馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

馬臨床高度化研修2019 3日目

2019-10-04 | How to 馬医者修行

馬臨床高度化研修の3日目。

朝、1歳馬の下顎の外傷の依頼。

研修の先生たちも呼んで傷の除毛、洗浄、ドレイン留置、縫合を観てもらう。

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ミーティング後の朝の時間。

牛の骨折症例についての講義。

午前中は、当歳馬の”カケス”の矯正手術。

臼歯にワイヤーをかけて、

上顎切歯へ縛り付けることで、上顎の成長を抑制する。

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その後、急患で当歳馬の疝痛。

強い疝痛が3時間続いている。

血液検査所見は悪くはない、が、超音波で厚くなり始めている小腸が見えた。

これ以上待っていると全身状態も腸管の状態も悪くなるだろう。

開腹したら空腸の捻転だった。

一部はチアノーゼがあったが、解けたら回復した。

小腸は全体に浮腫性の肥厚があったが、それも回復するだろう。

馬の腸閉塞を開腹手術で助けるなら、診断も遅れてはならず、決断も早くしなければならない。

そのことを研修の先生たちにも観ていただけたと思う。

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午後は時間を遅らせて、予定の関節鏡手術。

3歳の現役競走馬で、1年あまり前に左の腕節を手術している。

今回は右が折れた。

しかし、左も変形性関節症が進行しているので関節鏡を入れてcleaning 手術を行った。

変形性関節症は重度で、とても綺麗にはならない。

骨関節炎は関節腔の外まで波及している。

研修の先生たちは関節鏡手術を観るのは初めてだろう。

牛の関節疾患を理解する上でも参考になれば喜ばしい。

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これにて3日間の馬臨床高度化研修は終了。

あとは個別に馬の診療についての質問にお答えして解散。

また地元へ戻って行かれた。

日常の診療に生かすことができる何かが得られたなら嬉しい。