日経コミュニケーション編で作られた一冊。
だいぶ、日本の通信政策をどうすれば強い企業ができ、国外とも戦えるのかという視点が出てきている。日経コミュニケーションの書く視点が、内向きでなくなったのがよい。
NTTが責任を持って、通信市場をリードする環境を作るべきである。
序章 責任と自覚に欠ける「巨象」
営業利益が日本一の“苦しい”企業
NTTの独走を黙認する総務省
トーンダウンする2010年“NTT解体”
不振の本当の理由
第1章 期待を裏切った次世代ネットワーク「NGN」
異例づくめだった記者会見
構想だけが先走ったNGN
持ち株会社の理想と東西会社の現実
「7、8割の出来」でもメンツを優先
スモールスタートは規制回避策か
光ユーザーの乗り換え防止を画策
現実になったフレッツ光の失速
持ち株会社の真の目標はグループ連携?
第2章 組織防衛にひた走るNTT持ち株会社
3000億円近い営業費用をかけるフレッツ
導入を急ぐ必要がなかったNGN
NTT東西の業績は2012年度以降に一気に好転
失笑を買ったNTTドコモの中期経営戦略
「海外展開は内向き志向の結果」の意外な声
固定と移動の融合を急がない不思議
目指すはグループ一体化
“制度通”をかき集める持ち株会社
現場にくすぶる“持ち株会社不要論”
第3章 後退した加入電話の将来計画
6年で1兆3000億円が消えた
光ファイバーが普及しないという誤算
加入電話の豊富な機能が足かせに
期限なき保守に頭を抱えるメーカー
IP化への備えで振り回される競合事業者
ユニバーサルサービス基金の検討も止まる
ライフラインは加入電話からブロードバンドへ
第4章 IP時代の独占体制を黙認する総務省
1分岐貸しに望みをかけた競合事業者
「サービス競争」の道は断たれた
地域限定でもがくKDDI
ソフトバンクは光ファイバーの競争を断念か
携帯電話市場の“官製不況”で及び腰?
モバイルの活性化に奔走する総務省
急浮上するNTT設備部門の切り離し案
第5章 内向き志向にとらわれる国際戦略
“ガラパゴス”を危惧する総務省
海外売り上げ倍増を掲げるNTT
国内事業のための海外展開
国際競争力に直結しないドコモのタタ出資
ベンチャー投資はNGN普及のため
同床異夢の総務省とNTT
第六章 押し寄せるオープン化の波
携帯電話事業者を“土管化”させたアップル
クラウド戦略でネットの覇権を狙うグーグル
有識者が恐れる「国内産業空洞化」のシナリオ
携帯電話網の開放に積極的な総務省
成長の鍵はプラットフォーム機能
ライフログとネット視聴率を武器に世界へ
総務省の本当の狙いは別にあった?
終章 グランドデザインを描くべきトップ企業