廃される。制服組や制服OBの国会議員からの強い要求を受け入れた形」という報道があった。マスコミは、川崎市の少年事件を細部にわたってトップニュースで扱っているが、僕はこれは相当重大なニュースだと考える。
気が付けば、ひとつひとつ「戦後改革」の成果が崩されている。自衛隊創設、集団的自衛権、赤字国債発行、国債の日銀による引き受け、独禁法緩和、人材派遣、持ち株会社解禁、
『あの戦争は何だったのか 大人のための歴史教科書』(保坂正康著 新潮新書 2005年刊)
知人からいただいた一冊。保坂氏は北海道出身、氏は数多くの著作をあらわしているが今まで読んだことがなかった。僕の先入観としては、保坂氏、それに半藤一利氏、両氏とも読んだことが無いが、共通して彼らには何か胡散臭さを感じている。
本書で、著者は「あの戦争は何だったのか」と問い、戦争に舵を切ったのはいつからなのか、戦前の意思決定過程のあいまいさ、陸軍と海軍という組織間の不協和音、見通しなき戦術、根拠なき精神主義・・を縷々語るが、これらはこれまで数多くの識者によって指摘や分析されてきたことを繰り返しているだけである。そして著者は、これらは今もこの国を覆っているのではないかと警鐘を鳴らす。
最近の僕は一冊の本を読むとき、そこから何かひとつでも掴むことができれば、考えるきっかけになれば、それでいいと思っている。
本書は、大変読みやすく、一気に読み進めることができたのであるが、結局、著者は自身の思想を何も語っていないと感じる。著者の過去や現在の歴史や事象に対して向き合うスタンスが見えないのである、肯定の質も否定の質もどこか緩いのである。実話読み物なのである。それなりに面白かったなあで終わってしまうのである。
あの戦争を分析している著作では、『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』(戸部良一他著 ダイヤモンド社 1984年刊)が僕にとってはベストでありこれを超える著作を読んだことが無い。