2ヶ月前に競馬場で中手骨の外顆を骨折した競走馬。
保存療法で大丈夫だろうと判断され、サンシャインパドックに出せるようになって生産地に戻ってきた。
が・・・・・
こうなっているのが判明した。
初期にスクリュー固定すべきだったのだ。
骨幹部に斜骨折しそうな亀裂があるので、全身麻酔するのは危険だ。
立位でスクリュー固定するのが最良の選択だろうと考えて来院してもらった。
X線撮影しなおしたら・・・・・
さらに危ない亀裂が見つかった。
これでは、骨幹部を走る大きな亀裂をスクリュー固定するのも危ない。
遠位骨端部の亀裂だけを今以上に開かないようスクリュー固定することにした。
だって、
今でもこのくらいは開いているからね。
遠位のスクリューは54mmの4.5mmセルフタップ皮質骨スクリューを入れた。
タップ操作で側副靭帯を傷つけるのを嫌ってセルフタップを使った。
対側皮質に届いていないが、これで圧迫力には問題がない。
2本目のスクリューは58mmの4.5mmノンセルフタップ皮質骨スクリューをタッピングしてから入れた。
対側皮質を貫いているのは別な角度の撮影で確認した。
2本目のスクリューはわざと、少し掌側から背側へ向けて入れている。
骨折線は、掌側が外側関節面から軸側へ走り、背側骨折線が外側近位方向へ走っているので、この方向で圧迫するのが良い。
手術の間、馬は一歩も動かなかった。
完璧な鎮静と局所麻酔だった。
それでも緊張と集中を必要とする手術だった。
特別な理由がなければ、私は立位での成馬のスクリュー固定や関節鏡手術はしたくない。
最中に動かれたら、器具が破損したり、汚染する恐れがあるし、蹴られたら無事ではすまない。
全身麻酔のリスクが高くないなら、全身麻酔して落ち着いて良い手術をした方が良いと思う。
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しゃがんで、立ってを何度も繰り返し、緊張で集中力も使い果たしたが、夜は寝入りばなに起こされて、
2人で重症の結腸捻転に対応することになったのだった・・・・・
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緊張を弛緩させてくれるものとの時間が必要。